「9月公開の、西島秀俊、斎藤工などが主演する『グッバイ・クルエル・ワ...」グッバイ・クルエル・ワールド りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
9月公開の、西島秀俊、斎藤工などが主演する『グッバイ・クルエル・ワ...
9月公開の、西島秀俊、斎藤工などが主演する『グッバイ・クルエル・ワールド』、ひと足早く試写会で鑑賞しました。監督は大森立嗣。
夜の東京、ラブホテルの一室、暴力団員たちがシノギの金を集めている。
そこへ目出し帽姿の4人が拳銃片手に殴りこんでくる。
暴力団の上前をハネるタタキ。
金を奪った奴らは車で逃げる。
運転手とその愛人のふたりは「これで借金はチャラ。とっとと姿を消せ」と仲間のひとりから放り出される。
しかし、タタキの情報を持ってきた運転手の愛人にしてみれば納得できない。
一方、金を奪われた組幹部も黙ってはいられない。
情報を漏らしたヤツがいる・・・と考えた幹部は、協力者の悪徳警官を使って犯人たちに報復を試みる・・・
といったところからはじまる物語で、冒頭、夜の街を行くアメ車に被って、ソウルの強烈な音楽が流れてくる。
ここで、「ははん、和製タランティーノといったところね」と予想がつきます。
タランティーノ作品でも初期作品『レザボア・ドッグス』、『トゥルー・ロマンス』(脚本のみ)、『パルプ・フィクション』といったあたりの作品。
大勢の人間が入り乱れての血まみれ合戦。
とにかく、銃弾は飛ぶ、血は飛ぶ。
これほどまでに銃弾が放たれ、血まみれになるのは、日本映画では珍しい。
はじめのうちは誰が物語の核なのかはわかないのだが、タタキのきっかけを作った若い男女が中心となっていき、行き場のないふたりがぶっ放す銃弾がカッコいい。
このあたりから『トゥルー・ロマンス』臭が強くなっていきますが、個人的には若いふたりのエピソードが好きです。
タタキチームの中堅狂犬野郎に怒りの銃弾をぶっ放すところ、特にいいですね(巻き添え食った人々はお気の毒だけど)。
で、若いふたりとは別に、チームの年配男ふたりの話も進んで行くのですが、こちらはやや湿っぽい。
最年長の男は左翼くずれのインテリ、もうひとりは冷静な元組員。
後者は「元」なので、その世界から足は洗ったが、世間からは更生は認めてもらえず・・・という『竜二』風のエピソードが展開されます。
終盤にかけては、こちらの方のエピソードに重点が置かれていくのですが、これがよかったのかどうかは微妙。
脚本(オリジナル)の高田亮の心情としては、こちらの方にウェイトを置きたくなるのはわからないでもないですが。
ということで、最後は再び若いふたりと年配男が激突して、更には、悪徳警官とタタかれた組側も絡んで・・・となるのだが、エンディングはカッコつけすぎで、かえってシマらなくなったのが残念。
出演は、西島秀俊、斎藤工に、宮沢氷魚、玉城ティナ、宮川大輔、大森南朋、鶴見慎吾、片岡礼子、三浦友和といった面々。
誰がどの役を演じているのかは映画を観てください。