「ありがとう」神は見返りを求める よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
ありがとう
人間関係が崩れていく様が極めてリアルに描かれていたし、映画の中に出てくる人間も「あぁこういう人いるな」と感じた。
特に主人公の田母神さんの承認欲求を満たしたいがために人の頼みをなんでも聞いてしまう部分にはとても共感した。
だからこそ自分のしている事と受けている感謝のバランスが崩れて追い詰められて壊れていく様はまるで未来の自分を見ているようで、そういう意味でも怖かった。
だから途中から田母神さん目線に立って見てしまった。
誰しも人は良い面もあれば、悪い面もある、双面のようなものだと思った。
田母神さん目線で見て「こいつクソだな!」と思うような人物でもどうにもならないコンプレックスや悩み、ストレスを抱えて生きている。
そんな印象も持った。
後半30分くらいで急に和解して良い話にまとまるのは人によって賛否分かれるかもしれないが、少なくとも僕はよかったと思う。
というかエスカレートしていって犯罪になるパターンでもどちらのストーリーでも面白そうだと思った。
ただ、人間関係がテーマとするならば、崩壊を描いた後、再生を描く方が良いのかも。
結局田母神さんが欲しかったのは「ありがとう」というたった一言だったというのは激しく共感した。
田母神さん自身も最後の方はちゃんと人に対して怒れるようになり、自己中だったゆりちゃんも素直に感謝を伝えれるようになって良かったと思うからこそ、最後の終わり方は怖かった。
こういう結末であってほしいという気持ちとこんな結末なんだろうなという現実?の間で結構葛藤している。
後、双方に良い顔しようとしているやつが論破される様は見ていてスカッとした。