「低品質なのに優秀作品賞」月の満ち欠け 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
低品質なのに優秀作品賞
けなしているのでスルーしてください。
ぬるぬるした感傷シーンだらけ。間合いが超絶AWKWARD、キモ気まずシーンの連続。ほぼすべてがフラグ。恥ずかしくて、吐き気をもよおす涙くれくれ光線が出っぱなしの二時間超、拷問ですかこれは。まじでなんなんだおまえら。なにがるりもはりもだよ。ほんと全員ぶんなぐりたかった。
るり「これいじょう会うとふたりともどんどん苦しくなる」
さんかく「ぼくはくるしくてもへーきです」
走り出すふたり
るり「どこまでいくの」
さんかく「ずっとずっとむこうまで」
な・ん・だ・こ・れ・は。
な・ん・だ・こ・の・知・能・が・低・い・者・達・の・国・に・迷・い・込・ん・で・し・ま・っ・た・か・の・よ・う・な・感・覚・は。
原作を読んではいないが、これは伊坂幸太郎&中村義洋のフィッシュストーリーみたいな感じの不可思議なストーリーなのではないのか。レコード店も似てたし。そういう綺譚をボロボロの編集と脚本と演出で高校生映画コンクール品質に落としている。わかりやすく言うと中村義洋だから伊坂幸太郎が描けたわけで、この人じゃぜんぜんむりですという話。どこに何の解決があるの、この話?
茨城県筑西市に80年代の高田馬場駅前の巨大セットをつくったそうです。お疲れ様でした。嫌バイアス抜きにして驚愕のズタぼろ低クオリティ映画でした。
ところがこの映画が第46回日本アカデミー賞優秀作品賞および9部門を総ナメしたんだとか。な・め・と・ん・の・か・わ・れ。日本マッチポンプ大賞に改名しとけ、だいたい賞レースできるようなご大層な業界じゃない、おまえらもう映画なんかつくんなくていい。見たって分かんねえんだから見なくてもいい。SOのタイム測りにだけカンヌ行っとけ。
いやなら見るなという話だが相対値が置かれなければならない。
日本アカデミー賞優秀作品賞をとっている映画でそれがいかに形骸化したプライズとはいえ、映画に白黒をつけない多数の人々に好意的にとらえられる可能性がある。
すなわち映画にこだわりのない人はひどい映画を見ても「じぶんには合わなかった」と解釈する穏和主義をもっているので、ProsもConsもつけないで、わかりませんに相当する「3.5」をつけることが往々にしてある。3.5は謂わば我関せずの代替語であり、どうでもいい映画が名画みたいなポジションでふんぞり返っているという日本映画特有の謎現象はそこからきている。
だから(いやなら見るなは解るけれども)これはたんなるゴミ映画ですという相対的意見を置いておく必要がある。
ただこの映画に関してはほんとに低品質なので相対値ではなく中央値として置きたい。そんな映画を優秀作品に選出しちゃう業界だから、すこしでもリテラシーがあるのなら、日本映画界の全体が終わっていることがよくわかる映画であり受賞だった。もちろんこの映画が優秀作品になったのは賞をやっとかないとまずいほど長く映画業界にいる監督だからというのが九割はあるにちがいないが、逆にいえばそんなプライズでしかなくそんな業界でしかないという話。
