「浮世離れ」月の満ち欠け サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
浮世離れ
今年一のドラマと言っていいでしょう、「silent」。あの作品の1話を見てからというもの、すっかり目黒蓮ファンに。彼の繊細な演技と表現力に身も心も奪われ、そこまで期待していなかった本作も、一気に楽しみになりました。しかしながら、本作監督の廣木隆一作品は「ノイズ」「母性」で、個人的には期待外れの結果に。少し不安要素が残り、嫌な予感がしないこともないですが、大好きな目黒蓮初単独映画出演作ですので、公開日に鑑賞。。。嫌な予感は当たりました...
大泉洋、柴咲コウ、目黒蓮、共に素晴らしい演技であることは間違いありません。有村架純の演技は、個人的にはあまり好きではないのですが、本作、それも後半になると凄くいい演技をしていたかと。「るろうに剣心 The Beginning」の100倍いい。主演の大泉洋と伊藤沙莉を除いて、その他の俳優の登場シーンは、そこまで多くはありません。目黒蓮目当てに見に来た私としては少し残念ですが、それでもいい味を出しています。まぁ、silentほどでは無いけどね笑
まぁ、なんたって主演の大泉洋が凄いのです。
あ、こんなに感情豊かな演技ができる人だったんだと、思い知らされました。「新解釈・三國志」「騙し絵の牙」と、最近はどちらかというとふざけた役が多かったですが、もう本作ではそんな彼は遥か遠くに。笑ったり、幸せな表情をしたりするシーンもありますが、全身を使って泣く姿が印象に残りすぎて...もう本作はそこにしか目がいかない。そのくらい、今までとはひと味もふた味も違う、素晴らしい演技を見せてくれます。
それと、映像の美しさ、3~40年前を模様したセット、趣深い音楽、話の構成はもうめちゃくちゃいい。全くもって飽きなかったし、「鳩の撃退法」の佐藤正午が原作者なだけあるなと思いました。話の展開の仕方は、原作を読んでいないのでなんとも言えませんが、佐藤正午味を感じたので、しっかり反映されているんじゃないでしょうか。どうなっていくんだろうと、物語の続きが気になって仕方ないこの感覚は、あの作品を見た時と同じ。すごく楽しい。
ただ、、、ストーリーが浮世離れし過ぎじゃない...??? めちゃくちゃ調子が良かったのに、ラスト30分辺りでがけ崩れ。急に長ゼリフを喋る女の子、説明不足な前世設定、無理がありすぎるエピソード、何より感情移入がしずらいのが、本作最大の欠点。はて、これは原作小説もこんな感じなのだろうか。あまりにも違和感あくりではなかろうか。感動しそうだったのに、あまりにもファンタジックで現実味が無くて、一気に覚めちゃいました。んー...これは映画の演出&脚本の問題なのか、小説自体の抜け目なのか...。どちらにせよ、最後の最後ですっごいシラケちゃいました。
あと、前世設定に限らず、登場人物や感情の変化、そして恋愛模様の描きが下手。ひたすらに語り口調になってしまっているのも、なんだか勿体ない。ここはもうちょい上手くやれたのかなと。ここまでガックシ来ちゃうと原作を読みたくなってきたな...買います。
ハッキリ申しますと、あまり面白くなかった。感動をしそびれたし、不満残るし。だけど、大泉洋の演技は映画館でわざわざ見る価値があるかと。あと、silentで目黒蓮ファンになった皆さんも、見て損なし。期待していただけにすごくガッカリですが、まぁ見て後悔するものでは無かったかな。家に帰って、昨日のsilent見よっと。
原作読んだのにすっかり忘れてます。
ただ、映画ほど小学生の子どもにあざとい役回りを与えていなかったし(たぶん)、子どもの何気ない仕草や発言などから突きつけられる状況証拠を大人たちがどう咀嚼し、どう真実に迫り、どう葛藤していくかが丁寧に描かれていたと思います。
映画では、伊藤沙莉さんに、すべてを見通した風に語る上から目線の、ちょっと癪に触る感じの語り手を当てていましたが、これは脚本の失敗かな、と思います。
ありがとうございます。
サプライズさんのレビュー
全くもって同じ思いです。
目黒蓮くんは朝ドラ、ドラマと今作と目白押しに活躍されてますね。
今後、楽しみです。
…大泉洋さんはコメディだけじゃないことが証明されましたね。
素晴らしかったです。