「感動作品にするために犠牲になった男の中途半端な物語」アイ・アム まきもと よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
感動作品にするために犠牲になった男の中途半端な物語
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コメディかと思っていたが、社会派かつ感動作品に仕上がっていた。
悪い作品ではないが、なぜ牧本がおみおくり係にこだわり、おみおくり係として最後の一件だからとはいえ蕪木の件にそこまで情熱を燃やすのか、納得できないわけではないがあまりピンとこなかった。
いくつか笑えるシーンもあるものの、大抵は単発の笑いで、牧本の個性(おそらく発達障害)がもたらす周囲とのズレも序盤以外はあまり顕著には描かれない。
最後の事故も唐突で映画の主軸が見えず、感動作品に仕立てるために殺されたようにも思える(周囲が見えなくなり、いつものように道路横断への慎重さを欠いていたが信号は青だった)。
蕪木に自身の墓を譲るのやりすぎだし、作劇上の意味を考えるとラストシーンのコントラストのため。
鏑木の娘が葬儀の際に牧本の不在をほとんど気にしてないのもツラいし、無縁墓地に来るのが刑事だけで、牧本に理解を示していたはずの葬儀屋や上司がいないのも不自然。
予告で感じたような発達障害を笑うような作品になってなかったのは唯一の救い。
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