戦場記者のレビュー・感想・評価
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地獄からの使者
TBSテレビの中東支局長、須賀川拓氏の取材を追ったドキュメンタリー、主にガザ地区、ウクライナ、アフガニスタンと今まさに世界に注目される紛争地域を訪れている。
戦場カメラマンなら紛争の地獄絵を切り取るだけだが記者となると、被害にあった市民ばかりか紛争当事者への突撃インタビューなどを行っており、民放テレビ局にこんな人が存在していることに驚き、畏敬の念を禁じ得ない。
防弾チョッキ着用でサバイバルキット携帯だが、そこはサラリーマンなので危険地域、最前線での取材は会社から禁じられているようだ、ご本人は使命感などという高尚な言葉は使わず、民間人が犠牲になる理不尽な地獄を目にしてもむしろ報道するだけの無力感に侵されているようだ、テレビだけでなくYouTubeでの発信も行っておりネットではコメントが寄せられるので励みになると語っていた。
偽善の域を越える展望が感じられない
ロシアがシリアで試したことをウクライナ侵攻に振り向けたという視点は貴重に感じたが、初期の攻撃結果しか出ていないので、今となっては古びた感じを受ける。確かに、取材することを生業としている須賀川記者自身の偽善を問い直す姿勢は貴重かもしれない。多くは脚色であろうけれども、映画『クレッシェンド』に集った若者たちは、互いに自分とは違う見解と向き合う機会を得ることができ、相互理解につながる可能性もみせてくれたが、須賀川記者の取材では、それぞれの主張の矛盾は指摘するものの、結論としては、当事者同士の解決に見切りをつけており、展望が感じられない。アフガニスタンでの閣僚取材において、西側諸国の女性の権利保障への批判を偽善だと媚びるような言い方をする必要があったのだろうか。その閣僚の言い分では、西側諸国の統治による悪弊の結果だというわけで、その前がどうだったのか検証されているわけではない。須賀川記者の言うような薬物依存症者への治療という人道支援をしようとしたときに、タリバン政権がその方向で動いてくれることを期待するのは難しいように思える。故中村哲氏の名誉回復が行われているようなので、ペシャワール会の活動成果も含めてアフガニスタン支援の展望を探ってもらいたいと考えた。
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