「【”頑張った!頑張った!" 孤独死者の遺骨を丁重に扱う、不器用な市役所職員の尊崇な行いに応える多くの命。孤独死が増加する現代、牧本のような人物は必要ではないかな、と思った作品である。】」アイ・アム まきもと NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”頑張った!頑張った!" 孤独死者の遺骨を丁重に扱う、不器用な市役所職員の尊崇な行いに応える多くの命。孤独死が増加する現代、牧本のような人物は必要ではないかな、と思った作品である。】
ー 市役所に勤める牧本(阿部サダヲ)は身寄りなく、亡くなった人を埋葬するたった一人の”お見送り係”。
誰にも看取られる事無く、逝った人たちの自宅に入り、遺品を回収し、”自腹”で葬式を出す。
だが、その葬式には誰も来ない・・。-
◆感想
・ご存じの通り、今作はエディ・マーサン主演の「おみおくりの作法」のリメイクである。水田伸生監督と阿部さんのタッグ作なので、お笑い要素多めかな・・、と思ったら”合理的、合理的、”お見送り係”は廃止”と宣う、愚かしき新任局長の優勝カップへの放尿シーン位であった。
ー テーマが、”死”だからね・・。-
・牧本の最期の仕事は、孤独死した蕪木(宇崎竜童:免許証の顔写真が怖いです・・。)の部屋に大切に置いてあった、彼の娘と思われる幼き時の写真に写っていた女性を”遺族”として探す事だった。
ー 牧本が、警察の様に聞き込みを進めていくと、荒くれ者ではあるが、蕪木が漢気ある人物だった事が徐々に分かって来る過程が面白い。
工場で、指を失った同僚(松尾スズキ)の為に、会社に抗議したり、(けれど、食品に小便をするのはどうだろう・・。何だか、オカシイ。)若いころ、炭鉱で働いていた時に、落盤事故に遭った際に、眼をやられた同僚(國村隼)を背負って、生き残った事・・。
鏑木は、牧本とはタイプが違うが、社会不適合者だったのであろう。但し、鏑木の行動には、会社の安全配慮義務違反に対しての怒りなど、確かな理由がある。ー
・そして、漸く辿り着いた実の娘(満島ひかり)。最初は、拒絶感を示すが、牧本から父の生き様を聞いて、考えを変えていく姿。
ー 突然、自分と母を捨てて、いなくなったことは許せないだろうが・・。けれど、その後鏑木に鉱山で助けられた男が言った言葉。”俺の姿を見て、自分だけ幸せで良いのか、と思ったのではないかな・・。あいつはそういう奴なんだ・・。”-
<牧本は、自分の墓地を立てる場所を生前確保していた。そして、時々そこに横たわって、嬉しそうな顔をしていた。けれど、彼はその場所を鏑木に譲ったのだ・・。ナカナカ出来る事ではないだろう。そして、牧本を襲った不慮の死。彼の遺骨は骨壺に収められ、葬儀も簡素に行われる。
だが、牧本が生前ギリギリまで無縁仏にしないように、骨壺を収めていた小さな塔に集って来た鏑木を始め、彼に”お見送り”をキチンとされた人々が集い、祈る姿。
孤独死が増加する現代、少し問題はあるが、牧本のような人物が必要ではないかな・・、と思った作品である。>
■その他
・この作品の舞台は、庄内平野である。庄内市となっているが、実際は鶴岡市と酒田市がロケ地になっている。月山の牛が仰臥したような姿。田圃。変わってないなあ・・。(遠い目)
私も気づきのない人間だなと、つくづく思いました。まきもとさんが、仰向けになって空を見上げていたあそこが、自分のお墓だったのですね。おっしゃられるまで、分かりませんでした。あの清々しくも穏やかだった彼の顔!
民生委員とホームレスとの結婚と聞いて、『LOVE LIFE』を思い出しました。なかなかない話だろうけど、やっぱりモテたんだろうなぁ・・・まぁ、ホームレスにしては若かったんだろうし。
地方の市役所福祉課って、都会と違ってけっこう親身になってくれる。部署は違うけど、生活保護受理率の差も歴然!!この映画に関しては、都会の人ほど違和感があるのかもしれませんね。
コメントありがとうございます!
「おみおくりの作法」観たときの感想は主人公の堅物さは仕事が作り上げたものだろうか?それがストーリーが進むに連れて、失われた人間味を取り戻していくかのような気持ちでした。
描き方の違いはあれど、生命や死と言うものへの向き合い方を考えさせてくれる良作に巡り会えたと感じています。
今作に関しては私の身の回りの事を投影してしまい、個人的な感情が選考してしまったきらいが有りましたが。
コメントイイねありがとうございました😊政党支持的に立場が違うとはいえ、極めてど共感です。チョット描写の整合性に欠ける点は玉に瑕ですが、沁みましたねぇ。人生山あり谷あり、最後は故人を偲ぶというのは人数に関係なく崇高、人の尊厳ですねぇ。日本一の地主本間さまの酒田市、鶴岡市、ロケーション最高でしたね。
「食品に小便」はブラッド・ピット「ファイト・クラブ」にも描写がありましたが、おっしゃるように例えエピソードでも回避すべきでした。ど共感です。ありがとうございました。