「連れを起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる。 ブラピと喧嘩は江戸の華ってか!?」ブレット・トレイン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
連れを起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる。 ブラピと喧嘩は江戸の華ってか!?
新幹線に乗り合わせた殺し屋たちが激しい戦いを繰り広げるバイオレンスアクション・コメディ。
監督は『デッドプール2』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』のデビッド・リーチ。
原作は『アヒルと鴨のコインロッカー』『重力ピエロ』の、小説家・伊坂幸太郎。
世界で最も運の悪い運び屋、レディバグを演じるのは『セブン』『オーシャンズ』シリーズの、オスカー俳優ブラッド・ピット。
純粋な少女の皮を被った殺し屋、プリンスを演じるのは『ラブ・アゲイン』『死霊館』のジョーイ・キング。
「双子」の殺し屋コンビの一人、タンジェリンを演じるのは『キック・アス』シリーズや『テネット』の、名優アーロン・テイラー=ジョンソン。
剣術の達人、エルダーを演じるのは『ミニオンズ』『アベンジャーズ/エンドゲーム』の、レジェンド俳優・真田広之。
レディバグをサポートする仲介役の女、マリア・ビートルを演じるのは『ゼロ・グラビティ』『オーシャンズ8』の、オスカー女優サンドラ・ブロック。
ヤクザの元締め「白い死神」の息子を演じるのは『バタフライ・エフェクト』『ウォールフラワー』のローガン・ラーマン。
なお、「双子」の17人目の被害者を監督のデビッド・リーチが演じている。
まずは端的に一言。
最・高・に・面白い!✨
これこれ、こういう映画が観たかったんだよ俺は!
インモラルでバカバカしくってバイオレンス過剰…。うーん申し分なしっ!👍
一般的に受け入れられるのかは知ら~んし、大ヒットするとも思えないけど私は全面的に支持します!最高っっっ!!!
超人気小説家・伊坂幸太郎の長編小説「マリアビートル」(2010)を原作とするこの映画。これは未読なの
ですが、かなり改変されているであろうことは容易に想像がつく。だって登場人物ほぼ全員外国人だし、日本の描写めちゃくちゃだし💦
聞いた話によると、原作の主人公はレディバグではなくて木村らしいじゃないっすか。そりゃもう別の物語だよっ…😅
とまぁそんな映画なので、原作ファンや伊坂幸太郎ファンは呆れたり腹を立てたりしてしまうかも。「マリアビートル」は原作ではなく原案である、くらいの心持で鑑賞するのがベストなのかな。
本作は最凶運の男・レディバグの受難が描かれている。
ちょうどこの映画を鑑賞する数日前に『NOPE』(2022)という映画を観ておりまして。その映画のキーとなるセリフが「”最悪の奇跡”って、言い表せるか?」だった。
まさにこの映画で描かれていることが、”最悪の奇跡”ですジョーダン・ピール監督😆
主人公が笑っちゃうくらい運の悪い男なので、本作はバイオレンス映画というよりはむしろコメディ映画。まるでコントかギャグ漫画のような、ありえねー物語が展開される。
海外のコメディ映画って、笑いどころがよくわからないことが多いのですが、本作は日本の小説が原作だからなのか、かなり日本人好みのお笑いになっていると感じました。
この映画の何が良いって、主人公が物語の中核じゃないというところ。悪の首領ホワイト・デスと木村親子の因縁が物語の中心であり、レディバクはそれに巻き込まれてしまったにすぎない。
これにより起こる、「今俺は何を観させられているんだ…」感こそがこの映画最大のユニーク・ポイント。
冒頭、水はねで汚れてしまった白いスニーカーを気にするレディバク。「うわっ、ツイてねー…」ってな具合に顔を顰めます。
そしてクライマックス、爆散したホワイト・デスの肉片が再びレディバクのスニーカーを汚す。それを嫌そうな顔で眺めるレディバクの表情は、冒頭の泥水によるそれとほぼおんなじ。「うわっ、ツイてねー…」てな具合に顔を顰めるのです。レディバクにとって、今回の一件は乗り越えるべき壁とか、過去の因縁とか、そんなこととは一切関係のない、ただの超不運な出来事にすぎなかったことが、この描写を入れることによって強烈に伝わってきます。うーん、本当に変な映画だ…。
スニーカーの件とかも結構面白かったんだけど、一番笑ったのはやはりあの大オチ。
白死「今回の一件はすべて、妻を殺した貴様に復讐するためにワシが仕組んだことだったのだ!」
過去回想。爆発炎上する車をバックに立っている男は…。
いやお前かー---いっっっ!!!🤣🤣🤣
まさかのライアン・レイノルズ!!これにはめっちゃ意表を突かれたし笑ったなぁ~。同じデビッド・リーチ監督作品である『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)でもカメオ出演していたレイノルズ。この2人仲良しなのかな?なんにせよ初見時のここのインパクトは相当なものなので、ある意味『NOPE』以上にネタバレ禁止な作品である。
このように、本作は豪華ゲストのカメオ出演も見どころの一つ。
ライアン・レイノルズの出演にも驚いたが、まさかチャニング・テイタムが出てくるとは!!
サンドラ・ブロックとチャニング・テイタムは、同年公開の映画『ザ・ロストシティ』の出演者。実はこの『ザ・ロストシティ』には、ブラッド・ピットがカメオ出演しているのです。ブラピがサンドラに『ブレット・トレイン』の出演をオファーしたところ、彼女はこれを快諾。そのお礼として、ブラピが『ザ・ロストシティ』に出演してあげた、というのが内幕の様子。…チャニング・テイタムは完全にサンドラ・ブロックのおまけだった訳ですね😅こういうスター同士の友情は観ている側も楽しいので、どんどんやっていって欲しいものです♪
さて、本作の最大の魅力はなんといってもブラッド・ピット💕近年はプロデューサーとしての活動が目立つブラピだが、やっぱり彼にはスクリーンで大暴れしている姿がよく似合う。
本作のテイストは90〜00'sの能天気アクション映画を髣髴とさせるものであり、ブラピもあの頃のノリノリさが戻ってきたかのように生き生きしていた。最近のブラピは真面目な映画ばっかり作ってるけど、実はこういうインモラルでバカな映画の方が好きなんじゃないの?
ジャッキー・チェンの映画を参考にしたという、その場の環境を利用して行われる格闘アクション。
派手なアクションシーンが連続する本作だが、御年58歳のブラピ、ほぼ全てのアクションを自らこなしたらしい。トム・クルーズといいブラピといい、ハリウッドのアラカンは常軌を逸している…。
かつてはブラピのスタンド・ダブルとして活動していたというデビッド・リーチ。彼の監督作品にブラピが出演し、しかもブラピが自らアクションを演じているというのは、なんだか感慨深いものがありますね。
ブラピ58歳…。なんだか信じられないですよね。
しかし、本作で笑った…というより感動したのは、ブラピが自分の年齢をギャグにしていたところ。
殺し屋ホーネットの写真を見るときの仕草が完全に老眼のそれ。あのブラピが老齢をネタにするのか!と驚いたのと同時に、老化に抗うことなく、自虐ネタとして受け入れているところになんか謎の感動を覚えてしまった。
見た目が若いから読み取りづらいが、レディバグの年齢は、ブラピの実年齢に近い訳だ。多分50代後半くらい。
ということは、真田広之演じるエルダーとレディバクの年齢は、実はほとんど変わらないのではないだろうか(真田広之は61歳)?
こう考えると、この物語には別の側面があるように思えてくる。つまりただのおバカアクション映画ではないような気がしてくる。
60代も間近だというのに未だに現場で体を張っている、という事実に本人はうんざりしているものの、傍から見るとなんか気楽そうなレディバクと、孫がいて威厳もあるけど過酷な人生を歩み、復讐心に取り憑かれているエルダー。
この2人の男は、裏社会に属しているという共通点を持ち年齢も近い。しかし、生き方や人生の捉え方は全くの正反対。方や「俺ってこれで良いのだろうか…?」と悩むちゃらんぽらんな男。方や「家族を苦しめるアイツに復讐を…!」と覚悟を決める男。
世間的にはエルダーの方が立派な大人、レディバグの方がダメな大人ということになるんだろう。実際、揉める車内においてレディバクが「落ち着け」と言っても騒ぎが収まらなかったのに対し、エルダーが同じことを言うとピタッと静かになるという描写があった。この2人が同年代であることを考えると、ここはかなり面白い対比になっていると思う。
んで、何が言いたいのかというと、この映画は「老境に差し掛かる男」を描いた映画なのだということ。「老い」というのが一つの大きなキーワードになっているように思う。
立派な役職の男でも、社会の底辺を這う男でも、ジジイになっちゃえば大差ないよ、それなりに悩むしそれなりに苦労するし、それなりに生きるか死ぬかの修羅場を潜り抜けることになるよ、ということが描かれているのである。
ジジイになれば皆一緒なんだから、レディバグのような生き方でもエルダーのような生き方でも、どっちでも良いんだよーん、みたいなポジティブさをこの映画からは受け取ることができました✨
あともう一点、すごく驚いたのは最後にレディバクがメソメソと泣きべそをかくという点。ブラピがこれほどまでに情けない男を演じたことが、未だかつてあっただろうか!?
自分を律しようと努力している男が、キャパを超える出来事に遭遇し、ついに耐えきれなくなってしまう。これはここ数年プライベートで色々ありすぎたブラピが、「映画の中だけでも泣かせてくれぃ…😭」とか思って演じたシーンなんじゃなかろうか?
いずれにせよ、大惨事の後にメソメソ泣くというのは、『ランボー』(1982)を髣髴とさせるグッドなラストだと思います!
おそらく賛否両論であろうトンデモNIPPON。
これってよく批判の対象になるけど、自分には全く理解出来ない。無茶苦茶な日本描写はむしろ大好物💕
正確だけどこじんまりしているより、大味でお馬鹿だけどド派手な方がいいに決まってるじゃん。トンデモNIPPON描写はどんどんやって欲しい!
もう一つ賛否両論になっているのはホワイトウォッシュ問題。元々日本人だったキャラを白人に演じさせるとは実にけしからん!というやつ。
…うるせーー!!💢
仮にキャラクターの人種を原作通り日本人のままにしたとしても、どうせハリウッド映画のアジア人に日本人は使われないだろうが!!
まぁ全キャラを日本人が演じることになっても、お遊戯会みたいな映画になることは必至なんだけど。ブラッド・ピットやアーロン・テイラー=ジョンソンと同じくらい華のある役者が日本人にいるか、と?いないでしょ〜。
レディバク=小栗旬、プリンス=橋本環奈、タンジェリン=菅田将暉、みたいな映画、俺観たくないよ🌀
全面支持の映画ですが、ただ一点、欠点を述べさせてもらうと、レモンが頻繁に口にする「機関車トーマス」ネタがしつこい。
しつこい上に全くよくわからんしあんまり面白くない。ガイ・リッチーとかタランティーノとかの台詞回しを意識したんだろうけど、あんまり上手いこと言ってなかったっすね〜…。
長々と書いてきましたが、本当にこの映画は楽しかった♪
ブラピ主演で『コマンドー』(1985)みたいな映画が観られるとは思ってなかったよ!もう「連れを起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる」って言っちゃえよ〜。あの死体の扱い方は完全に『コマンドー』オマージュで嬉しくなっちゃう😆
ホーネットを殺したところでは、まさかの「人を殺して捨て台詞」描写。
いゃ〜、このご時世に「人を殺して捨て台詞」が聞けるとは。こういう今ではあまり褒められないボンクラな描写、どんどんちょーだい!👏
ブラピと喧嘩は江戸の華🌸
今度はブラピ率いる「プランB」で、日本を舞台にした作品を作ってくれんもんかのう…。
実は日本のトーマス映像は見た事がなく、キャラクター商品などもあまりよく知らないのですw
日本の声優さんが演じているであろうアニメやら人形劇?も見た事無くて。
(1970年代に翻訳された原作児童書なら、私自身が小学生の時に読んでいましたーw)
我が家が米国版DVDを買っていた頃はたなかなかなかさんは小学高学年か中学生だと思いますので、きっとご記憶にあるリアル顔のと同じものだと思いますよー^ ^
トーマスはやっぱり1番人気があるのはイギリスかと思いますけれど、アメリカと日本ではほぼほぼ同じような感じかもしれませんね。
2004年頃からイギリスも完全な「幼児向け」という立ち位置に制作方針を固定してきたのでそれ以降は英米日、似たような感じだと思います。
当時、私はDVDや木製レール玩具はアメリカから個人輸入していましたー。日本より発売が早いし、ずっと安く買えたので。(日本だと2万2千円くらいするオモチャが1万3千円くらいで買えましたw)
グレシャムの法則様に教えて頂いたのですが、映画のトーマスネタは伊坂氏の原作通りなんですって!
伊坂氏も執筆当時、お子様にトーマス玩具を与えていたようですw
(我が家も英語育児用にと思ってトーマス与えていましたーw)
原作の主人公は木村なんですか!なんだか非常に納得。(私の感性もまんざらじゃなかったなw早速原作読もうっと)
>実はこれ、老境に入った男の生き方を描いた物語なんです。
なるほど〜!素晴らしい考察です。
(ただ、リーチ監督はそんな事微塵も考えてないよーな気もw)
ブラピと真田広之の名演に、監督は随分助けられているかもしれませんね。
そしてたなかなかなかさんのような素晴らしい鑑賞者にも助けられている気がします。
トーマスは日本で言えばドラえもんやサザエさんのように英米では「世代を超えて誰もがわかるネタ」なのかもしれませんねー。
福田監督、出演・山田孝之、ムロツヨシ、佐藤二郎、、、のブレット・トレイン。私は観たいですー(笑)
私も原作から七尾が主人公だと思っていたので、結構木村が主人公説あって驚きました!
人を殺しての捨て台詞(レディバグの場合言葉が漏れた感じ)笑いました(^^)
楽しくて、なるほど‼️のレビューありがとうございます。
いくら歳を重ねても、なにやってんだ、オレ?ということが多くて、威厳とか枯れた味わいの備わるオトナ⁈にはまったくほど遠い自分にとっても、ありがたいレビューです😆
あ、それから、原作の主人公は読む人によっては七尾(プラピ)だったり、王子だったりします。
感情移入という点では、私の場合、七尾が中心でした。
たなかなかなかさん
共感ありがとうございます。
深い考察のレビュー、さすがです。
他の方のレビューで、日本を馬鹿にしてるとか、乗客が外人ばかりだとか、弾丸列車が夜東京を出て朝京都に着くなんてどれだけ遅いのかとか、富士山の見える時期がおかしいとか、色々コメントありますね。
そんなことどーでも良いだろ、じゃあ、どう演出したらもっと面白く出来るんだ?って聞いてみたい。
これで十分だし、決して日本をバカにしてるわけじゃないと思いました。
たなかなかなかさん
初めまして、
共感&フォローをありがとうございました。
(#^.^#)
伊坂幸太郎さんの原作が人気のようですね。
その映画化、ブラピ他、豪華キャストの出演も
楽しめました。
ファイトシーンのスピード展開も凄かったですが
ユーモアなセリフ回しが
緊張した気持ちを和らげてくれましたね。
真田広之さんの登場も嬉しいところ
鮮やかな太刀さばきもカッコ良かったです。
「パーシー・ジャクソン」の
ローガン君に もう少しセリフが欲しかったかも
(^^ゞ
みかん&レモンのコンビの友情も
描かれていて エンドロールも納得でした。