「勧善懲悪など、ない」神は見返りを求める キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
勧善懲悪など、ない
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「ヒメアノ~ル」「告白」も劇場で観たが、やはりその後に引きずる「胸糞感」は否定できず、今回もある程度覚悟で予備知識ナシで劇場に向かった。
数日前に観た「メタモルフォーゼの縁側」とは真逆で、登場人物ほぼ全員が嫌なヤツ。
結果的にその嫌なヤツらが罰を受けるかというとそうではない。
もちろん「気分悪い」と思うけれども、現実はどうか。
善人は皆救われているか。
悪人は懲らしめられているか。
そうでないからこそ、施した善意には見返りが欲しいと思うのは必然的なことであり、その見返りとは決して「金」や「名声」である必要もない。
心からの感謝の言葉ひとつで、それまでの苦労すべてが報われたという思いになれることも少なくない。
スマホの画面に表示される小さな動画、その評価や登録者数を気にするあまり、そのスマホの後ろに広がる現実の広い世界を喪失してしまう。
少なくとも田母神さんはスマホを失うことで、現実の青い空の存在に気付くとができた。
それだけで、この映画は決して単純な「胸糞」映画ではないのは明らか。
むしろ私は(胸糞を覚悟していた分)清々しい気分で観終えることができた。
たぶん、テーマ曲の良さもそれを手伝ってると思う。
万人向けではないけど、楽しめた。
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