劇場公開日 2022年9月1日

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「今こそサカナ君の生き方を見つめてみよう」さかなのこ シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今こそサカナ君の生き方を見つめてみよう

2022年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まずは本作の感想とは関係ないですが、“のん”が最近映画では普通にキャスティングされている事に喜びを感じます。
一時期(というより役者生命を考えるとかなり貴重な期間)、契約問題で大手芸能事務所の圧力で芸能活動自体が困難であったのを考えると、現時点の活躍は非常に喜ばしい状況になって来たと思えます。
今のテレビ業界の不振と連動しているのかも知れませんが、テレビ業界に強い影響力があった事務所でもテレビ業界自体が不振になれば、そうした圧力も弱まるのでしょうね。
更に本人がそれ以外の新しい場所で地道に努力し続けていれば、この様に復活できるという道筋を開拓してきたからなのでしょうが、今の“のん”から目が離せないという存在(俳優)になっています。

そうした事柄が、本作の役柄にピッタリと当てはまるのが、観ていて凄く気持ちがいいのです。
それは上記のテレビ業界の不振という事と日本経済の不振という事とほぼイコールであり、今ままでの常識と考えていた事を全て見直してみようという気分が、少し冷静な人なら湧きあがる筈の時代の転換期であるという事です。
勿論、教育の見直しもその一つであり、今まで百年くらい変わり映えしない受験教育の在り方もそうであり、人間の幸せとは?を考えた場合のミー坊の母親が放つ教師への言葉などは、まさにこれからの教育を考える非常に大きな指針になると思えます。

原作はサカナ君の半世ですが、その中にあるテーマ自体が“のん”の芸能活動と重なり合い、まさにハマり役になっていました。
冒頭のクレジット「男か女かは、どっちでもいい」のであって、これからの世界で生きていくために本当に大切なものとは何か?を、これほどキャラクターだけで分かりやすく、万人が納得出来る人もいない様な気がします。
67歳になった私でもやはり人生で一番大切な事は、何か大好きなモノを見つけ出しそれに夢中になれる事だと思っています。少なくとも、最初からお金や権力や地位を目指すのも嫌だし、そういう教育の中で育ったことも嫌だった人間からすると、サカナ君の様な生き方は最高だと思えました。

やっと本作自体の感想ですが、ちょっとテンポが遅く感じてしまいましたが、だからと言ってテンポを早くしたら、この味わいが残るのかどうかも微妙です。

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シューテツ