劇場公開日 2022年6月17日

  • 予告編を見る

「辛辣にも程がある宗教描写がエゲツナイ、ドン底で辛酸を舐めた三姉妹の快進撃が痛快なトラジコメディ」三姉妹 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0辛辣にも程がある宗教描写がエゲツナイ、ドン底で辛酸を舐めた三姉妹の快進撃が痛快なトラジコメディ

2022年6月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ポスタービジュアルからは想像がつかない重量級のドラマ、というか悲惨過ぎて笑ってしまうトラジコメディ。娘との不仲、夫の不倫、スランプといった人生の壁にぶつかった三姉妹の自業自得とジタバタがとにかく痛々しくて誰にも感情移入が出来ずひたすらイライラさせられますが、実はこれは巧みなミスリード。三人が現状打破に打って出るところからグッと引き寄せられてしまい彼女達の快進撃が突然眩しくなります。冒頭に放り込まれる意味深なカット、次女ミヨンと三女ミオクの会話に見え隠れする過去の闇、幼少期の写真といった積み上げられたドラマの断片が一気に雪崩を起こす終盤のカオスに涙腺が決壊、ジャンルもあらすじも異なりますが『リトル・ミス・サンシャイン』によく似た爽快感を感じました。

本作で印象的なのは宗教描写。福音派教会の敬虔な信者達が誰も救われず、ドン底にいる人に手を差し伸べる怪しい別の宗派が高額の祈祷料を掠め取るという自分の近所にも転がっているであろう弱肉強食がリアル過ぎて吐きそうになりました。

よね