シスター 夏のわかれ道のレビュー・感想・評価
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全中が泣いた!?お姉ちゃんの苦悩
若いお姉ちゃんも伯母さんお姉ちゃんも男子偏重主義の世間に悩まされてきたけれど、ぜ~んぶミニイケメン弟君に持っていかれた!
jie、jie。
中国人は、この手の映画がお好きなようだ。そして上手い。どこかの記事で読んだが、監督は是枝監督の映画を繰り返し観たという。なるほど、と思う。 両親の愛をもらえなかった姉と、愛情いっぱいに育てられた幼い弟が、出会う物語。叔母さんと伯父さんの二人の存在が、とても深みを加えている。いくつかの場面でそれぞれ、うっすらと涙を溜めながら微笑む姿には姪っ子と甥っ子にたいする無償の愛があらわれていた。 そして、オープンエンドの結末(すでに記事にもなっているので書くが)の余韻のすがすがしさ。おそらく、連れていくのだろう。そして、この先二人には苦労が付きまとうだろう。そしてそのたびに𠮟りつけ喧嘩もするだろう。だけど、お互いをかけがえのない存在だと確かめ合った二人なのだから、たぶん、乗り越えていくだろう。
年間ベスト10レベルの傑作
四川省を舞台にした一人っ子政策下の中国、第二子出産をめぐる事件が引き金となる物語。 男子がほしい主人公の両親は長女が身体障碍者であると偽り、次男を生む。 親と決別した彼女は、両親の交通事故でひとりとなった弟とはじめて再会する。 はたして二人きりの姉弟は一緒に生きる道を探るのか、それとも養子として育ててくれる人たちを探すのか…。 まるで是枝映画のように、一切むだのない映像が120分つづく。主人公のチャン・ツイフォンのメリハリのきいた演技がすばらしい。映像もいっぷくの絵となるようなショットを連発して気持ちいい。 人物を映すキャメラがどんなにアップになっても、必ず瞳にフォーカスがあたっている。 被写界深度の浅いレンズで撮影された映像が、主人公の内面をみごとに表現している。 監督は36歳の女性監督イン・ルシオン。映像の何たるかを熟知してる稀有な人物とみた。 「自分の人生は自分で選ぼう」と語る彼女は、まやかしでないダイバーシティ感を随所にちりばめながら、欠点だらけの端役にも優しい眼差しを絶やさない。 若い監督にこのような優れた作品を撮らせてしまう中国映画界の実力に改めて驚いた。 「コーダ あいのうた」を気に入った方にオススメします
今の中国っぽいのかな。
やたらと怒りっぽい感じとか喧嘩っ早いところは昔の中国っぽいけど、いろいろときちんと処理する感じは今の中国なんだろうね。公安とか家とか保障とか適当な感じがないのが驚きでした。 主人公の女の子と彼氏はすごくいいし、おばさんもおじさんもいいけど、子役が今一つでした。
ラストはきれいにまとめすぎ…
中国作品だから話の結末もいろいろ調整が必要なんだろうけれどお話自体は家族の繋がりのあり方、人の優しさ、人生のあり方とかどれもこれも考えさせられる内容だった。それに、ひとりっ子政策って究極の策だったんだなー、と改めて痛感。
子役が芦田愛菜ちゃん似(笑)
主人公は頭からなんでこんなに弟に冷たいのかと異国の観客には反感を覚えさせる作り。段々と伝わる歴史的な背景や優しすぎる美しいおばさんの本人と重なる経験に、こちらも納得せざるを得なくなって行き、次第にボロボロと落涙。本国で大ヒットとのこと、こうした事例はあちこちで実際に起きていたのだろう。副作用として男女比が酷いことになっているとも聞く。 ラストの処理はあまり好きではなく、あの夫婦に任せつつ長く姉弟として付き合っていく形にして、家族と個人を両立させる新しい中国人を見せてほしかった。(追記:「少年の君」や「薬の王じゃない」の蛇足エンディングを見ると、恐らく彼の国の検閲的な物をクリアして世に出すための自己規制の面もあるんでしょうかね) 主役の娘役はスッキリした顔でファッションも現代の中国人。弟役は顔立ち・眠そうな目元・への字っぽい口元など、「MOTHER」の頃の愛菜ちゃんそっくりだった。 原題は「我的姐姐」、「シスター」というよりは「僕のお姉ちゃん」的な暖かさ。
絶望的な男性優位社会の下で暮らす人々の複雑な感情を掬い上げる残酷でありながら優しい物語
親元を離れて看護師として働きながら医師になるために恋人とともに成都から北京へ移住して大学院への進学することを目指していたアン・ランは突然両親がトラックとの衝突事故で亡くなったことを知らされ葬儀に参列するが、そこで6歳になる弟ズーハンを紹介される。アン・ランは娘であるというだけで両親に愛されなかったことに耐えられず両親と別居したが、両親はその後ズーハンを授かっていたのだった。親戚達にズーハンを押しつけられてやむなく一緒に暮らし始めるアン・ランは両親の死も理解出来ないほどに幼いズーハンのワガママに振り回されて疲弊していく。 女性として生まれたというだけで愛されず自分の力で人生を切り拓くことを決意し逞しく生きてきた主人公が、自分とは真逆に男の子として生まれたことで両親の愛情を存分に浴びて育てられた弟の世話を強いられるという中国ならではのテーマの掘り下げ方がとにかく残酷。両親は娘が障害者であると偽って二人目の子を持ちたいと申請していたことを知らされ、北京に一緒に行こうと約束していた恋人もどうも本気に進学しようとは考えていない。親戚達も両親の元から逃れていたアン・ランに対して辛く当たる。姉としての責任とただ自分の道を進みたい情熱に引き裂かれそうになるアン・ランの葛藤がとにかく痛々しい。 アン・ラン以外の登場人物たちは皆複雑な心情を抱えていて、何かとアン・ランの邪魔をする叔母は自身も弟のために進学を諦めているし、定職に就かず朝から晩まで麻雀三昧の叔父はアン・ランの両親の墓参りを欠かさない。両親が事故を起こしたトラック運転手は事故当時飲酒していたことが判明するが、仕事ぶりは真面目で一人娘をズーハンと同じ幼稚園に通わせている。誰もが傷ついていてそれがゆえに誰かを傷つけずにいられない因果応報の果てに訪れる終幕にはどうにも割り切れない思いが滲んでいてどこまでも健気なズーハンとアン・ランが愛おしく何度も何度も泣かされました。 絶望的な男性優位社会を勇気を持って激しく糾弾しながらもそこに生きる人々の様々な感情を丁寧に掬い取る優しい物語を作り上げたのは監督のイン・ルオシンと脚本のヨウ・シャオイン。大学時代の同期で親友だという二人の絶妙なコンビネーションに今後の作品にも注目していきたいと思います。
声を殺して泣く女たち
悪法ってのはドラマを産むのだな。
中国でもこんな作品が撮れるのかと驚く。
確か現在、その政策は廃止になったと記憶してるのだけど…こんな余波が吹き荒れてたとは思いもよらず。
女子の境遇の劣悪さったらない。
人権どころの騒ぎではない感じで、最早「不要」とのレッテルを貼られてるように見える。
色々とお国の事情はあるにせよ、やにわには信じ難いシュチュエーションのオンパレードだ。
物語の骨組みはよく出来てるなぁと思うのだが、結末としては消化不良な感じだった。
一人っ子政策による軋轢を赤裸々に描いていた割には、無難な幕切れだったように思う。
前半では、まさに子宝とも持て囃される長男の暴君っぷりも強烈に描かれてたりする。当時、我儘に育てられた男子の傍若無人っぷりを書いた記事の記憶が薄っすら蘇る。目に余るのが蔑ろにされている女子の存在だ。
…産まれた瞬間に死産って事にされた子達も数多くいるんじゃなかろうかと。
そこまで人でなしではない事を祈るばかりだ。
主人公や主人公の叔母、主人公の母の世代、様々な世代の苦悩が描かれてる。
主人公の彼氏の軟弱さったらない。箱入り息子なんて言葉がよく似合う。当時の女性たちにとって結婚は、奴隷契約と同じ意味を持ってたのではなかろうか?
息子を産めなかったら一族から袋叩きに合いそうだ。なのだが母性は世界共通らしく我が子への愛情は深く、それ故に苦悩も我慢もするのだろう。
…かの大陸で、女性に産まれた時点で負け組のように感じてしまう。
転院する妊婦さんのシーンとかえげつなかった。
冒頭の携帯のフォルダには弟と両親の写真しかなく、自分の写真は1枚もないとか…おそらくなら父親の携帯ではないかと思うのだけど。
最後の誓約書とか…会う権利まで奪われるものなのだろうか?そしてその誓約書の豪奢な事が恐ろしい。
色々とかの国の社会情勢に沿ったエピソードであり常識なのだろうけど、もう理解と想像の外側にあるような気がして薄寒い。
大陸側の人達もそう感じるのだろう、きっと。
作品的には☆3.5とかが妥当にも思うけど、あまり見る機会がない中国作品って事と、とにかく芝居がべらぼうに上手い!!なので+0.5
子役もそうだけど、主人公も主人公の叔母もピカイチだ。ナースルームで女医にくってかかる時の目の色とか尋常じゃないのだ。
しばらく彼女を観たいが為に中国作品を漁りそうなくらいである。
結局は彼女も一人っ子政策の捻れを甘んじて受け止める。ハッピーエンドでなくてもいいのにと思うし、そうでもしなきゃ検閲にひっかかるのだろうなと邪推する。
幸せに
この姉弟が幸せになれると良いですね。これから多くの問題が起きると思うけど。お互いに支え合えると良いですね。中国の「一人っ子政策」や「男尊」が生んだ世情ですよね。彼女はまだ恵まれた状況でしょうけどね。
お姉ちゃん
設定は昔からよくある話なのだが、中国特有の社会、文化、歴史が織り込まれているので、なかなか興味深かった エンディングが日本、韓国ならもっとエモーショナルな演出にするだろうが、これはこれでいい
みんなに幸あれ
まんま異文化に飛び込めるのが、映画の醍醐味。まさに中国の文化や人々の生活に触れることができる映画。 一人っ子政策。男性優位で女性は家庭の中から出れない。日本と似てるところもあって、お葬式で、お母さんたちが忙しくもてなして、お父さんたちが飲んでる(麻雀はしないかー)場面なんて、見たことあるなぁ。 それにしても、姉、弟、二人ともみずみずしくて、活き活きした演技でしたねー。弟くん、幼稚園でのダンスとか、姉に甘える姿とか、あざと可愛いすぎ笑 丁寧に作られていて、映画の世界に浸れました。
二者択一、両立を超えたところ
主人公のアン・ランは、常に二者択一を迫られている。 大学院の進学を選ぶか、幼い弟の養育を選ぶか。 自分の進路を妨げた亡き両親を憎むか、それとも親は何であろうと親として感謝の気持ちを示すか。 夢を捨てざるをえなかった叔母を軽蔑するか、それとも重病人の夫を介護する彼女を敬うか。 賭けマージャンしかしない叔父をバカにするか、それとも彼の人間らしさに点を与えるか。 二者択一はきつい。だが、両立はもっときつい。 彼女の両親を毒親と言うのは簡単だ。 一人っ子政策の歪みとか男尊女卑の弊害とか、理屈づけるのも簡単だ。 でも、アン・ランに社会は関係ない。自分の感情のおもむくままに、その都度折り合いをつけている。 彼女は、二者択一、両立を超越したところに自分を据えている。その逞しさに微かな光が見える。
良作でした。
脚本としては付いたり離れたりを繰り返す姉弟に焦れったく感じる部分はあるものの、二人の演技が良く涙を誘う場面多いです。 中国社会のひずみを垣間見ているようで、良くこの映画が検閲通ったなとの印象。
女性として、人間として、姉として。号泣の傑作。
ずっと両親とは疎遠にしていた看護師の女性、突然の両親の死によって会ったこともない弟の保護者を押し付けられる。
今なお影を落とす一人っ子政策、家長制度、女性の古い役割の押し付け…もがく彼女を美しい光や色の中で繊細に描いた傑作。中国映画、時々すごいの来る。
同じように一人っ子政策を背景に二つの家族の人生を描いた「在りし日の歌」も素晴らしかった。
余分な説明台詞がなく、小物の使い方もすごく上手い。おばさんの西瓜とマトリョーシカには号泣。もう号泣。声出そうになった。上手い、こういうの凄まじく上手い。今思い出しても泣きそうになる。上半分だけだったり、もう中途半端になってしまったマトリョーシカ。諦めた夢を思い、長年捨てられずにいたのだろう。
しかしラストには正直がっかりした。こんな傑作なのに??ラストだけ。やっぱり彼女が背負うんかーい…となり。終盤の展開も少し雑というか、おじさんが引き取ったりまた戻ったり、やっぱり養子に出したりと短絡的に動いているように見えたし、「やっぱりお姉ちゃんが引き取るのが一番だよね(感動)」とはなって欲しくなかった。それでは旧時代と変わらない。おじさんが育ててやるか、もしくは養子に行った先の夫婦が「いつでも会いに来てね」と言ってやって欲しかった。
この作品、観る人の性別や年代の違いによって、見方も感想も変わってきそうだ。性別や年代によっては、彼女が結局弟を引き取るラストを美しいハッピーエンドと感動する人も多いかもしれない。もちろん姉弟仲良く暮らすことも素晴らしいことだ。しかし、あったはずの彼女の未来や夢、希望は?お母さんのように肉まんを作ってあげているシーンは、正直悲しくなってしまった。しかしこれが現代でも中国の現実なのかもしれないが。
いや、ラストのその先があると信じておくことにする。彼女は弟と北京に行く。お金はあるはずだから、弟を抱えながらも夢に向かっていく。そう思いたい。
人生経験の一つとして、鑑賞をお勧めします。
ダイアン・キートン主演の、「赤ちゃんはトップレディがお好き」を、久々に思い出しました。 事故により亡くなった身内の、幼い子供を養育することは、アメリカ、中国においても、嫌がられることなんだなぁと、改めて思いました。 (そういえば、日本のアニメーションの「すずめの戸締まり」にも、そういうワン・シーンが有りました。) この作品の見所は、主人公の姉の心情の変化の過程で、その感情を、どのように受け止めるかは、観客の考え方次第だと思いました。 ほとんど感情を表に出さず、笑顔になることの無かった姉が、物語の終盤で、明るい笑顔を見せるようになったり、悲しみの涙をこぼしたり、様々な束縛から解放された姿を、女優さんが自然に演じていて良かったと思いました。
女性の選択肢に葛藤し闘うチャン・ツィフォンさんの名演技に滝涙が止まらない
中国映画、自分でも初鑑賞かもしれない。中国ではハリウッド映画を差し置いてメガヒット、日本でも話題作は最初にお伝えすると超お薦め! 中国が国策とした『一人っ子政策』が生んだ女性の悲劇、悲哀を描く。それこそ女は人にあらずの政策が生んだ物語。 中国国内の『ウェイボー』では2020年代の世でも賛否が分かれるという・・・。女性の選択肢に葛藤し闘うチャン・ツィフォンさんの名演技に滝涙が止まらない、ラストは人々に結末を想像させる。中国映画の遥かなポテンシャルを感じる超名作
さすが日本まで届く映画
アジア映画は好き。韓国映画も良いけど今日は中国映画です。日本ではあまり公開されない中国映画ですが、その分、日本で公開される映画は良い映画が多いかと。 この映画は、予告通り、看護師のお姉さんと幼稚園児の弟の映画です。2人の演技は素晴らしい!こっちまでもらい泣きです。 お姉さんは泣くわ怒るは喚くは暴力振るうは、感情の起伏が激しい。 弟もわがままなところと、子供なのに自分んを押し殺す点は涙。 その他、周りの大人たちはダメそうでいいひと。 中国の文化や雰囲気も良いですね。お葬式で供養で麻雀とか。男尊女卑、一人っ子政策とか。 成都が舞台ですが、大都会でびっくり。 とくに男尊女卑は酷いね。一人っ子政策では、女の子生まれると、跡取りにならないから残念がるとニュースでは聞いてはいましたが、実際に1人の人生で考えるととても切ないね。お姉さんの子供の頃の思い出と、現在の両親を亡くした弟と、オーバーラップして切ない。人権無いな。さすが中国。 とにかく、何度も嗚咽1歩手前があります。また、思っていた通りのストーリーながら、予想外の点も多く。 感情がわかりやすいアップシーンとかもとても良かった。涙が綺麗ですね。 韓国映画のように、目薬で大盛りの涙とは違った良さがあります。 韓国映画の味付け濃いめも好きですけど。
フィクションなのに妙にリアル
中国映画の良いところはフィクションなのに妙にリアルであることだ。一見、日本ではありえないことが中国では普通に良く起きる。この映画もごく普通にありそうな話に思えた。 この映画では喧嘩のシーンが多い。実際中国人は喧嘩が多い。しかし、後を引かないので喧嘩をした事などケロッと忘れて普通にしゃべっている。それもやはり中国である。
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