「自分の信念に忠実であろうとする不器用な生き方が胸に迫る」アイ・アム まきもと tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の信念に忠実であろうとする不器用な生き方が胸に迫る
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主人公の牧本は、孤独に死んでいった人達の遺族を捜し回ったり、私費で葬式を出したりしているが、それは、決して「誰かに感謝されよう」としてしていることではない。
最後の案件には、自分の墓を譲るほどのめり込むが、それは、「人に好かれよう」とはしなかったという蕪木という人物に、自分と同じ生き方を感じ取ったからではないだろうか?
しかし、蕪木の葬式には、彼を偲ぶ多くの人々が集まり、牧本の遺骨には、彼に弔ってもらった多くの故人が手を合わせるのである。
基本的には軽いタッチのコメディではあるが、ラストでは、自分の価値観や信念を大切にするあまり、社会にうまく適合できず、不器用にしか生きられなかった人間の、悲しくも筋の通った人生が胸に迫り、熱いものが込み上げてきた。
それにしても、これからの時代、「おみおくり係」のような仕事は、益々必要になっていくはずで、それを廃止するというストーリーには、現実味が感じられなかった。話としては、部署の「廃止」ではなく、牧本個人の「人事異動」にした方がよかったのではないだろうか?
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