「ワンショットよりも結末の方が衝撃だった」ボイリング・ポイント 沸騰 バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
ワンショットよりも結末の方が衝撃だった
客も従業員も、様々な境遇の人物が集まるレストランやカフェを舞台としたワンシチュエーションの群像劇というのは、今までにも『ゴシップ・カフェ』や『ウェイターはつらいよ』や、日本のドラマでも『王様のレストラン』や『問題のあるレストラン』といった作品がある。
家族や恋人の問題、仕事の問題、お金の問題……など、それぞれが抱えるバックボーンをただでさえバタバタしているレストランの舞台に、ワンショットで描くというのは画期的である。
カメラの動きが慌ただしさやスリリングな展開はより際立って見える。その点では、どちらかというと、映画というより舞台劇に近い感じもする。
何よりブレ感があまりなく、違和感なく場が繋がっているような自然感にはカメラマンの技術が大きく機能しているのだろう。
問題も苦情も絶えないレストランの中で、みんなが一致団結して、苦難を乗り越えていくというようなサクセスストーリーに馴染みがある日本人にとっては、今作の、どんどん泥沼にはまっていく救いのないような様子というのは、観ていてつらいものがある。
いい話で決着するかと思わせておいて、みんな責任を擦り付け合う……。
実は暗くて嫌な話というストーリーが、ワンショットのインパクトよりも意外で衝撃的だった。
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