劇場公開日 2022年12月2日

「典型的な小説から映画にしたらドン引き展開になったパターン」月の満ち欠け たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0典型的な小説から映画にしたらドン引き展開になったパターン

2023年2月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

単純

申し訳ないけど、予告編以上の捻りがあんまりない。主題を押し出しすぎてギミックが効かず、心が動かなかった。小説を起こしてるはずなのに展開してないように映る。

原作は未読だが、凄く言葉選びに魔法が宿っているような作品のようで、台詞に作品を引っ張ってもらう必要がある。その中で描かれる「生まれ変わり」を割と主軸に置きすぎた為か、事実を受け入れるに終始した印象が強い。折角の魔法も立体化した人間関係がチラチラとヒントのように顔を出す。小説なら隠れる秘匿性が実写化では見え隠れしてしまう。ベストセラー小説で陥りがちなパターンにこちらもなっている。ましてファンタジックなギミックを有するので、なおさら。惜しいところである。

しかし、1980年代を感じさせるファッションやカルチャーが顔を出すロケーションはほれぼれする。都会の一片を感じさせる高田馬場は旧き良きクルマたちで溢れている。ただ、クルマがスポーツカーばかりなのは大人の事情か…笑。個々の関係性が必要な部分に対して造詣があまり感じられず、ミステリなのかハートフルなのか振り切れていない気がする。

主演は大泉洋さん。予告編でも言われているように、現代と過去を繫ぐ生き証人のような主人公。なんだか展開のために作られたようなキャラ造詣で物足りない。そう考えると、物語を動かす役どころで行くと有村架純さんがテラーと言える。瑠璃としての影を感じさせつつ、行けない所へ突き進む感じが怖くも見入る。ドキドキするようなシーンもあるが、結局掴みにくいのが惜しい。田中圭さんはもっと振り切ってほしかったり、このキャストながら可動域が狭いと思ってしまった。

廣木隆一監督も今秋に3作も公開されているわけだが、引き出せる部分が脚本によって少なくなっているようにも思える。その点では、『あちらにいる鬼』のほうが良かったし。難しいところだが、大切な人を改めて思ったことは間違いない。

たいよーさん。
もり045さんのコメント
2023年3月5日

こんばんは、私は原作を読んで、眼の前がやっとクリアになりました。

もり045