「【”まほうの家の窃視感。新居の玄関の横に植えられた白い椿の花言葉。”今作は映画監督、斎藤工氏がその映画愛に基づく知識、経験を基にした力量を存分に発揮した不穏感極まりなき恐ろしくも哀しき作品である。】」スイート・マイホーム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”まほうの家の窃視感。新居の玄関の横に植えられた白い椿の花言葉。”今作は映画監督、斎藤工氏がその映画愛に基づく知識、経験を基にした力量を存分に発揮した不穏感極まりなき恐ろしくも哀しき作品である。】
ー 斎藤工氏と言えば、誰もが知っているシネフィルであり、映画監督としても「blank13」で父との確執を描き、「MANRIKI」ではシュール過ぎる世界観を作り上げていた。
そして、今作。
正に満を持して、氏が正攻法で製作した怖い、且つ見応え充分な作品なのである。-
◆感想
・冒頭の地鎮祭のシーンをやや褪せた色合いで映した事と、小さな女の子が両手で顔を覆いつつ、片目であるシーンを観る表情。
ー 観る側は、ケンジ(窪田正孝)の新居の地鎮祭かな、と思わされる。だが目出度い筈の地鎮祭なのに席に座っている人たちは、葬儀に来ているようである。そして、このシーンとラストシーンとの連関性も見事なのである。-
■ケンジとヒトミ(蓮佛美沙子)夫婦は寒すぎる松本のアパートから”まほうの家”とネーミングされた夏涼しく冬温かいマイホームを、一級建築士で明るい本田(奈緒)の設計した”注文住宅”として手に入れる。
だが、同じ会社のアマリ(松角洋平)は、その事実を知らず別の設計士を紹介するがケンジは”本田さんに頼みましたから”と断る。
ー この設定が、絶妙に巧いのである。アマリの顔が怖い・・。で、ケンジ勘違い・・。ー
・ケンジの家及び周辺では、次々に不可解な出来事が起こる。遊びに来た子供達は”お化けが出る”と言って近づかなくなるし、ヒトミも”誰かに四六時中見られている気がする。”と口にする。
そして、アマリはケンジの家の近くの雑木林で首吊り状態で発見され、ケンジの浮気相手だったユリエ(里々佳)はケンジとの密会動画を拡散され、神経を擦り減らし”自死”する。
ー 恐怖の気配を予感させる歪んだカメラワーク。地下室の暖房機の微かな音。家の中のどこかから聞こえる不協和音が観ている側の嫌な感じを増幅させていく。ー
・引き籠っているケンジの兄、サトル(窪塚洋介)の”お前にはアレが見えないのか。アレから家族を守らなければ。”と言う言葉と、フラッシュバックの様に映される父からのDVシーン。
ー 見事な、過去と現在の負の連鎖を表すシーンの映し方である。そして、ケンジが過去に起こした事件も明らかになるのである。ー
・ケンジが知った、本田さんの哀しき過去。彼女は地鎮祭の時に夫を交通事故で亡くし、お腹の子も死産していた事実・・。
ー 本田さんが”狂って行った”ことが良く分かる。今作の奈緒さんの笑顔は怖すぎます・・。-
■怖さMAXシーン幾つかを記す。
1.ケンジの家で、サトルがケンジの娘を庇うように刺殺された現場にたサトルが駆けつけ、兄の死体を見つめるシーン。
2.ケンジが自宅の娘の部屋から、屋根裏に上がった時に観たベッド、人形、そして家中を映し出している大画面・・。
ー ウワワワ・・。何しろ、”彼女”は設計士だからね。ー
3.閉所恐怖症のケンジが娘を探しに暖房機のある地下室に階段で降りるシーン。そこにいたのは・・。そして、”彼女”はケンジを閉じこめ、温度を70度まで上げていくのである。
ー もう、止めて上げて!。で、ケンジの様子を伺いに来たナイフを持った”彼女”。タックルで”彼女”を刺すケンジ。手に嫌な汗がびっしりである。-
4.再び、屋根裏のシーン。
そこには娘を抱いたヒトミが居る。(明らかに、精神がオカシクなっている。)
正座し、両手を付いて浮気を詫びるケンジだが、ヒトミは”白い椿”で娘の眼を付き、笑顔で言った言葉。”これで、怖いモノは見えないね。”
ー もう、ホント、勘弁してください・・。可哀想だよ・・。-
<不穏感満載の中、徐々に明らかになる哀しき若き女性の狂った所業が”これでもか!”と描かれる作品。
今作は、シネフィルとしても知られる齊藤工氏が、その豊富な映画知識、俳優としての経験をフルに活用して製作した正統的な、邦画ホラーの逸品なのである。
怖かったし、果てなく哀しかったよ。暫く嫌な余韻が残りそうな作品でもある・・。>
こんばんは。
竹中直人さんもそうですし、福山さんも出資されているようですね♪
齊藤工さんには俳優業も続けながらも監督としてもコンスタントに映画を撮って欲しいですね!
9月も楽しみな新作が多いので気合い入れていたのですが、早速本日、子の発熱早退をくらい、
「ほつれる」
見送りになりました( ; ; )
お陰様で子は帰宅後すぐに復活をとげましたが、ちょっと複雑な心境の母さんをお許し下さい笑