「年間ベスト10レベルの傑作」シスター 夏のわかれ道 po.bacardiさんの映画レビュー(感想・評価)
年間ベスト10レベルの傑作
四川省を舞台にした一人っ子政策下の中国、第二子出産をめぐる事件が引き金となる物語。
男子がほしい主人公の両親は長女が身体障碍者であると偽り、次男を生む。
親と決別した彼女は、両親の交通事故でひとりとなった弟とはじめて再会する。
はたして二人きりの姉弟は一緒に生きる道を探るのか、それとも養子として育ててくれる人たちを探すのか…。
まるで是枝映画のように、一切むだのない映像が120分つづく。主人公のチャン・ツイフォンのメリハリのきいた演技がすばらしい。映像もいっぷくの絵となるようなショットを連発して気持ちいい。
人物を映すキャメラがどんなにアップになっても、必ず瞳にフォーカスがあたっている。
被写界深度の浅いレンズで撮影された映像が、主人公の内面をみごとに表現している。
監督は36歳の女性監督イン・ルシオン。映像の何たるかを熟知してる稀有な人物とみた。
「自分の人生は自分で選ぼう」と語る彼女は、まやかしでないダイバーシティ感を随所にちりばめながら、欠点だらけの端役にも優しい眼差しを絶やさない。
若い監督にこのような優れた作品を撮らせてしまう中国映画界の実力に改めて驚いた。
「コーダ あいのうた」を気に入った方にオススメします
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