「ずっとカメラが回ってるので目が離せない。」ボイリング・ポイント 沸騰 とろりさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっとカメラが回ってるので目が離せない。
カメラの長回しでの撮影というこの作品。
観ているとレストランの慌ただしいあの世界に、
まるで自分もそこにいるかのような気分になった。
人気レストランの凄腕シェフに焦点をあて、そこから周りの人物に視点を変えつつ、すれ違い様に主人公のシェフにカメラを戻していく様子はお見事でした。
めちゃくちゃ忙しいクリスマス前の金曜日の予約いっぱいの人気レストランのドタバタコメディな感じだけど、とにかく小さなことが何もがうまくいってなくて、それって結局主人公の不手際によるもので、シェフにストレスが溜まっていく。
トラブルは起こる、従業員は好き勝手、人気高級レストランの割には客層は悪いし、支配人の女性もあまり従業員の事は分かってなさそうで観ていて歯痒い。
厨房スタッフ側はギスギスしつつ、なんとか協力してやっていって、たまに主人公が従業員の作った料理をすごく褒める所はちょっとホッコリ。
怒るし、めちゃくちゃ自分勝手だけど、ちゃんと認める所は認めて褒めてあげるから悪い人じゃなさそう…?笑
ホールスタッフたちは、割と和気藹々だけど逆に緊張感なくておしゃべりが目立つ。
でもみんな良い人達だから接客は上手いし、さすがプロって感じだったけど、一人だけ、黒人の女の子がとにかく可哀想だった。
客からあんなにあからさまな人種差別を受け、理不尽なクレームをつけられて(ラム肉赤い事件)、理由を説明して厨房に言いに行くも、今度は厨房側からも色々と言われる始末。
ナッツアレルギーの件も彼女は支配人にメモを渡されたから渡しに行っただけなのに怒られるし。。
これがあの金髪の女の子だったらみんな対応違った?
あの黒人の子は誰よりも真面目に働いてたのに、なんかあの子のシーンだけしんどかった。
最後の終わり方はけっこう呆気なく、、
結局主人公シェフのストレスが大爆発して倒れて終わっちゃった。笑
でも、エンディングの最後に出てきた、オープン前にみんなで撮ったインスタ用の写真が出てきたとき、なんか切なくなった。
シェフの相方の女シェフさんがめちゃくちゃカッコよかったな。