「金の魔力」シャイロックの子供たち U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
金の魔力
プライムありがとう。
面白かった。
銀行の専門的な事は分からないのだけれど、この動悸が早くなる圧迫感は"金"に関する物語だからであろうか。
銀行の支店長が絡む巨額の融資詐欺事件が本作の内容で、その事の起こりから丁寧に追わせてくれる。
張られる伏線もキレイに回収され、満足だ。
ただ、ラストに至る倍返しの爽快感まではなく…消化不良気味ではあるものの、大悪が屈服する様を見たいというのも悪趣味なような気がして、後日談と締め括られる本作は、歯切れがいいと言えば歯切れがいい。
滝野のラストが綺麗過ぎると言えば綺麗過ぎるのかなぁ…。どこまで告白したかは分からないけれど、10億円の巨額な詐欺事件の共犯って事までは自白しなかったろうし、問い詰めもされなかったのかな。
100万円の横領になるのかしら?専門的な事は分からないけれど、辞職って幕引きでも良かったような気がする。
役者陣は皆様熱演で…
橋爪さんと柄本さんの共演には気持ちが昂る。
芝居巧者であり曲者同士の妖怪達がどんなやり取りを繰り広げのか…どうやら柄本さんは受けに徹してたようで、その辺りは肩透かしと言えば肩透かし。
ともあれ、皆さん覇気に溢れてた。
本筋とはほぼ関係ないのだけど、狛犬に頭を下げる銀行マンにはゾッともする。
金に追い詰められる訳ではないものの、銀行内部の圧力というか、サラリーマン社会の暗部が強烈に描かれてて、このエピソードが主要人物達の環境を補填してくれてたような気がする。
神経すり減らして生きてんだろうなぁ…って想像に輪郭が伴うような感じだ。
金ってなぁ、怖えぇなあと改めて思った。
人物の背景もさる事ながら、よく出来た脚本で、よく出来た作品だった。
劇場で見逃してた本作。ようやく観れたわけだけども満足だった。
「倍返し」の決め台詞には、どうしたって期待感を持ってしまうしテンションが上がった。
ただまぁ、素人ながら思うのは、銀行の支店長クラスが養育費20万+競馬で、あそこまで身を持ち崩すのだろうかって言う疑問だ。
まぁ、汚職に手を染めていたのなら湯水の如く沸く金に麻痺もするんだろうなぁ。
札束の帯がキーアイテムなのは楽しかったなぁ。
あんな紙切れ1枚で、人生を左右されてしまう人の無力さというか、愚かさというか…いいギミックだった。