劇場公開日 2022年6月24日

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「どんなにいい人だって「ありがとう」という見返りは求めている」神は見返りを求める tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5どんなにいい人だって「ありがとう」という見返りは求めている

2022年6月28日
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無私無欲で尽くしていたはずが、ついつい見返りを求めてしまう。成功することができたのは自分の力だと、天狗になってしまう。ちょっとしたボタンの掛け違いと、つまらない意地の張り合いで、良好だった関係が険悪になってしまう。仲を取り持つつもりが、自分だけいい格好をして、ますます関係をこじらせてしまう。
この映画ほど極端な誹謗中傷合戦に発展することはないにしても、似たようなことは、確かに日常生活の中で起こり得ると、妙なリアリティーを感じてしまう。それは、自分自身のどこかに間違いなく存在していて、自分でもそのことを自覚している「人間の弱さや醜さ」が、白日のもとにさらけ出されているからだろう。見たくないものを、目の前に突きつけられるのは、この上もなく不愉快ではあるが、その一方で、心のデトックスのような清々しさも感じてしまった。
人間の本性を的確に描いていて秀逸であるが、惜しむらくは、エンディングの歯切れが悪いこと。この愛憎劇をどういう形で終わらせるのか、作り手側に迷いがあり、どこか右往左往しているように感じてしまったのである。
空気銃を乱射する仮面のYouTuberは、SNSの負の側面を体現させるためのキャラクターだろうが、彼に関連する場面は、そっくりそのまま削除しても良かったのではないか?
「ありがとう」という一言に、相手のすべてを赦し、自らの魂も救われるというエンディングで十分だったように思うのである。

tomato