劇場公開日 2022年12月23日

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「本屋大賞は伊達ではなかった。けれども。」かがみの孤城 zem_movie_reviewさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本屋大賞は伊達ではなかった。けれども。

2023年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

幸せ

試写会の機会をいただけたので鑑賞。ありがとうございました。
原作は存じ上げませんが、物語としての話の構成や流れは秀逸でした。前半でのフラグ落ちまくり状態、特に時を刻む音、から後半で一気にフラグ回収に流れていく様はスカッとするほど気持ちよかったです。別の言い方をするとそれぞれの状況だったり、細かい表現だったりから先を予測し、それの答え合わせをしていくような。。。

それぞれの事情で学校に行けなくなった中学生たち。イジメだったり、家庭の事情や親のエゴだったり様々でそれぞれの物語がある。それが絡み合ってつながっていく。でも、期限来ると、誰かが願いを叶えるとかがみの孤城での記憶がなくなっていく。現実社会と向き合うか、逃げていくか、などなど、不幸になりそうなよくありそうな事柄を輻輳的に表現し、大団円につなげていくのには感心しました。泣けるほどではなかったですが、最後はほっこりしてスクリーンを後にすることは出来ると思います。ティザーで受けた印象をいい意味で裏切ってくれたんじゃないかなあ。

ですが、残念なところもありました。
・音の入れ方が総じてダメ。特に導入部分の音が結構後を引きます。自分は特に耳が悪いわけではありませんが、聞こえにくいなあと感じました。比較的新しい映画館ですので作品自体の作りでしょう。
・声優でやってほしかったなあ。調べたらオーディオブックもあるようなので聞いて比較してみようかなあ。梶裕貴と高山みなみが突出しすぎ(いや、普段通りの素晴らしい演技ですよ)かなあ。ほかがひどかった。テレビ局が絡むと俳優総動員なんだけど、そこ、なんとかならんですか?朗読会なんですよ。残念ながら。
・人物描写、表現はまあまあというか上手くできているんですけど、風景だったり静物系が遠近感だったり見え方だったりが多少狂っている。上下が逆に見えたり立体感を失っていたり、、、、

絶賛するまではいかないですが、鑑賞する価値のある作品ではありました。

zem_movie_review