「可愛かったら食わんだろ?普通、食わんよね。可愛いワンちゃんを食べるか?食べんよね、普通。」さかなのこ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
可愛かったら食わんだろ?普通、食わんよね。可愛いワンちゃんを食べるか?食べんよね、普通。
沖田修一監督作と言う事で期待したのはですね。緻密に計算された「大芝居的に演出された長回し」なんです。「おらおらでひとりいぐも」では炬燵に入った田中裕子さんとビッグバンドを使い、CG無しでグルグル回してくれたアレみたいな。「子供はわかってあげない」で校内を歩く美波と門司君の回りで、画面を横切ったり運動したりする、ディズニーみたいなアレとか。
これがですねぇ。
無かったです、今回。強いて言うならば、港で高校生たちが乱闘するシーン、くらいでしょうか。なんかインディ・ジョーンズみたいでしたけど。これも、コロナ禍の撮影であったからなのでしょうか。ちょっと期待してたので残念。ですが、長回しは子役2人だったってのが。情け容赦ねーよ、全くw
一時期、東京テアトル配給作には全く魅力が無く、食指がピクリとも動かない、と言う状態だったんですが、ここんとこ佳作続きで、完全に持ち直した感があります。これも良かったです。
子役パートが辛くて、途中で帰ろうか?って思うものも少なくないんですが、コレは子役パートが良かった。ミー坊役の女の子、ナチュラルに「さかなクン」のボケ感と「ヲタク感」があって最高でした。
皆が普通じゃつまらない。と言うか、平準化された人間を大量生産してもしょーがないだろと言うのには大賛成です。何の事はない、自分自身も、その手合いだと思ってますんでw
比較的、寛容な日本社会です。「欧米は個性を重んじ、日本は個性を否定している」とお考えの貴方。それ、トータルでは間違ってると思います。少なくとも、理系に関して言うと、欧米の成果主義は脱個性で尖った発想を拒絶する傾向があります。よって、尖った人は自分で起業する事を目指す。日本の方が、むしろ寛容だと思うんですが、哀しいかな金が無いw
お金、どうにかなりませんかw
兎にも角にも、それが破壊的・享楽的なものでない限りは、好きなことに没頭出来て、それ相応に生活していける社会が理想だよなぁ。って思いました。
ちょっとあざとい脚本ではあった気もするけれど。
良かった。
普通に。
と言うか、普通って何よw
この「普通」は「良かった」のダメ押しですね。「最高とは言えないけど平均よりはるかに上」と言う意味です。
ももが言った「普通」は「常識」ですね。常識では計れない生き方をしている彼(女)が普通じゃないのは当たり前な訳ですが、普通に生きてる人から見れば、「バカだね」になるのか「キラキラ」になるのか。彼(女)の周りには、それが「キラキラ」に見える人が沢山いたよ。って言う。それって幸せなことだよ、って思いました。
と言う、以外にも素敵な映画でした。
今晩は
師匠!可愛いから、食うんですよ!
あと、脚本があざといのは、沖田修一監督の盟友であり、ライバルでもある前田史郎が担当したからだと思っています。で、あの独特の味が出たと私は思っています。
私は今作の魅力は、沖田監督がのんさん(本当は能年玲奈さんと記載したい。この件については、激しい怒りを他の作品で書いてるので、書きません)をさかなクンにキャスティングした点に尽きると思っています。では。