呪われし銀
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2021年製作/113分/アメリカ
原題または英題:The Cursed
スタッフ・キャスト
- 監督
- ショーン・エリス
- 製作
- ピート・シレイモン
- ミッキー・リデル
- ショーン・エリス
- 製作総指揮
- ジェイコブ・ヤコブ
- アリソン・セメンザ・キング
- 脚本
- ショーン・エリス
- 撮影
- ショーン・エリス
- 美術
- パスカル・ル・ゲレック
- 衣装
- マデリーン・フォンテーヌ
- 編集
- ヨルゴス・モブロプサリディス
- リチャード・メトラー
- 音楽
- ロビン・フォスター
2021年製作/113分/アメリカ
原題または英題:The Cursed
今夜(2025/02/01)観ました。
第一次世界大戦の場面からはじまり、35年前の回想。
フランスのとある場にて、ジプシーの一行を惨殺する場面。引きの定点カメラでワンカットで、背筋が凍る様な凄惨なシーンを見せてくれました。ただしこのシーンがピークで、あとはエンドロールまでグダグダで、集中力が早くも切れました。
銀の入れ歯で怪物になって、噛みつかれたら怪物になってしまう。噛みつかれたのを家主に見つかったら殺されるから噛まれた事を隠す。ほぼほぼ『ウォーキングデッド』で見たようなシーンばかりで、怪物登場の場面は映像のエフェクトと近撮+ブレブレのカメラワークでチープさを誤魔化している感じが拭い切れていませんでした。
観てよかったとは思いますが、もう観る事はないでしょう。
19世紀後半のフランスを舞台にしたホラー。それぞれの土地には土着文化があるものだが、魔術や呪術は今よりも煙たがられる時代だろう。そんな中で由緒ある家系の土地にジプシーという古くから続く文化を守るいわば"時代遅れ"な存在に土地の権利は我らにあり的な抗議を受けたことを境に、兵を雇ってジプシーらを皆殺しにするいう残忍な方法で解決してしまう所から物語はスタートする。
そのジプシーらが大切に守ってきたのが、歯の形に型どった「銀」なのだ。それがタイトルの「呪われし銀」である。ここからは想像通りジプシーらの怨念が街の人々に襲い来るのだが、本編でも何度か重要な局面で、「ジェヴォーダンの事件」が挙げられる。これは実際に起きた不可解な事件で、前例の無いバケモノが何人もの人々を惨殺するという事件だ。この事件を元に、2006年には「ジェヴォーダンの獣」として映像化されているのだが、本作はそれをかじったかの様な展開であり、知っていると尚更楽しめるだろう。「ジェヴォーダンの獣」も銀の歯を持つ獣として描かれており、かなり近しい血筋を感じる事が出来る。だがあちらはアクションムービーだったのに対し、本作はかなり大真面目なホラーとなっており、また違った視点が楽しい所だ。少々日本人には馴染のないものかもしれないが、執拗に繰り返される悪夢や、得体の知れない獣の存在など、演出は物静かながらインパクトがあり、高品質なホラーとなっている。
本作で描かれる"獣"の正体はそれこそ呪術たるものだが、あまり説明臭くて分かりにくい事もなく、宗教臭い設定もそれ程濃くないため、この手の伝記に疎い我々日本人でも付いていける構成である。冒頭の戦争で命を落とす大尉のシーンも最後に回収されており、練った構成でまとまり良く描いている。
流石個人的に"観る芸術"だと思っている「フローズン・タイム」の監督だけあって画的センスは抜群である。映像が全てでは無いにしろ、一役買っているのは間違いないだろう。
「ジェヴォーダンの獣」に関連付けられた創作でしょうか、作りは丁寧だと思うのですが、内容は酷く退屈に感じました。