劇場公開日 2022年9月1日

「感謝の気持ちで満点です」ブレット・トレイン グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0感謝の気持ちで満点です

2022年9月2日
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鑑賞方法:映画館

もしかしたら、原作ファンの方からも、映画として楽しみにしていた方からも、多くの〝なんだかなぁ〟との声が聞こえてくるかもしれません。

ですが、私は今、密かにかつ猛烈に感動してます。
出版業界の事情は知りませんが、この原作を英語圏の人にも紹介したいと思った人がいて、採算ベースで判断する現地アメリカの出版社を説き伏せてくれて、その結果それを読む人がいて、更に映画にしたいという人まで現れて、挙句にこんな大物俳優までが出演を快諾してくれて、おまけにコロナ禍でのさまざまな制約もある中で、今日この日を迎えたわけです。

作品としての完成度とか、日本社会の再現度という尺度では、手放しで褒めたくなる、なんてことにはなりませんでしたが、監督に原作愛はあるのか?という観点からすれば、私には感謝の気持ちしかありません。

とにかく運の悪いブラピ(原作では殺し屋ですが、映画では基本、殺しは主たる成業ではない)。
性悪なのに、異常に悪運の強い王子(原作では中学生の男の子)。
この二人の対照的な立ち位置と物語の進行が交錯し、読者の期待や失望感を微妙にざわつかせるのですが、このあたりは原作の持つ味わいをうまく表現できていると感心しました。

そして、漫才コンビのような蜜柑とレモン。
機関車トーマスをこよなく愛するレモンの侮れない人間観察力、洞察力。
原作では、どちらかと言うとクールで知的な蜜柑が、トーマス話ばかりするレモンに対して、アンナ・カレーニナの話をしようとするのですが、どうせレモンに言ったところで「あんな彼がどうしたって?」と反応されるのがオチだからやめた、なんてエピソードもあるような楽しい関係なのです。
この原作ではかなりのキモとなる部分も、映画においては相当に脚本で苦労しながら描こうとした努力の跡も伝わってきたし、ラスト間近のシーンからもレモンというキャラクターへの愛が感じられました。

他にもいろいろありましたが、わずか2時間の映画の中で、この二つのポイントを外さずに撮りあげたということだけでも、とても嬉しかったです。

皆さま、ハリウッドが描くニッポンあるあるについては、大目に見てやっていただけませんか。

カメオ出演というか友情出演?
チャニングだけでなく、デッドプールのライアン・レイノルズもいましたよね?

グレシャムの法則
pipiさんのコメント
2023年4月18日

そうだったのですねー♪
我が家も子供の幼少期には英語環境作りと情操教育にトーマスDVDと木製レールの玩具シリーズを与えていましたー(笑)
もしかしてと思って伊坂氏のプロフィールを見たらめちゃくちゃ同世代。きっと「おかあさんといっしょ」や「平成仮面ライダー」も知っている時期が一緒かもしれません。
ウチの子供達にもそろそろアンナ・カレーニナを読ませねばw

伊坂氏に親近感が湧きました。早速原作読んでみますね。
素敵な「確か」情報をありがとうございました^ ^

pipi
pipiさんのコメント
2023年4月18日

トーマスのトピックは原作通りだったのですか!
てっきり英米向けに代替されたものかと。

早速、原作読んでみますー。
lemonのトーマストークは随所で光っていましたねー。

pipi
なないろさんのコメント
2022年9月15日

私も映画公開前に興味を持ってくれた知人がいて小説貸したらはまってくれましたよ。後輩の方の感想が楽しみですね(^^)
近隣の本屋は映画の効果でマリアビートルと更にグラスホッパーまで品薄になってました!

なないろ
なないろさんのコメント
2022年9月15日

死神シリーズも人気が高いですからね!
濱口監督いいかもです!
死神の精度は当時劇場に観に行きましたが、金城武の滑舌が悪すぎて全然集中出来なかった記憶があります…(;_;)
グレシャムさんの妄想がイメージと合致しすぎて、もっと色々お聞きしたくなります👍

なないろ
なないろさんのコメント
2022年9月14日

こんにちは(^^)
納得の頂ける解答か分かりませんが、私は蜜柑の構えた銃の発砲を防ごうと揉み合ってる内に引き金が引かれてしまって、銃口が蜜柑の方を向いてしまっていたって感じに理解しておりました。
私ももう一度確かめねば!

先日吹替えで2回目の観賞に行って参りました!
私は原作のマリアビートル、またはレディビートルの意味が語られるシーンが好きなのですが、
これって原作だと槿のパートで槿目線の話なんですけど、残念ながら槿は映画に登場しないところを、真田さん演じるキムラ親父が運命と掛け合わせてレディバグに語ることでうまく映画に取り込んでるなってすごい感動しちゃって…

この時のシーン、真田さんの吹替えの井上さんが本当に良くて朝焼けをバックに語られるとなんか真田さんもブラピも神々しくて…

字幕追わずに済むことでより気付けた事でした。

まとまりのない文章でスミマセン!

なないろ
アンディぴっとさんのコメント
2022年9月10日

しっかりキャスティングができてますねえ、ちなみに雪子は誰でしょ〜
この監督なら雪子のドライブテクニックもしっかり撮ってくれそうだわ😂

アンディぴっと
アンディぴっとさんのコメント
2022年9月10日

グレシャムさん、確かにこの監督がギャングシリーズ撮ったら面白そう。
日本版は今一つでしたからね。

アンディぴっと
ねもちゃんさんのコメント
2022年9月10日

グレシャム様
共感&コメントありがとうございます
冷静沈着なレビュー多しのグレシャムさんがこんなぶっ飛んだレビュー!?
作品愛の深さが伝わります!
ご期待に応え😁本日も
再々乗車して参りましたよ!

ねもちゃん
たなかなかなかさんのコメント
2022年9月9日

グレシャムの法則さん、コメントありがとうございました♪

元気の出るオジサン・ムービーって感じで最高でしたね!

原作はグランド・ホテル形式の作品なんですね。興味が湧いてきました😆

たなかなかなか
グレシャムの法則さんのコメント
2022年9月6日

美紅さん
ご紹介ありがとうございます。
このアニメのことはまったく知りませんでした。
以前に感動したアニメ『聲の形』も確か京都アニメーションだったように憶えてます。楽しみがひとつ増えました。

グレシャムの法則
2022年9月4日

高校生の男の子が、弓道部で弓を引く姿が丁寧な描写で描かれていました。上映が終わった後
2階席からアニメの声優さんを生で見てきました。観た映画をひとつずつレビュー投稿出来ていなくすみません。
予告だけでも見られたら良いかなと思います。

美紅
2022年9月4日

レビューには投稿していないのですが、先日、公開日に丸の内ピカデリーにアニメの映画を観に行ったところ、偶然でしたが舞台挨拶付きの回でした。当日初めて知ったツルネと言う京都アニメーションでした。

美紅
2022年9月4日

原作の小説は読んでないのです。日本を舞台にした新しさがあって面白かったです。不自然さ漂う
違和感のある日本でした。蜜柑とレモンの掛け合い。列車のなかでブラットピットが飲んでいた
スパークリングワインは、どんな味かイメージしていました。シュワシュワ~!また、どうぞよろしくお願いします。

美紅
グレシャムの法則さんのコメント
2022年9月4日

美紅さんもご覧になったのですね‼️
なんだか少し誇らしい気分になれますよね。
私は、今週中に今度は吹替で見ようかな、と思ってます。

グレシャムの法則
2022年9月4日

こんにちは。グレシャム様。私も公開日に観に行きました。日本の作家が書いた小説が書いた小説が原作だったのですね!

美紅
グレシャムの法則さんのコメント
2022年9月3日

原作のことを思い出すと、鈴木だけでなく、槿(あさがお)とか、木村母とかも浮かんできて、またまた読み返したくなります。
殺し屋シリーズの『AX』の主人公の恐妻振りは、ほとんど自分のことを描いてるようで、こちらも大好きです。
これも英訳されてるといいなぁ。

グレシャムの法則
ニコさんのコメント
2022年9月3日

コメントありがとうございます。
なるほど確かに!
原作通りの王子なら鈴木も出さないといけないし、原作の王子だと作品全体のテイストが変わって、ちょっと重くなり過ぎそうです。
(鈴木を出すなら、それはそれで見たいのですが……)
ハリウッド的誤った日本あるある、あれは客観的に分かってて、リスペクトもほんの少しの自虐も込めてやってると思います。
原作の路線も映画的エンタメ性も大切にした本作のアレンジは大成功ですね。

ニコ
talismanさんのコメント
2022年9月2日

富士山の姿がとても山!で新鮮でした。

talisman
talismanさんのコメント
2022年9月2日

ブラピは本当にかわいいですね。レモン🍋くんも良かった。子ども時代の回想シーンにはジーンとしました。

talisman
Bacchusさんのコメント
2022年9月2日

超原作愛が伝わるレビューですね!
確かにこういう作品って結構原作からズレてしまいますが、今作はそれでもしっかり原作を意識してしっかりプロットが練られているなと感じました。

なないろさんのコメに書かれている陽気なギャング、確かに観たい!
邦画版は悪くはないけれど…という印象でしたしね。

Bacchus
なないろさんのコメント
2022年9月2日

グレシャムの法則さん……

私も…全く同じ事を思っておりました……((((;゜Д゜)))
この監督で陽気なギャング映画化したら面白そうって……!!!

サミュエル・L・ジャクソンいそう!!

なないろ
なないろさんのコメント
2022年9月2日

素晴らしいレビュー感動致しました(ノ_・。)本当に、伊坂作品を情熱を持ってハリウッドに持ち込んでくれた方々始め、携わってくれた全ての方に感謝ですね!
テイストは違うくとも、原作は間違いなくマリアビートルと感じられる作品でした。
檸檬の驚きの最後は監督が愛しすぎたのがよく解ります(笑)それだけに蜜柑ー!!となりましたが、フルーツの蜜柑になっての登場は、「そんな細かい所まで!」と、原作へのリスペクトが更に感じられて非常に嬉しかったです。
改めて伊坂さんの作品の力の凄さを実感致しました。

なないろ