「部屋の中で、「私(自分)」だけを観察し続ける彼女は、部屋の模様替え...」私、あなた、彼、彼女 imymayさんの映画レビュー(感想・評価)
部屋の中で、「私(自分)」だけを観察し続ける彼女は、部屋の模様替え...
部屋の中で、「私(自分)」だけを観察し続ける彼女は、部屋の模様替えをたくさんする。どんどん物がなくなって、殺風景な部屋になっていく。部屋、というものは、時に、人の心の中を象徴するようにおもう。部屋から物が少なくなっていく様は、自分の心を整理するような作業なのかもしれない。
次に彼女は自分の気持ちを書いた手紙を書く。送る宛て先は特に無いようだった、それでも「あなた(他者)」と問いかけ、自分の気持ちを整理し続ける。
ほとんどなにも無い部屋でカーテンもせず、自分の裸を晒す。通行人が通って、彼女は身体を見せつける。他者との交わりがどんどん直接的になっていく。
部屋を出た主人公は、ヒッチハイクして、「男(他者)」と旅をする。男が自分の人生について話しているのを特に意見するわけでもなく聞き続ける。自慰の手助けをする。男が髭を剃っているのを黙って見続ける。受動的な「私」の姿が描かれる。
男と別れた後は、「女ともだち(他者)」の家に行く。お腹が空いたと言って、彼女に食べ物を用意させるけど、全部食べない。絡み合うようなセックスをする。男といた時とはまったくちがう彼女の積極的な行動の数々。最後は朝になって、カーテンを開け放って、眠る裸の彼女を置いて部屋を出ていくシーンで終わる。
観察の対象、興味の対象が、私という自分自身→(あなた)→彼→彼女に移り変わっていくように描かれる。でも、もしかしたら、主人公が見つめているのは、最初から最後まで自分だけで、「誰かを通して見た私」ということなのかもしれないと思ったりもした。きっと、彼女の部屋を出た「私」は、また、自分だけの部屋(ヴァージニアウルフみたいだね)、に戻るように思うから。他者を媒介して自分自身のことを考えて、また自分に回帰していく。『私、あなた、彼、彼女』というこの映画は、自分自身と向き合い続けることを描いた物語なのかもしれない。
・袋に入っている砂糖をスプーンでひたすら食べ続ける行為がとても気になった、
・男とレストランでご飯食べたり、女とご飯を食べたり(女の方は何も食べないのだけれど)、食べるシーンが多い。