劇場公開日 2022年11月25日

シスター 夏のわかれ道 : 特集

2022年11月21日更新

「マスクが濡れるほど泣いた」「リアルで残酷」…
信じられないほどの【大論争】がネット上で勃発!
見知らぬ“弟”を育てる女性…あなたならどうする?

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号泣させられつつ、この涙は何の涙なのか?と考えさせられる。11月25日公開の「シスター 夏のわかれ道」は、まさに“静かな問題作”と言うべき作品だ。

疎遠だった両親が事故死し、突然、現れた見知らぬ6歳の弟を“育てる”ことになった主人公の葛藤、決断。公開されるやSNSで感動と共感が爆発的に拡散される一方で、主人公の選択をどう評価するのか、大論争が巻き起こり、一気に社会現象と化した。

こちらの特集では本作をめぐる観客、批評家たちの反応、賛否の声などを紹介・解説していく。


【予告編と作品概要】見知らぬ弟が現れ、私は突然姉になった。

「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」などの大作を超えるメガヒットを記録。中国版アカデミー賞といわれる金鶏奨ほか、国内の映画賞を席巻した。映画批評サイト「Rotten Tomatoes」においても満足度100%を叩き出すなど、国や文化の違いを超えて感動を呼んでいる。


【議論噴出】自分の人生を生きる派VS弟を育てる派
“その選択”が、賛否両論と社会現象を巻き起こした…

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本作で描かれる“姉と弟に対する親の接し方の違い”や“主人公の決断”について議論が沸騰、社会現象に……。ここでは、その過程と理由を解説していこう。


●観客の反応は…「涙でぐちゃぐちゃ」「あまりにもリアルで残酷」
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観客の反応は大きくわけてふたつ。感動と、残酷との声だ。

中国全土での封切りに先駆け、各都市で先行上映が行われたが、本公開前の段階で「マスクが濡れるほど泣いた」「涙でぐちゃぐちゃになった」など感動を伝えるコメントがSNSを埋め尽くした。

一方で、「この映画で提起された問題はあまりにもリアルで、残酷である」との意見も。誰もが自然と「もしも自分自身だったら……」と考えてしまう迫真の物語とテーマゆえ、“刺さり具合”が段違いだったようで、尋常じゃない熱量のコメントがあふれかえった。


●SNS上で[議論がぼっ発] 世論は真っ二つ、社会現象に…あなたはどう思う?
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「議論が起こった」というが、どれくらいの規模だったのか? なんと本作をめぐって世論が真っ二つに割れ、国中を巻き込む社会現象に発展したのだ……!

特にWeibo(中国版Twitter)などでは「#SISTERをどう評価するか」「#個人の価値は家族の価値より大切なのだろうか?」といったハッシュタグが生まれ、まさに議論百出――!

具体的にどのような声が挙がっているのか? 一部を抜粋して紹介するので、今作を観たあなた自身がどのように思うか、ぜひ想像してみてほしい。


<弟を育てず、自分の人生を生きるべき派の意見>

「固定観念を現代に当てはめないで」

「社会福祉は全然進んでいない。支援もないのに、固定観念を守らないといけないって、歪んでいる社会だな」

「姉が弟の面倒を見ることは賛成しない。絶対二人とも悲惨な人生を送るから」

「個人の幸せが一番大切」

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<自分の人生はともかく、弟を育てるべき派の意見>

「姉は弟と離れられない運命だと思う。姉として生きることは、決して悪い事ばかりではないと思う」

「いまの社会は、黒か白しかない。女性として自由に生きることは重要だけど、姉として生きることも大切」

「自分だけのために生きるって、そんなに簡単じゃない。色んな人との関係性で繋がってるから。運命に向き合うことで、いいこともあるかもしれない」

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本作の“自分の人生を生きるか否か”という問題は、世界中の人々も共通して抱える悩みだと言える。では日本の観客は、物語やアン・ランの決断をどのように受け止めるのか――?


【レビュー】女性編集者が観たら…
「人生は短い。どう生きるか自分で決めることが重要」

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日本での反響を事前に予測するべく、映画.com編集部の女性編集者に本作を鑑賞してもらった。

「こうした事柄に、自分ならどう感じるか?」など考えながら、目を通してもらえればと思う。


●開始直後:主人公の気持ちがわからない → 物語中盤:主人公の“怒り”を理解
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「アン・ランはなぜ医者になりたい?」。しばらく、私は彼女の気持ちがわからなかった。

優秀な看護師で、ステキな恋人もいて、恋人の両親は交際に反対するどころか、早く結婚してほしいとさえ思っている。それなのにアン・ランは、押し付けられた弟と暮らしながら参考書を開き、“医者になる夢”のため必死に勉強する。

そこまで自分を追い込まなくたって、恋人と結婚して、弟を引きとればすべて丸く収まるじゃないか。そんなふうにさえ思った。

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でも、しばらくして気付いた。彼女は親戚一同からいきなり「弟を育てろ」と命令され、“夢を強制的に諦めさせられる”=自分で人生を選べないことに、無性に腹が立っているのだ。

少し前に「親ガチャ」という言葉が流行した。生まれる家庭を選べないことへの嘆きをはらんだ言葉だ。人によっては、本来は自分自身で決めるべき“人生をどう生きるか”すらも、選ぶことができなかったりする。

誰もが一度は経験する“境遇への不信感”のような感覚を思い出し、唐突に、アン・ランの気持ちがよくわかったような気がした。


●“人生を選べない人々”に共感…苦しい決断の“その先”とは? ぜひご自身の目でたしかめて
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本作には、そんな“自分で人生を選べなかった人”ばかりが登場する。アン・ランと弟はもちろん、実は親戚一同(伯母や叔父)、そして裕福な家庭の息子として育った恋人さえ皆、窮屈な人生を生きているのだ。

アン・ランは“娘”というだけで、選択を奪われてきた。彼女にとって医者になる夢は、親や社会によって失われた自尊心を取り戻す“生きるための選択”。幼い弟にいくら情がわこうとも、そう簡単に諦めることなどできないのだ。

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中盤、「お姉ちゃんと一緒にいたい」という弟に、アン・ランは“ある言葉”をかける。やがて彼女は決断を迫られるが、どちらを選択したとしても、どうあっても後悔するに違いない。

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それでも私は、アン・ランの“決断のその先”を応援する。行動を選べなかった彼女が、誰かの強制ではなく、自分で“どうするか”を選び取った。その事実は決して彼女を不幸にはしないはずだ。両手いっぱいの勇気をもらえて、私もそんな風に生きられればと思った。

これから鑑賞する人はどう思うだろうか? いろんな人と語り合いたい。そう感じながらエンドロールを眺めていた。

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