劇場公開日 2022年5月20日

「前作より格段におもしろい!」鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前作より格段におもしろい!

2022年5月27日
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原作未読ながらテレビアニメで、その世界観とストーリーに引き込まれた鋼の錬金術師。もちろん前作も鑑賞しましたが、正直やや残念な出来栄えでした。そのため、本作も期待半分不安半分での鑑賞でしたが、予想外におもしろく仕上がっていて大満足です。

ストーリーは、兄や同族を死に追いやった国家錬金術師への復讐に燃える傷の男・スカーと、彼に命を狙われる錬金術師兄弟のエドとアルの戦いを通して、その裏で密かに進行する国家レベルの陰謀が透けてくるというもの。スカー編を主軸に据えて、物語の核心へと繋がる原作最終盤を描きます。それゆえ濃密なストーリーにワクワクさせられます。これをテンポよく描き、迫力のバトルを散りばめ、ラストまでだれることはありません。

舞台がヨーロッパ風の外国ということもあり、キャスト全員が日本人なのにも関わらず、外国人を気取っているのはもちろん許容しますが、特筆すべきはキャスティングと特殊メイクです。やや違和感を覚えるキャラもいますが、全体的に原作の雰囲気を壊さない配慮を十分に感じることができました。

加えて、外国の街並みを感じさせるロケにCGをふんだんに盛り込んで作り上げた舞台と世界観、さらにはなんでもありの魔法のような錬金術を可視化した映像表現もなかなかに見応えがありました。シーンによってはややチープに感じるVFXもありますが、邦画の予算を考えれば大健闘と言えます。

主演は前作に引き続き山田涼介くんで、まあ及第点という感じです。そんな彼をむしろ食っていたのではないかと思うほどの存在感を見せたのは、スカー役の新田真剣佑くんです。スカーはおっさんのイメージでしたが、本作の真剣佑くんは紛れもなくスカーでした。その他、ディーン・フジオカさん、舘ひろしさん、本郷奏多くん、渡邊圭祐くんらが、がっちりと脇を固めており、本作のクオリティを高めています。

前作を確実に超える良作だとは思いますが、錬金術や国家錬金術師の存在、エドとアルがこのような姿になった理由など、そもそもの設定の説明等が一切ないので、初見ではなかなか理解しにくいのではないかと懸念します。何の予備情報もないかたは、できれば先に前作を鑑賞しておくことをお勧めします。

さあ、ここからというところで終幕となった本作。後編の予告が流れてさらに期待が膨らみます。今から1か月後が待ち遠しいです。

おじゃる