「ポップなテイストのバイオレンスアクション」ブレット・トレイン かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ポップなテイストのバイオレンスアクション
伊坂幸太郎原作の「マリアビートル」を、「デッドプール2」のデビッド・リーチ監督がブラッド・ピット主演で映画化したもの。
【ストーリー】
当初用意されていた人員の体調不良により、急遽運び屋をさせられる事になったレディバグ(ブラッド・ピット)。
ひと仕事を終えたその足で、東京発の高速列車ゆかりに乗りこみ、指定されたブリーフケースを京都まで運ぶハメに。
だがその列車には護送中の広域暴力団のボス、ホワイト・デスの息子、サンの姿が。
サンを守るのは二人の殺し屋、タンジェリンとレモン。
彼らはサンを奪い返し、身代金をホワイト・デスのもとに運ぶ途中だった。
だが動物園から逃げたブームスラングヘビという毒蛇が音もなくサンを殺し、誰かに身代金の入ったブリーフケースを奪われてしまう。
一方謎のプリンスに息子を屋上から突き落とされ、意識不明で入院させられた殺し屋キムラも乗りこみ彼女を殺そうとするが、その愛くるしい姿に油断してあっさり気絶させられる。
品川駅で車掌に乗車券の不携帯を指摘されて降車を命じられたレディバグだが、彼にボスを殺されたウルフに襲われ、逆に殺害してしまう。
品川を発車し、疾走するゆかり号に取り残されて逃げ場のなくなったレディバグは組織の窓口マリアに連絡をとる。
彼女は「ゆかり号にはもう一人、ホーネットという殺し屋が乗っている」と彼に伝える。
ホーネットは人気キャラのモモもんの着ぐるみを着込み、ブームスラングヘビを使って毒殺を行なっていた。
そしてキムラの父エルダー(真田裕之)もゆかり号に乗りこんでくる。
エルダーもまた、ホワイト・デスと深き因縁をもつ暗殺者だったのだ……。
狭い空間で行われる犯人探しと命をかけたサバイバル。
クセ者だらけの暗殺者たちのバトルロワイヤルを、最後まで生き残るのは誰だ。
いろんな思惑をもった殺し屋たちが、逃げ場のないシチュエーションでとにかくしっちゃかめっちゃかに殺しあう。
ちょっとメンタルやっちゃって「ぼく、殺し屋やめるってよ」宣言して傍観者でいたいレディバグなのに、どんどん巻きこまれつつじわじわと物語の謎に迫ります。
2時間もある映画ですが、東海道新幹線、東京ー京都間を舞台にスピード感のある展開で一気に魅せる好編です。
バイオレンスな表現をライトにポップに描くやり方は、アメコミ映画監督の十八番ですね。
いいバーカウンター車両あるなー、昔ビュッフェ車両ってあったなーとか、どう見ても700系の新幹線なのにローカル線の特急みたいな荷物棚だなーとか、新幹線で東京夜発ー京都に日の出着のエンディングって、夜中ずっと走ってたら九州南端にたどり着いちゃうよ!とか、ハリウッド風味のヘンテコニッポンも細かくツッコミながら楽しくいただけますよ。