劇場公開日 2022年5月20日

「コスプレ2.5次元映画」鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー ばるすパパさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0コスプレ2.5次元映画

2022年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「期待したより良かった」という意見に少し期待して劇場へ。見事に裏切られたと言うより、やっぱこんな感じかというのが正直な感想。興味ない俳優が出ている2.5次元の舞台を見せられた印象。キングダムと同様世間の評価とのズレを感じて、漫画原作の実写化の意義について考えさせられました。

 漫画とは言うまでもなく動かないし音も出ません。だからこそ限られたセリフと何よりも絵で演技をします。名作漫画ほどセリフの無い絵に様々な意味を込めて名シーンを演出します。原作者の意図を読めなかったアニメ化では、しばしば名シーンを「こうじゃない!」と改悪して批判をうけることがあります。しかし本来アニメは原作のイメージをほとんど損なうことなくビジュアル化が可能で、監督、演出家、アニメーターによって原作にプラス要素として働く場合がとても多いメディアです。進撃、鬼滅、呪術と最近の原作付アニメの名作はみんなそうでした。

 実写となると「原作ビジュアルの再現」という第一段階のハードルがとてつもなく高く、現代の世界観から離れた作品ほどそのハードルを越えるのは容易ではありません。ハガレンのような完全な異世界物となると、アニメ化ではプラス要素に働きやすいビジュアル再現が、実写ではマイナススタートとなるリスクの方が遥かに高いという事です。

 前作から続いてキャラのビジュアルはコスプレと揶揄されるくらい酷く、逆に原作やアニメに寄せて来た今回の脚本とセリフが駄目な絵面に激しくアンマッチしていて、「頑張って日本人キャストで原作で実写再現してみた!」というユーチューブ動画のように見えました。漫画やアニメの「あの絵」で完璧だった名シーンのバランスが、コスプレしたキャラと、役者の個性が多分に混ざった「演技」がごちゃ混ぜとなって、物凄く滑稽に思えました。

 アニメの後発である前提で、アニメを超えられないなら無理してアニメや原作のセリフに寄せる必要性を感じません。原作に寄せて作りたいのなら、そもそも制作費が圧倒的に足りていません。CGも恥ずかしくなるくらいCGでしたし、衣装やセットももろに「衣装やセット」でした。

そしてやっぱり誇張した絶叫、悲鳴、嗚咽にわかりやすいBGM足しただけの邦画でした。

後編どうしようかなあ。観に行くのかなあ、やっぱり。ハガレン好きだし、日本映画に頑張って欲しいし。・・・こんなレベルを高評価で本当にいいのか? 「日本はアニメだけ」ってまた言われそう。

ばるすパパ