「緊張感を味わう映画」ボイリング・ポイント 沸騰 ローズマリーさんの映画レビュー(感想・評価)
緊張感を味わう映画
ポスターに惹かれて、予告編も観ずにすぐさま鑑賞。レストランの一夜に起こる出来事を扱っている点が、レストランサスペンス映画の「ディナーラッシュ」を彷彿したので、期待感を持って鑑賞した。
タイトルにもあるように、いつ主人公がブチ切れるのかハラハラしながら観ていると、案の定、様々な問題がレストラン、そして主人公に襲いかかる。
映画の見どころともいえる、ボイリングポイント(沸点、人がキレる瞬間)は何処なのだろうと思いながらドキドキしながら観ていたのだが、主人公が内気な性格なのか、周りのスタッフのキレ方が勝ってたようにも見えた。それが、主人公に追い打ちをかけてしまったのかもしれないが、主人公が終始、可哀想に思えてしまった。まぁ、内気で頑張り屋な人間の怒りの沸点を表したのだとしたら、満点かもしれないが、この映画のテーマは、「クリスマスなのに救いがない」ってことかと思ってしまった。
強いて良かった点を挙げるとすれば、ペイストリースタッフ2人のやり取りと味見のシーン。あそこは良かった。終始、無表情の主人公が味見シーンでは笑顔だった。甘いものは人を癒す力があると思わされるワンシーンだった。でも、逆に言えばそれだけ。あとは、他の料理映画であるような話が多い。ライバル登場、オーナーとの関係性、チームワークの悪さなど。
ストーリーに関して言えば、クリスマスなのだから予約オンリーでインフルエンサーの来店はカットして、ペイストリースタッフの作ったレモンクリームのパイを器に盛り付けたところが観たかった。料理で自信をつけることができるという前向きなメッセージがあると、全体的にダークなトーンのこの映画に多少なりとも希望が見いだせたのではないかと思う。
人種差別など色んなテーマが随所に見られたが、詰め込みすぎな気もするのでこの評価とする。90分回し撮りの撮影技術は凄いと思うが、料理を扱う映画なので料理をもう少しアップで観てみたかった。
※ この映画が合わなかった方には、「ディナーラッシュ」という映画をオススメします。レストランの一夜を描いた映画で、スリリングでオチもあり、スッキリできると思います。
>レモンクリームのパイを器に盛り付けたところが観たかった。料理で自信をつけることができるという前向きなメッセージがあると、全体的にダークなトーンのこの映画に多少なりとも希望が見いだせたのではないかと思う。
いや、まさに。それ観たかった。 救いになったはず。