劇場公開日 2022年6月24日

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「迷惑系YouTuberの始祖は、ニコ生主説。」神は見返りを求める ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0迷惑系YouTuberの始祖は、ニコ生主説。

2025年4月24日
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鑑賞方法:VOD

笑える

悲しい

斬新

2025年3月、人気配信者の最上あいさんが、中年オジサンに刺殺される事件があったばかり。
まさにこの映画の延長線上のような、金銭トラブルのもつれによる犯行だった。

配信者と視聴者、ライバーと推しファンとの距離感の問題。
この手の話題、多分私は相当詳しい専門家に近い側の人になる。
というのも、2010年代、私はニコニコ動画のコンテンツである、
「ニコニコ生放送(通称ニコ生)」の、ヘビーリスナー(視聴者)だったからだ。
ざっと当時の有名どころの配信者の名を挙げてみると、
石川典行、横山緑、ウナちゃんマン、唯我、シバター、渋谷のキング、画伯、りなりな、田口、キプロス、ペニオ、みゃこ、なあ坊豆腐、えりりか、うさ天使、ボブリシャス、NER、よっさん、ゆづか姫、etc、、、

もう、とめどなく名前が出てくる。あと100人は余裕で出る。
(p_-)

有名なYouTuberで例をあげるなら、格闘家YouTuberのシバターも、元をたどればニコ生主であり、
さらに前はピアキャスト配信者なのだ。シバターはYouTuberとしてブレイクする前は、オワコン配信者しんし〜、と呼ばれていたくらいだ。

普通の映画ファンなら「お前は一体何者だ?」とドン引きする知識のひけらかしだったろうが、
その界隈では、知ってて常識のレベル。映画でいう所の名作100本あらすじ共有できる範囲程度でしかない。
無論、配信者の自宅も大体把握している。だって本人がヒントを無意識に言っちゃうんだから。

配信者もYouTuberもさして変わりないのだが、
これらの界隈で共通しているのは、主役であるYouTuberには、
技術的な「協力者」と、
金銭支援的な「タニマチ」が、必ずいるという点だ。

この映画でいえば、それはムロツヨシのような人物であり、
岸井ゆきののような主役的YouTuberは、流行やトレンドに異様に敏感で、
人間関係も数の論理や利害関係により、平気な顔して裏切り、鞍替えを敢行する。

そして裏切られた事自体をネタ化し、配信に乗っける文化もすでにあった。
この作品内の、ムロツヨシと岸井ゆきのの泥沼バトルは、15年前からエンタメ化していたのだ。

とにかく彼らは、知名度を上げるためならなんでもやる。犯罪すらやる。
殺人以外の事ならやる。
残念だけど、柏市通り魔殺人事件で捕まった、
除悪って名前のニコ生主もいたが、アレは例外中の例外だけども。。。

そして、タニマチは相撲力士のようにいるし、
そういう連中が主催する、パーティーみたいな所に集う配信者も昔からいる。
なんだったらその模様も配信する。コラボという名で。

迷惑系YouTuberの始祖的存在として、ニコ生主という存在がいて、
さらにその前にはピアキャスト配信者とかもいるにはいるのだが、
そういう界隈をどっぷり見てきた者として、
この作品は相当リアルな現実を反映し映像化していたように思うし、
岸井ゆきののように、変貌後は、価値あるものは金と再生回数だけ、みたいな、
数字を絶対視する価値観もリアルで良かった。

吉田監督の得意な胸糞系人間模様映画ではあった。

良かった演者
岸井ゆきの
吉村界人
ムロツヨシ

ソビエト蓮舫