「メリーゴーランド」かがみの孤城 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
メリーゴーランド
原監督久々の作品という事でウキウキで鑑賞。
かなり心にズシっとのしかかる、けれど考えさせられて、感動して、笑える、そんな作品になっていました。
今作の城に招待された子供たちは、実際の生活でいじめや虐待などを受けている子供たちで、"願い"を叶えるためにオオカミさまから指示をもらいます。この子供たちのいじめられている描写、特にこころの描写は本当に生々しいです。
タヒねやブスは連呼するし、家に凸ってくるし、仲間外れなんて当然、先生の前では良い子ぶる、とにかく被害者に優しくない世界が強く展開されていました。作中でそれぞれの年代が違う事に気づいた際にも、"未来でもいじめる奴らはいるんだな"というセリフが重くのしかかりました。
しかも加害者ばかり庇う世界、ここまでのものにあった事はありませんが、自分もいびられていた経験があるので少し苦しくもなってしまいました。
その中で子供たちが絆を深めていく、その最中で衝突したり、自分の思いを吐露したりと、ギスギスしすぎず、ベタベタしすぎずのまま進んでいくのでテンポ感も良かったです。キャラクターも全員しっかりと立っていたのでそれぞれの役割も、その後進むべき道もしっかりと定められていたのもスッキリする要因になっていました。
伏線の殆どを回収していくのは映画の尺に収めるためには仕方なかったんだとは思いますが、多少思わせぶりなまま終わっても良かったのかなとは思いました。ある程度その流れが分かるとなるほどねと思ってしまったので、インパクト不足に陥ったのは少し残念でした。あとわりかしのんびりしすぎじゃないかなとは思いました。最初の半年を交流に使うとはこれ如何に。
あと声優陣は本職と俳優が入り混じっているので、上手な人と下手な人の差が浮き彫りになっていた印象です。あとこれは中の人繋がりだとは思うんですが、某有名探偵のセリフが作中に入ってきたのは少し冷めました。そこまで培っていた緊張感が一気に崩れてしまったので、あぁいう内輪ネタはやらないで欲しいなと思いました。
気になる箇所こそありましたが、それでも扱うには度胸のいるテーマを真正面から描き、原作に沿いつつも、監督なりの答えを出して物語に終止符を打ったのはとても好感を持てました。ぜひ原作やコミカライズ版にも触れたいと思います。
鑑賞日 12/23
鑑賞時間 14:30〜16:35
座席 H-2