劇場公開日 2022年5月13日

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「故・大杉漣氏との企画が、9年の年月を経て完成!嬉しい驚きのカルト映画。」夜を走る beast69さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0故・大杉漣氏との企画が、9年の年月を経て完成!嬉しい驚きのカルト映画。

2022年5月30日
PCから投稿

予想を超えて、一筋縄ではいかない、面白い映画でした。個人的に嬉しい驚きを感じさせる不思議な作品で、観終えた時に麻薬を盛られたかのような?奇妙な高揚感、爽快感すらありました(笑)。邦画よりも洋画派で、カルトムービーや難解でも内容の濃い映画、芸術性の高い映画も好きで、予定調和的な商業映画よりも自分の世界観を変えてくれるような映画に飢えている、そんな私のような映画ファンにはオススメの作品と言えましょう。

スクラップ工場に勤める、真面目だが何処か不器用でうだつの上がらない一般庶民が主人公。平凡で、何の変化も無く、ただ時間だけが過ぎていく。そんな多くの一般庶民達と同じ憂いを持っています。それが、ある事件を契機に、今までの平凡で変化の無い人生が、急に大きく変わっていきます。そこから先は、映画を観てからのお楽しみ。

序盤はごく普通の映画のように思えるのだけど、少しずつ得体のしれない何かを作品から感じ始め、全く先が読めないワケの分からない展開に呑み込まれて、「何だこれは!」と思いながらも、魅力に溢れた面白さにグイグイと引きずり込まれる、そんな映画でした。観終えた後、「この映画を選んで、大正解だった」と思いました。前向きな気持ちで映画館を出て、何とも知れない嬉しい余韻が続いていました。その後、数日経過すると、またジワジワと効いてくる。そんな不思議な、麻薬のような作品でした。

惜しくも急逝した俳優の大杉漣さんと佐向監督が一緒に企画していたのが、この「夜を走る」という映画。それが9年の年月を経て完成にいたった、というのを知り、「これは観に行かねば」と、思い立ちました。幸い、上映後に監督と俳優3名がわざわざ来てくれて、舞台挨拶つき。めっちゃ贅沢なひと時でした。撮影中のエピソードや、出演した俳優や監督自身、この映画をどう捉えているかという踏み込んだ話題にも言及されて、理解がより深まりました。しかし最終的な判断は、自分の目で作品を観て確かめる事、それが全てとも感じます。

パンフレットは分厚く94ページもあって、映画関係者や評論家やミュージシャン等、様々な人達による秀逸な文章が寄せられていて、読み応えたっぷりの充実した内容でした。この映画が気に入った人なら、迷わずゲットが吉と思われます。

この映画を観て、「何が何だか分からない!」と怒り出すお客さんもいるかもしれません(笑)。
人を選ぶ映画だと言えるでしょう。ミニシアター通いをしているような映画ファンの人なら、この映画の底知れぬ魅力が分かるのではないでしょうか。現実と幻想が交差するイメージ映像等、難解に思われそうな箇所も少し出てきますが、こういう映像表現はだいぶ昔の名作映画でも多く取り上げられていた手法なので、様々な映画に精通している人なら、普通に受け入れられると思います。

見所は多過ぎて書ききれませんが、最近は優しいお父さんのイメージの松重豊さんが出ていて、物凄く恐ろしい韓国マフィアを演じているのが一つの名場面。他にもやはり人命の尊さなど何も感じていない残虐そうな中国人キャラがコメディタッチに描かれていますが、実のところ意味深です。メディアがあえて余り取り上げない為もあって、私達日本人は日常的に海外勢を余り話題にしませんが、実は非常に大きな問題が隠蔽されています。今の日本が海外勢力に食われつつある本当の現実を示唆している、そんな部分もきちんと描かれている映画だと感じました。ただいま絶賛上映中の「シン・ウルトラマン」でも、実は同じものが見られました。たんなるエンタメ映画ではなく、日本が置かれた状況を示唆した隠しメッセージも、しっかり込められているのです。

出来るだけ先入観無し、前知識無しで観るのが、この映画の一番最適な楽しみ方と思います。必ずしも一般受けするような分かりやすい映画ではない為、星4にしようかと思いましたが、最近観た邦画が個人的なハズレが多くてイマイチだったところへ、この不思議な魅力に溢れる面白い映画に出会って、思わず嬉しくなったため、最高評価の星5にしてしまいました。

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beast69