「二者択一、両立を超えたところ」シスター 夏のわかれ道 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
二者択一、両立を超えたところ
主人公のアン・ランは、常に二者択一を迫られている。
大学院の進学を選ぶか、幼い弟の養育を選ぶか。
自分の進路を妨げた亡き両親を憎むか、それとも親は何であろうと親として感謝の気持ちを示すか。
夢を捨てざるをえなかった叔母を軽蔑するか、それとも重病人の夫を介護する彼女を敬うか。
賭けマージャンしかしない叔父をバカにするか、それとも彼の人間らしさに点を与えるか。
二者択一はきつい。だが、両立はもっときつい。
彼女の両親を毒親と言うのは簡単だ。
一人っ子政策の歪みとか男尊女卑の弊害とか、理屈づけるのも簡単だ。
でも、アン・ランに社会は関係ない。自分の感情のおもむくままに、その都度折り合いをつけている。
彼女は、二者択一、両立を超越したところに自分を据えている。その逞しさに微かな光が見える。
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