「【”アンダー・プレッシャーの果て・・。”レストランシェフ、スタッフの過酷な労働環境、人種差別、ワークライフバランスを一夜のドラマに盛り込んだ緊張感溢れる作品。組織管理の大切さを暗喩した作品でもある。】」ボイリング・ポイント 沸騰 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”アンダー・プレッシャーの果て・・。”レストランシェフ、スタッフの過酷な労働環境、人種差別、ワークライフバランスを一夜のドラマに盛り込んだ緊張感溢れる作品。組織管理の大切さを暗喩した作品でもある。】
ー 舞台は、英国ロンドンの高級レストラン。オーナーシェフのアンディ(スティーブン・グレアム)は妻子と別居中らしく、ストレスをため込んでいる。
そして、クリスマス直前の夜、彼の店は抜き打ちの衛生管理検査(HACCP)でランクを5から3に下げられる。アンディが忙しさの為、管理表をしっかり記載していなかった事と、スタッフが手洗い場所を間違えていた事などから・・。
アンディのストレス、プレッシャーはこれだけではなかった・・。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・冒頭から、アンディは頻繁に何かの飲料をペットボトルから口にする。何だろうと思っていたら・・。
ー ラストとの連動性が見事である。-
・そして、アンディは食材の発注も忘れている事に気付く・・。
・父から店のホールを任されたベスは、予約過多にも拘らず、予約なしの客を受け入れたり、アレルギー持ちの客の情報を、紙で渡したり・・。
ー ホールの責任者であるベスと、厨房スタッフとの連携の悪さ・・。そして、到頭、スー・シェフのカーリーが切れ、”アンタなんか大っ嫌い!厨房スタッフ皆がアンタが嫌いなんだよ!”と、言い放つ。
ベスはWCに入り、父に泣きながら電話をする・・。店の組織管理が滅茶苦茶である。-
・更に、アンディと関係があるライバルシェフ、アリステア・スカイがノン・アポでグルメ評論家と来店し、アンディの苛苛はさらに募って行く。
・遅刻常習者の黒人男のやる気ない態度や、リストカットしている若者・・。
ー 店の人員管理も無茶苦茶である・・。-
・尊大な態度で、黒人スタッフに差別的な発言をしたり、ラム肉の焼き加減でクレームを付ける客。
ー 高級レストラン”あるある”であるが、あれはなあ・・。-
・そして、到頭アレルギー持ちの客が倒れ・・。
ー ホールと厨房との連携の悪さが、最悪の形で出てしまったシーンである。-
・ストレスが限界に達したアンディは、到頭クスリを使い、更にはペットボトルの中身が”酒”であると分かるシーン・・。
ー その前のシーンで焼き担当のシェフからいつも”酒臭い”と言われていたが・・。-
<良いレストランや、小料理屋はどんなに忙しくとも、その忙しさを客には悟られないようにするものである。
そして、そのためには各担当が、キッチリと仕事をする事が大前提なのである。
今作は、予約過多による、レストランシェフ、スタッフの過酷な労働環境、人種差別、ワークライフバランスを一夜のドラマに盛り込んだ緊張感あふれる作品なのである。
こんな店には、行きたくないなあ・・。>
<2022年9月11日 刈谷日劇にて鑑賞>
■好きなシェフ映画、幾つか・・。
・「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」(三ツ星)
・「二つ星の料理人」(二ツ星)
・「幸せのレシピ」(三ツ星)
・「デリシュ」(二ツ星)
本作はまさに職場あるあるの作品で、学生時代レストランでバイトしていた頃を思い出しました。個人的に一番ウケたのはカーリーがベスにたまりにたまった不満をぶちまけるシーンです。