「薬物中毒、アルコール依存、黒人差別を背負ってレディ・デイは歌う」ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)
薬物中毒、アルコール依存、黒人差別を背負ってレディ・デイは歌う
1959年7月に亡くなるビリー・ホリデイの最後のステージを再現(?)した映像。死の4か月前、フィラデルフィアの小さなクラブでビリーはグラス片手に10数曲を熱唱する。中には体調の異変によって声を詰まらせたり、酒のせいなのか歌詞を忘れたりで歌いきれない楽曲もある。
黒人差別の苦い(なんて簡単な言葉では言い表せない過酷で残酷な)思い出、自分を庇ってくれなかった母親への愚痴、奴隷だったひいおばあさんまで遡る悲しい生い立ち、ビリーに薬物を教えたクズ夫のこと、薬物で捕まり投獄された話、こうした残酷で悲しい思い出話を背景に「奇妙な果実」などの名曲を、クラブの客達は生で、そして我々はこの映像を通して聴かされるのだ。
これらの裏話によって「レディ・デイ(ビリー・ホリデイ)」に扮したオードラ・マクドナルドの一人語り、一人芝居、そしてジャズはさらに鬼気迫るものになる。
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