「痛々しくリアルな男女関係」神は見返りを求める ゆるさんの映画レビュー(感想・評価)
痛々しくリアルな男女関係
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YouTuberを目指す女の子とイベント会社の男が主人公の本作。
集団におけるポジショニングがテーマでしょうか。
人が複数集まると、その中で階層が出来る。
冴えない女は冴えない男とカップリングされる、ということが、ど頭の合コンから描かれます。
本人たちがそれを無意識に判断して自分に相応しい相手を取りにいく感じが生々しい。
YouTuberとして成功するに従い、
外見は垢抜け付き合う人も変わっていく。
そんなゆりちゃんにとって、ムロツヨシはイケてない時代の自分の象徴。
生まれ変わりたい時には邪魔な存在です。
だから避けて遠ざけて忌み嫌ってみるも、そうする中で自分が今いるステージにミスマッチであることに気付かされてしまう。
結局自分がどれだけ変わろうと、1人で何もできないと泣いていた頃から何も変わってない。
周りの人間は受け入れてくれている風でも、人に従って駆け上がってきたゆりちゃんは自分に自信がなく、居心地の悪さは拭えない。
何度も言い放っていた『あなたのことが嫌い』には自己投影を感じます。
一方で、ムロツヨシは人に親切にすることでしか自分の存在を保てない。何もないから自信もない。
ある意味、他人に執着して生きているだけだったのが、
ゆりちゃんに罵倒されたことで自立の道を歩み始めます。
これがこの物語のストーリーラインでしょうか。
最終的に生死は不明だけど、彼が自分の好きを見つけて人生を歩き出したラストシーンは、希望に満ちて美しかったです。
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