アイ・アム まきもとのレビュー・感想・評価
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彼が弔った人々が白鳥になって現れて、彼も白鳥になって一緒に飛び去る位のラストシーンを期待したかったが…
英国映画「おみおくりの作法」に号泣し、
その舞台を我が故郷に移し替えた作品だった
ので比較鑑賞した。
「おみおくり…」との主な設定上の違いは、
・主人公の空気が読めなく、
さっしの悪い人物像が
印象付けられる一方、
潔癖症については
それほど強調されていない。
・引き取り手のない遺骨の保管場所を
市役所内にすることによるトラブルを
大きな展開要素にしている。
・主人公の個性の強調のために、
葬儀屋役と警察官役を新たに配した。
・初めて芽ばえたかの恋心を強調せず、
主人公の死の原因ともしていないこと。
などだろうか。
そして、「頑張った」の台詞や“白鳥“を
モチーフにしているのが印象的で、
原作の各エピソードを我が郷里の風土要素に
上手く翻訳して織り込んではいた。
しかし、「おみおくり…」での、例えば、
女性が2階の窓辺にいる構図を
繰り返し用いる中での
主人公の通らない最後のシーン、
アルバムを新調する主人公の心、
積み重ねた本を壊れた椅子の足代わりに
している親子の同じ対応、
弔い人の元戦友が用意した主人公のいつもの
ものにそっくりな食事、
お茶に誘うことで情愛を暗示したり、
主人公が準備した父の葬儀で
彼の姿を探す娘の描写、
等々を思い浮かべると、
残念ながら、演出力に格段の差を感じた。
また、「おみおくり…」のラストシーンでは
随分と感動させられたが、
この作品ではそうはならなかった。
それは、この作品での、
葬儀屋や警察官、また上司等、
まきもと以外の登場人物が多過ぎ、
且つ、彼らのキャラが濃過ぎて、
主人公の心象だけに寄り添えなかったため
だったかも知れない。
更には、ラストシーンとしては、
せっかくこの作品のモチーフに使っていて、
尚かつ、白鳥の飛来地の酒田市を舞台に
しているのだから、私としては、
まきもとが弔った人々が白鳥になって現れ、
彼も白鳥にもなって一緒に飛び去る位の
ラストシーンを期待したかった。
郷里を舞台にした期待の作品だったが、
原作をリスペクトの上、
日本らしい風土色の工夫を加えながらも、
残念ながら、オリジナル作品の演出力を
超えられなかった印象を受けた。
ただ、個人的には、同じく
我が故郷を舞台とした「おくりびと」に続く
嬉しい作品にはなった。
"まきもと"の人物像が卓越
2022年劇場鑑賞75本目 佳作 56点
阿部サダヲにしか演じられない作品
真剣に空気が読めない感じが印象的な目からよく伝わるし、周りにもなんだかんだ恵まれてるキャラクターでした
ストーリー自体は起伏が大きくなく少しうとうとしましたが、まあ終わり方もやや強引ですが納得でした
もう少し教養が増えてから見直したい作品です
日本的なラストが感動的です。
『アイ・アムまきもと』を観終えたら、
オリジナルの『おみおくりの作法』のラストがとても知りたくなった。
一度は観ていますが、ラストが悲しかった・・・という印象以外に
細かい部分は覚えていない。
(今、観てきました)
基本的にはとてもイギリス映画を踏襲していました。
でも、やはりお国柄の違いは、所々に顕著です。
日本版『アイ・アムまきもと』
日本人の心に寄り添いますね。
盛り上げ方が、日本人の心にピターっとハマりました。
ファースト・シーンでマキモトが歌う讃美歌
「慈しみ深き友なるエスは・・・」と、歌い
葬儀はキリスト教で神父さま。
次に仏教でお経が唱えられ、そして神道・・・神主さんです。
マキモトは弔辞の言葉さえ考えて、故人の人となりの紹介文まで書きます。
そして立派な分厚いアルバムに故人の思い出の写真を貼り付けて、
時々見返しているのです。
本当に家族以上に死者を悼んでいます。
「最近は安上がりな神道に鞍替えする式が多い」と、
葬儀屋のでんでんが話す。
死者も孤独死が多く「おみおくり係り」のマキモトも、
数週間して発見される遺体を引き取りに行く。
市役所の方針で「おみおくり係り」は廃止されて
他の係りと統合されることになり、マキモトは外される。
マキモトの仕事は丁寧すぎて、時間と費用がかかりすぎるのだ。
「火葬でいい。葬式をする必要はない」 上司は言います。
「大体に葬儀は生きている者のためにするものなんだ」と、
しかし映画は庄内平野の美しい風景が素晴らしく、
撮影(カメラマン)のセンスが光ります。
田んぼ、平野の一本道、美しい日本そのもののへ風景。
多くの撮影は、庄内地方(山形県)の鶴岡市と酒田市で行われたそうです。
長閑な田園風景に、ちょっと浮世離れしたマキモト。
阿部サダヲさんの、怖くない人のバージョンの映画。
死んだ写真の人。
宇崎竜童さんってすぐ分かりました。
台詞は一個もないんだけれど、ラストに登場してましたね。
エラく格好良いです。
白いお髭がダンディーです。
やたらと女にモテたって過去・・・それは説得力あります、
モテたでしょう、そりゃあ!!
可笑しかったのは、娘さん(満島ひかり)の仕事場が、
日本は《養豚場》
イギリスは《保護犬センター》
日本は元彼女(宮沢りえ)は食堂経営。
イギリスはフィッシュ&チップスの店。
イギリスは一泊で地方へ調査に行くときの列車。
メチャメチャ高級感あります。
棺とか安置所とかも豪華ですね。
ホームレスになった昔の友人と石段に座って酒を酌み交わす建物も、
よく分からないけれど裁判所のような歴史的建造物の前庭。
ジョン・メイさんもロルドン市の外郭団体のお見送り係。
格調高いです。
リメイクはいい意味で羽目を外しています。
宇崎竜童の登場が然り、
ラストの盛り上げ方、泣かせ方然り、
結局、マキモトの粘り勝ちです。
宇崎竜童さんの葬儀は多くの人に送られて暖かく幸せでした。
マキモトの、
「頑張ったー」と呟き満足そうな笑顔。
死に際にそう思える人はそう多くはいないでしょう。
同じく酒田市で撮影された「おくりびと」とは一味違いますが、
どちらも心に沁みる名作ですね。
夕暮れてマキモトに葬られた死者たちが次々と現れて、
マキモトの貧しい墓を
取り囲んで弔う「ラストシーン」
深く感動しました。
キャストが凄いのに
残念な感じでした。
とにかく面白くなかった。何が嫌だったんだろう・・・
終わり方も読めた上に残念な感じで・・・
前評判からものすごく楽しみにしてたから、キャストの無駄遣いに感じてしんどかった。
コメディなの?
笑えない。タイトルも演出もキャスティングもコメディ以外の何ものでもないし、そもそも阿部サダヲだし。主人公の描き方も雑で共感が難しく、あの映画の終わり方もどうかと思う。ラストで感動させようと試みたのだろうが、大半はどうだろう。感動どころか悲しむ人のほうが多い気がする。だってコメディでしょ?
牧本さん、あんた「頑張った、頑張った」
その雨は牧本さん、あなたが今までお見送りしてきた方たちが、あなたを忍んで流してる涙だよ。
本当に「頑張った、頑張った」。
ここまでは出来なくても、行政の中に、こういうお見送り係必要だと思うな。
日本でリメイクしたら、こうなってました
2013年のイギリス映画『おみおくりの作法』を見た時、日本映画を見ているようだった。
孤独死した人を一人弔う民生係の男。
『おくりびと』にも通じるような人の死を扱った仕事、死生観…。
喜怒哀楽の感情を揺さぶるような作風ではないが、淡々とした中に、人の生と死をしみじみと浮かび上がらせる。
主人公の実直な仕事ぶり。無口で親しい友人もおらず、彼もまた孤独…。
社会のシステムや問題を込めつつ、不条理な悲しさと静かな感動を呼ぶ…。
日本ではミニシアターで口コミヒット。
いい映画を見たと素直に思えた。日本には『おくりびと』があるが、いい題材を出し抜かれたとも思ったもんだ。日本でも出来そう。
…と思っていたら、日本でリメイク。
にしても、監督と主演の名を見た時、正直驚いた。
水田伸生×阿部サダヲ。
『舞妓Haaaan!!!』『なくもんか』『謝罪の王様』などコメディで三度タッグ。
まさかこのヒューマンドラマの秀作をコメディに…?
心配は無用だった。そもそも、今回脚本はクドカンじゃないし。
阿部サダヲはシリアス作品でも名演と実力見せているし、監督もTVドラマではシリアス作品で高い評価を受けているよう。このタッグだからと言ってコメディばかりじゃない。
このタッグだからコメディを見たかった人には期待外れかもしれないが、所々ユーモアも滲ませつつ、真摯に人の生死を見送る…。
話は概ね踏襲。
とある市役所の“おみおくり係”の牧本。
真面目で物静かだが、故人を偲ぶ余り周囲に迷惑かけがち。警察はいつもおかんむり、馴染みの葬儀屋がフォロー。ここら辺、コメディタッチ。
職場でも閑職故、常に孤立。空気のような存在だが、本人もまたKY気味。
家に帰っても生活感全くナシ。食事も質素に黙々と。唯一の“家族”は金魚。
趣味もナシ。敢えて言えば、担当した故人の写真などをアルバムに収める事。
一貫して故人に思いを馳せる…。
牧本が担当するのは孤独死した人たち。
その状況は悲惨なもの。
誰にも気付かれず息を引き取ってから暫く経つなんてしょっちゅう。
故人の家の中はゴミ屋敷同然で、異臭も放つ。
彼らはどんな人生を…?
身寄りも無い。人付き合いも無い。社会に居場所も無い。…
似たような境遇の牧本。彼らに自分を重ね合わせているのだろうか…?
事情は人それぞれ。せめて最期くらい、誰かに偲ばれて…。
いや、受け入れ、引き取ってくれる遺族だって必ずいる。
牧本はそう信じているが…。
見放された人たちへの社会の対応は無情。
完全に縁切り。勝手に死のうがこちらには関係ない。葬式出席や遺骨引き取りなど拒否。
生きてても孤独。死んでも孤独。
彼らを思う人はいないのか…?
牧本がいる。
しかし、またもや不条理。新任局長が“おみおくり係”の廃止を決定。
引き取り手の無い遺骨などさっさと無縁墓地へ。“おみおくり係”や牧本がやってる事も無駄。
死んだらただそれだけ。何も残らない。
本当にそうなのか…?
無情に言い放つ局長に、牧本は反論。“思い”がある。
牧本が言っている事は理想的な感情論に過ぎないかもしれないが、そうありたいと願うのが人の心。
この冷血局長にこそ孤独死を!…だが、こういう輩に限って盛大に見送られる。
対して牧本は…。
牧本最後の仕事。孤独死した老男性の遺族を探す。
故人はかなりのトラブルメーカー。
大声を上げたり、アパートの住人たちと揉め事を起こしたり。
職場でも問題行動。彼を知る人に尋ねても、出るのは悪いイメージばかり…。
が、中には…。職場で不条理なシステムにブッ飛んだ行動で抗ったり、彼に助けられた人も…。
本当にただの嫌われ人間だったのか…?
やがて、唯一の身内を見つける。娘。
絶縁状態だったが、牧本の人なりに心許したのか、父の死に向き合おうとする。
葬儀の日が近付くが、その時悲劇が…。
老男性の葬儀に娘や知人が参列。牧本の思いが伝わった。
思い偲んでくれる人たちは必ずいる。人は決して孤独ではない。
…いや、
同じ墓地でもう一人埋葬。
孤独死した人たちの為に尽くしたのにも関わらず、その本人が悲しすぎる独りぼっちの死…。
誰も彼を思い偲んでくれないのか…?
思わぬ“参列者たち”が。彼に感謝を込めて…。
話もオチまでもほとんどそのまま。
ユーモア、人情、人の繋がり、悲しさ、切なさ、問題提起、そして何処か救われる…。
満島ひかりや宮沢りえらキャストの好演。
基がいいだけに、勿論本作も好編だ。
が、あまりにも忠実過ぎて、ちょっと芸の無さも感じてしまった。
オリジナルはあんなにしみじみさせたのに、何かちょっと淡白と言うか…。
阿部サダヲも勿論好演だが、ヘンな違和感も…。
人情味あり、ユーモア滲ませ、時々周囲に迷惑かけるKYな所はドンピシャだが、時折言動がイライラさせる。
人の話を聞いていないような、鈍いような、とんちんかんのような…。
何か訳でもあるのかと思ったら(例えば最後は事故死ではなく、本作オリジナルの病死でその前兆とか)、特にナシ。
発達障害気味と見て取れる。とは言え、
局長の飾り物に“アレ”するシーンや孤独な家でアルバムの故人を眺めるシーンは、せめてもの仕返しや侘しさ感じさせると同時に、何処かサイコパス…。
そう感じるのはまだ『死刑にいたる病』の影響…?
それは冗談として、ちと哀愁が足りなかった気がする。
その点、オリジナルのエディ・マーサンの滲ませる哀愁は絶品だった。
すんなり日本でも置き換えられると思いきや、
勿論悪くはない。頑張った、頑張った。
が、ちょいちょい“作り”に違和感を感じてしまった。
牧本の妙な癖のよう。日本でリメイクしたら、こうなってしまいました。
発達障害?のまきもとさん自身が、フライパンからご飯を食べなくなる...
発達障害?のまきもとさん自身が、フライパンからご飯を食べなくなる。
ラストシーンも美しい。
辛い、でも、がんばったね
阿部サダヲの好演が光るというか、彼しかできない役だった気がする。
牧本は不器用でしがないけどひたむきな役所のお見送り係。性格もやや暗く、空気は読めないがとても愚直、その意味で彼がこのポジションを1人任される理由は察しがつく。
故人の無縁仏となった人たちのために、自費で葬儀をあげるという優しさをもち、それぞれの故人の写真や記事を切り取り、ファイリングする真面目さ。
そこへやってきた超効率重視の上長から、「無駄が多い」と一蹴されるというのが、資本主義で生産性重視の世の中を体現していた。
彼の暮らしぶりはまた質素倹約で、必要なもの以外は何も持たない。食事も本当に必要なものだけを自炊で作り、食べる。これもまた、彼の愚直な性格を表している。
そんな彼が、お見送り係を廃止される直前に最後のミッションとなった蕪木という男の疎遠になった家族、旧友たちを繋げ、葬儀を素晴らしいものにしていく。
そんな中で、牧本は交通事故に遭い、あっさりと死んでしまう。「がんばった、頑張った」と呟きながら…。
牧本自身が無縁仏として弔われるのを見て、最後までなんというか救われない気持ちになったが、意外と牧本みたいな察しの悪い真面目な人っているんじゃないか?とも思った。非常に面倒くさいタイプだし、理解されづらいけれど、実は誰よりも人のために生きて亡くなっていった姿に、いま社会の価値観の中での使いやすさだけで人を判断してはいけないな、と思わされる作品だった。
コメディじゃなかった
予告ではコメディかと思ったが、硬派な社会派映画だった。
遺族が引き取らない遺骨を、葬式をあげて見送ってあげたいと思う公務員のまきもとが奮闘する映画。
亡くなった人の過去を調べるうちに、浮かび上がってくる一人の人間の人格が切なさを感じさせる。どうして遺族が遺骨を引き取りたがらないのか、遺族は故人をどう思っていたのか。まきもとの執念が実っていく展開が熱い。
ただ、まきもとがどうしてそこまでこだわるのか映画では理解できなかった。何か強い動機があればもっと良かったと思う。
試写会満足度が高い作品、というのは、個人的には一般受けしない作品だ...
試写会満足度が高い作品、というのは、個人的には一般受けしない作品だと思っています。
そりゃ、試写会にまで足を運ぶのは映画好きである可能性が高く「理解」が全体になった評価ですからね。
この作品もそういった作品でした。
構成のうまさや、行為が結実していく過程を観るのは楽しかったし、まきもとの最後も、「ああ。こうするしかないよな」と納得のいくもので「映画」を楽しませていただきました。
かといって、映画にさほど興味のない家族や友人に勧められるかと言えばちょっと違う。
いい作品であることは間違いないので、元を取れていることを願います。
ほっこりしました。庄内の風景も美しい。
ちょっと不思議なまきもとさんに、普通に接する周りの人たち。
そこから生まれるギャップにクスッとしました。
市役所で反対される描写はもう少し深みが欲しかったけど、描きたかったのはそこじゃないってことですよね。
心ぽかぽかの展開と思いきや…衝撃のラスト!
予告見る限り、あったかくてクスリと笑える映画でした。
途中までは予想通り。思った以上に牧本が変わり者でしたが…。あのルーティンの徹底ぶりはおそらく自閉症だろうなと思いながら観ていました。
が、終盤でまさかの展開になり、思わず声出ちゃいました!
ここで気づいたことが2つ。
1つは、物語が展開するうちに、いつのまにか牧本に夢中になっていたこと。
本当にびっくりして信じたくない気持ちになっていました。
もう1つは、作中にけっこう伏線張られていたんだなということ。
やたらじっくり死者の写真を映したり、横断歩道で毎度毎度律儀に左右確認していたりしたことがラストシーンに繋がっていたなんて…
世にも奇妙な的なエンディングも、これはこれで良き。
迷惑系ヒューマンストーリー
大学卒業後に区役所の福祉課に配属されて身寄りのない方の弔いなどをしていた従兄弟を思い出した。
本作に描かれている方々はまさに現実。人の生き方や死に方について色々考えさせられた。
長いコロナ禍で私たちは今までよりも死を身近に感じる昨今…本作の映画化に意義は大きい。
高齢化、独居問題、少子化問題、貧困問題などなど抱えている課題は多いよね。
市役所でおみおくり係として働く牧本さん。ちょっと個性的で周りの人にとっては迷惑かもしれないけれども真っ直ぐで純粋。クスクス笑いながら心の中で彼を応援しながら鑑賞。
阿部サダヲさん、満島ひかりさん、松下洸平さんはじめキャストが素晴らしかった。
一番心に残ったのが蕪木役の宇崎竜童さん。蕪木の人生が胸に刺さった。台詞はひとつもないけど…
水田伸生監督と阿部サダヲさんの相性がいいので優しい映画が完成。
庄内平野の美しい光景が彩りを添え、宇崎竜童さんが歌うOver the Rainbowが心に沁みて泣きながら家に帰った。
牧本さんは醜いアヒルの子だったんだね。
がんばった、がんばった…
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