「この映画は観客の心の余裕度で評価が変わる」ボイリング・ポイント 沸騰 ミラクルマンさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画は観客の心の余裕度で評価が変わる
最近はCGに予算をかけた大作ばかり見ていましたが、久しぶりのミニシアター作品に衝撃を受けました。
正直なところこれは人を選ぶ映画です。
今現在の心の余裕がなく、自身のやるべきことに追われている方、
レストランを含む接客業に従事し、そこでストレスを多く抱える方、
美味しそうな料理をみたいと、「アイアン・シェフ」感覚なものを期待している方
などからすれば、主観も入り自ずと評価は低くなると思います。
この映画のテーマは人の生きづらさや、心の葛藤をワンカットで描き、人生において本当に大切なものは何かを考えさせることにあります。
そのため、例え舞台となるのが病院であろうとアパレル店であろうと、同じ手法や同じテーマで描くことは限りなく可能だとは思います。しかし、従業員と客のバックグラウンドや、労働環境の過酷さとそれに見合わない賃金など、このテーマに最も適した環境がレストランの厨房だっただけ、といった感じです。
街の片隅の小さなレストランの1日にも、様々な人種や言葉の訛りが伺え、そこは汚い言葉や涙、嫉妬心などで多くの感情が沸騰状態であり、それぞれの葛藤や生き方に心を動かされました。
私はまだ学生で社会に出ていませんが、この映画のように過酷な環境や生きづらさの中で必死に生きる方々が少しでも報われれば嬉しいです。
大人になるにつれて、おそらくこの映画の感じ方が変わっていく気がするので、何年か経ち次のステージに来たときにまたみたいと心から思います。
>この映画のテーマは人の生きづらさや、心の葛藤をワンカットで描き、人生において本当に大切なものは何かを考えさせることにあります。
確かに! 考えました。
何ら答えやヒントは提示してくれていないので物足りなさを感じたけれど、観たものに「考えさせる」ことが目的だったのなら確かにこれでいい。
安易に答え提示できるよなものでもないですしね。