「救いの手となるはずが」リボルバー・リリー サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
救いの手となるはずが
プロットもキャラクターもめちゃくちゃよく出来ていて、ハードボイルドの傑作になり得たのに、なにか凄く足りない。絶対面白いはずなのに、何故か面白くない。それまではちょくちょく首を傾げながらも楽しめていたが、ラスト2~30分がいちばん眠くて唖然。こんなに興奮しないアクションがあるものか。あまりに酷いぞ、行定勲。
ワンピースに縋り続ける東映、興行収入が振るわない綾瀬はるか、プロデュース作品が尽く酷評の行定勲。ここで一発ホームランが欲しかったところですが、これも大失敗に終わっちゃうだろうな〜...。「レジェンドオブバタフライ」に引き続き、かなり予算を叩いているようでかなり苦戦を強いられそう。本作、Netflixオリジナルドラマとして制作したら、たっぷりとお金を使うことでじっくりとストーリーを展開し、世界から絶賛の嵐となる未来が見えなくもない。そもそもこの手の映画に予算が降りるか分からないけど、サンクチュアリみたいなことも有り得るから、やって欲しかった。
そんくらい、個人的にストーリーは大好物。
政界やら陸海軍やらが絡みながら、孤独なスパイとして生きる女の物語。ん〜、最高じゃないか。もっと上手く使えたようにも思えるが、綾瀬はるかはハマり役。長谷川博己とのタッグもいい。ただ、子役はいただけない。こんな重い荷物を背負ったキャラクターを演じるには、かなりの実力がないといけない。大俳優に囲まれているからか、悪目立ちしてしまう。シシド・カフカとかジェシーとか演技経験がそれほどない人を無駄に使ってしまうから、一気にリアリティが無くなるんだよ。最近の日本映画の良くないところ。
キャラクターが多すぎるのもだけど、それ以上に緊張感・臨場感が無く、余白のせいで集中力が途切れてしまうのがいちばんの問題点かと。ホントに、いつ時のアクションですか?大金使ったとは思えない、キレのないダッサイ戦闘シーン。陸軍弱すぎだろ!!!奮闘しろよ!!!最強のスパイなら、もっとテンポよく華麗に見せてくれ!陸軍も強いなら、もっと弾を増やせ!完全に主人公中心に世界が回っている。せっかくの大スクリーンなのに、迫力が一切無い。はぁ...なんだこれ。
面白いのに、なんでこんなに面白くないんだ。
江口カン監督(ザ・ファブルシリーズ、サンクチュアリ等)に撮り直して欲しい。それか、白石和彌監督。行定勲監督がこの手の映画って、大丈夫かなと思っていたけど、案の定。残念すぎる作品です。MVPは佐藤二朗です。最高でした。