シスター 夏のわかれ道のレビュー・感想・評価
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結末でもたらされるもの。それは理想か現実か。
「一人っ子政策」に関するこれまで漠然としか知らなかった実態が、ひとつの家族の肖像を通じて真水のように流れ込んできた。冒頭、両親が亡くなってしまうショッキングな前提条件が付与されるが、なるほど、こういった特殊な事例によって、我々は生まれた側、すなわち子供たちの視点でジレンマに満ちた世の中を見つめることが可能となる。真空状態にはまり込んだかのように、そこで初めて出会い、家族であることを認識する姉と弟。片や望まれずに生まれ、片や宝物のように大切に育てられた側である。先行するのは歴然としたわだかまりだったはず。ある程度年齢を重ね、ずっと我慢する側だったお姉ちゃんは特に。こういう心理描写ひとつひとつが興味深い上に、世代の違う叔母や叔父たちの境遇なども加えて、物語は立体的になる。ただし終盤、主人公の思考が感情に押し流されるのが惜しまれる。もう一歩、いや半歩先の結末を提示できたのではないかとも思うのだ。
お姉ちゃんだって、生きる道があるのに
「お姉ちゃんなんだから、夢をあきらめて弟を育てなさい」
周囲のこの考えに、まず全く賛同できなかった。
一人っ子で母性本能が全くない私だから?。
これがもし「お兄ちゃん」だったなら?。
最初30分ほどが結構退屈で、最後までやけに長く感じた。
だけど「長男」思考の国、ああこれ一人っ子政策の話も少々入ってる?(多分)。
家族の枠から抜けた姉が、結局その枠に帰っていくのか。
その辺りが、切ない。
スイカを食べた記憶と夏のほろ苦い思い出! 姉が選んだ道とは?!
中国の一人っ子政策により生じた、
家族のバラバラな思いや社会のひずみ、
事故、亡くなった親が灰になり、小さなお墓に入った。
生まれたときから孤独を感じていた姉の
アンラン、親が居なくなったことで
寂しい感情をぶつける弟のズーハン!
看護師として働きながら、病院での実態
子供を育てることの難しさや、親の環境の
大事さが実話のようにリアルに描かれた
ストーリーでした。
弟のズーハンがお姉ちゃん!!
と呼んでくれてアンランを抱きしめたとき
絆が芽生えた!
弟がいてくれて良かったと思いました。
すれ違う感情があっても、あの選択で良かったと信じたい心境で観終わりました。
中国の伝統的な家族観を批判
ヒロイン、アン・ラン(チャン・ツィフォン)は北京の医学大学を志望していたが、「女の子は家族を世話するもの」と考える両親に、願書を勝手に地元大学の看護学部に書き換えられた。以来、両親とは距離をおき、今は看護師として働きながら、独力で北京の医大進学に向けて、受験勉強し、学費を貯めている。ところが、両親の事故死を機に、会ったこともない幼い弟が現れ、親族から「姉だから」という理由で養育を押しつけられる。待望の男の子として甘やかされ、わがまま放題に育った弟は、目障りで足手まといでしかない。アン・ランは弟を養子に出そうとするが、「女は家族に尽くすもの」と信じる叔母や、博打好きで遺産を狙う叔父が絡み、弟と心ならず同居を続けるうちに、季節は夏へと変わる。弟との間に少しずつ心が通い合うようになったアン・ランは、夢の実現か弟かの選択に葛藤する。その選択は、思いがけない形で動く。
アン・ランの表情はいつも硬い。自己実現を阻む両親や親族や社会に対する怒りを秘めている。その怒りは、始め弟にも向いている。しかし、時がたつにつれ、クスリという笑いに始まる情愛の小さな流れが、巨大な怒りの底で勢いを増すさまに心を打たれる。その流れは、敵に見えていた叔母や叔父への見方も変える。「男の子が家を継ぎ、女の子はそれを支える」という中国の伝統的な家族観を批判しつつ、人間への信頼を失わない姿勢に救われる。
ただ、ラストシーンにはやや違和感がある。別人が演出したような感じがする。
以前どこかで観たようなストーリー
一人っ子政策にスポットを当てた点は新しいが、
家族の再構築物語って点で言えば、なんか以前どこかで観たような手垢のついたストーリー。
お姉さん役も上手だし、
弟役が最初は可愛く見えないのに、だんだんかわいく見えるのもお決まりだし、
映像も美しいし。
これら全てが新鮮味に欠ける要因のように思う!!!
こういう映画の「ありきたり」満載。
弟かわいいんだもん...
うーん…深いなぁ…。
少子化政策、男尊女卑、隣の国の話だけれど、
身につまされるところもありで、
胸が詰まったような感覚で見ていた。
結局、血のつながりと情は深かったか...。
ただ、彼女が別の道の方を選んだとしても、
それはそれで良かったのにと思ってしまいました。
おばさんの演技がとても素晴らしかったです。
中国の家族親族関係と心理描写
ラストがある程度予想できる物語であるものの、そこに至る主人公の葛藤や心理描写が細かく切なく描かれている点が感情移入を誘う。道義的には正しい選択ではあるものの、自分の夢や希望と葛藤する姿が切ない。中国の親族関係や家族関係に潜む利己的な強制はあそこまであからさまでなくとも日本社会にも潜んでいる。
姉弟の感動作でした
レビュー評価がかなり高いので見てきました。
やはり中国映画のクオリティの凄さを感じる作品でした。
一番の魅力は兄妹と親戚達のリアルな演技につきます。
突然両親を亡くした姉と年の離れた弟との生々しい関係を描いた感動作でした。
詳細を見ないで初見で楽しんだ方が感動できると思います。
ラストまでこの兄妹がどうなるかヒヤヒヤしますが予想外のエンディングに泣けました。
中国の社会情勢と姉の強い生き方が切実に感じる良心的な作品でした。
公開時期も限られているので見逃している方は早めにご覧ください。
ひとりっ子政策って何なのよ!
久しぶりの中国映画。前に観たのは家族愛がテーマだったなぁって思いながら着席。
主人公はナースのお姉さん。医者になりたくて北京の大学院に入学する為にいろいろ頑張ってました。ある日、疎遠だった両親が交通事故で亡くなって、会ったこともない弟君の養護を親戚中から押し付けられる。ん?これ、日本ではなかなか起きない話しだよね。だって、めっちゃ若い働くお姉さんに6歳の子どもを育てろってさ、無理じゃね。いやいやながら弟と暮らし始めるが、夢を諦めたくないので、弟を養子として受け入れてくれる人を探し始める。その判断も日本人には理解し難いよ。そして男の子が欲しい夫婦がバンバン。中国ってそんな社会なの??大人は家を所有しなくちゃいけないの?男の子しか家を継げないの?亡くなった両親は男の子が欲しくて、姉は身障者だと嘘をついて役所に2人目を作っていい許可を貰ってる。何じゃそれ!ま、話のオチは想像通りだけど、途中、主人公の目先の判断で二転三転。自分の気持ちはどっちなんだよ〜!って思いながらちょいちょいウルッ。
葬式で賭けマージャンしたり、家族が病死したら病院に慰謝料を要求するとか、家を売って半額を養育費として渡そうとするとか、お金の話多かったな。
中国と日本の違い
一人っ子政策の余波なのか
国民性なのか
現実的なのか
日本では作らない内容でした
中国の雰囲気も伝わるし
なかなか見応えがありました
が
その日は朝から映画館詰めで
最後の5本目でしたのもあり
最後に観るものではないなと思いました
一人っ子政策の悲劇に光を当てた良作
一人っ子政策の歪みを鋭く描いた中国映画でした。中国映画は、昨年「少年の君」を観て以来でしたが、直接的な政府批判が検閲に引っかかってしまう状況下にあって、実に上手く社会問題を捉え、そして表現しているところが素晴らしいと感じました。
本作のテーマとなる一人っ子政策は、1979年から2014年まで実施されていた中国の人口抑制政策ですが、原則一人しか子供を作ってはいけないことから、男子に家督を継がせたい親にとって、女子が生まれた際の失望は相当なものだったとか。そのため、女の子が生まれても出生登録しないこともあったということも聞くなど、家族の中でも大きな問題が生まれたと言います。また社会全体でみても、男女比率が歪になってしまうといった問題も発生してしまったり、日本とは発生原因は異なるものの、少子高齢化が進んでしまうという結果をもたらしたため、ようやく最近になって方向転換しました。
本作は昨年制作されたもので、舞台も現代。主人公のアン・ランは、元々医者を目指していたものの、男の子が欲しかった両親との確執もあり、経済的に独立することを優先させて今は看護師をしている。最近は両親とも疎遠になっていた彼女に、突然両親が交通事故で亡くなってしまったという連絡が。そして久々に実家を訪れると、そこには存在すら知らなかった弟・アン・ズーハンがいて、親類から弟の世話を押し付けられてしまう。
前述のように、2014年に一人っ子政策が終わったので、両親がそれ以降2人目の子供を作ったようで、アン・ズーハンはまだ学齢にも達しておらず、幼稚園に通っている年齢でした。
アン・ランは、看護師として勤めながらも医者になることを諦めておらず、北京の医大を目指して勉強していたので、幼稚園に通う弟の世話を拒絶するものの、周りから何のかんのと言って同居することに。それでも里親を探して1日も早く1人の生活に戻ろうとするものの、中々果たせない。それでもようやく里親を探して弟を引き渡すことに成功したものの・・・
両親が交通事故で亡くなった場面から始まったため、それまでの経緯などが全く分からない観客は、まずは両親が亡くなり弟を押し付けられるアン・ランに同情したんじゃないかと思います。ところが、あまりに強情で自分勝手とも思える彼女の態度に、同情しつつも首を傾げたんではないかと思います。ところが物語が進むにつれて、彼女が両親から受けた仕打ちが語られるにつれて、彼女への共感が再度芽生えるように創られていたところが、非常に上手だと感じました。
特に、一人っ子政策で第2子を作ることが原則禁じられていたものの、第1子が障碍者であった場合などは、特例が認められていたようで、アン・ランの両親は彼女を障碍者と偽って第2子を作ることを認めて貰うよう役所に申請していたことが語られるに至り、そりゃあ彼女が強情になるのも仕方ないよなと感じることになりました。
また、弟の世話を押し付けた親類たちも、自分勝手な行動をしたりするものの、最終的にはそれぞれの事情が分かるような話になっていて、観客を安堵させることに。
そしてはじめはそりが合わなかった弟との関係にも、徐々に変化が出てくるところも、観客の心を鷲掴みにする説得力があったように思います。
ちょっと疑問だったのは、アン・ズーハンのあまりに理知的過ぎるところ。彼を演じた子役・ダレン・キムは、「天才子役」と称されているようで、確かに演技は上手いんだけど、幼稚園児が大人とまともな会話をするなんてことは、実際にはまず無理で、その点リアリティが低かったかなと思われました。勿論姉弟の関係、会話が本作のメインテーマなので、2人の会話なくして本作は成り立たないのですが、少し残念な設定でした。
そうした部分がありながらも、一人っ子政策がもたらした悲劇に光を当てた価値は非常に大きく、評価は★4としたいと思います。
jie、jie。
中国人は、この手の映画がお好きなようだ。そして上手い。どこかの記事で読んだが、監督は是枝監督の映画を繰り返し観たという。なるほど、と思う。
両親の愛をもらえなかった姉と、愛情いっぱいに育てられた幼い弟が、出会う物語。叔母さんと伯父さんの二人の存在が、とても深みを加えている。いくつかの場面でそれぞれ、うっすらと涙を溜めながら微笑む姿には姪っ子と甥っ子にたいする無償の愛があらわれていた。
そして、オープンエンドの結末(すでに記事にもなっているので書くが)の余韻のすがすがしさ。おそらく、連れていくのだろう。そして、この先二人には苦労が付きまとうだろう。そしてそのたびに𠮟りつけ喧嘩もするだろう。だけど、お互いをかけがえのない存在だと確かめ合った二人なのだから、たぶん、乗り越えていくだろう。
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