アンナの出会い
劇場公開日:2022年5月2日
解説
主婦の日常を淡々と描いた「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」などの作品で高く評価されたベルギー出身のシャンタル・アケルマン監督が、ヨーロッパ各地を巡る女性映画監督の旅を鋭い人間観察力で描写した作品。若い映画監督アンナは最新作のプロモーションのため、ヨーロッパの都市を旅して回っている。教師や母親との接触を挟みながら、孤独にさまよい歩く彼女の姿を通し、アイデンティティや幸福の本質を描き出していく。出演は「ルシアンの青春」のオーロール・クレマン、「キャバレー」のヘルムート・グリーム、「フェリーニのアマルコルド」のマガリ・ノエル。「シャンタル・アケルマン映画祭」(2022年4月29日~5月12日、ヒューマントラストシネマ渋谷)上映作品。
1978年製作/127分/G/フランス・ベルギー・ドイツ合作
原題:Les rendez-vous d'Anna
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
スタッフ・キャスト
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画面構成がすごい。
ウェスアンダーソンだの
タランティーノだの思い出してしまった。
長回しの多用で
眠くなるのは分かります
ただ、ラストの留守電
「アンナ、どこにいるの?」
これがすごかった
私は本当にどこにいるんだろう
っていう。
2022年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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シンメトリーの構図が多用されて美しい映像。主人公のアンナはたいていシンメトリーな構図の真ん中にいて、安定しているように見える。孤独な状態で、安定している。あえて言い換えるのならば、安定してしまっている。
旅先のホテルで、彼女はシンメトリーの空間(ベッドがふたつシンメトリーに並んでいる)で、右側のベッドに横になっている。シンメトリーの均衡が崩れて、彼女の孤独に変化が訪れるような予感がする。でも、結局、アンナはその夜、街で出会った男を部屋に連れてくるけれど、最後まで繋がることはない。男を送り出してまた孤独な夜に帰っていく。
年の離れた愛人と夜を過ごすシーンでも、彼が発熱して、繋がることはない。
彼女の孤独は、男たち相手では満たされないように感じた。なんだか、うまく言えないのだけれど、
母とふたりで同じベッドで眠るシーン、電話でアンナと話す女性。アンナの孤独を埋める可能性は、女性たちにあるように思う。
しかし、旅から帰って、アンナは1人で、ベッドに横たわり、溜まっていた留守番電話を再生し続ける。相手が不在の、一方的なコミュニケーション。過去に録音されて、現在に再生される今この瞬間には存在しない声。身体性の希薄さ。留守番を通して聴こえてくる声が機械的に、空虚に、響く。すべてが孤独をさらに助長させるようだった。アンナは不安定に、安定してしまっていて、旅に出てもなお、そこから、動くことが、できない。