破戒のレビュー・感想・評価
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映画としては説明的でつまらない映画だった。でも原作読んでなかったし...
映画としては説明的でつまらない映画だった。でも原作読んでなかったし、差別を巡る法と乖離した排除の構造や、ナショナリズムを煽る反動のあり方は、現代と呼応してあまりにリアリティがあった。
丑松個人の苦悩、抑えられた感情などはよく描かれていたけど、間宮くんの解離的な感じが効いているのかとも思った。
未来への希望が見える
学問のススメ
内容と同じように誠実に作られた作品だと思います。
演者はもちろん、セットや小道具、衣裳、音楽、照明、スタッフもみんな良い仕事をしてるんではないでしょうか。(桜の花びらと蛍のCG要らなかった)
間宮祥太朗演じる瀬川丑松が、独白するところ、子どもたちに告白するところでは、両隣の女性がハンカチで涙を拭っていました。
差別の問題はもちろんですが、学問をすることの大切さを訴えているところが良いと思います。
矢本悠馬が実にいい味出してるなぁ、ガム君もみしまる君も「破門」のチンピラもよかったけど、今回も最後持って行ったなぁ。いつか彼の主演で男はつらいよみたいな映画作ってくれないかな。
真面目な作品だからお客さん入ってないかと思ったら、結構入ってました。子どもたちをおばけずかんに送り出して、間宮祥太朗観に来てる若いお母さんたちが多かったようです。シネコンていいですね。
昔みたいに二本立てにして、こういった作品を娯楽作品と一緒に上映したらどうでしょう。
亡くなった父親が市川崑監督の「破戒」の話よくしてたの思い出しました。映画っていいですね。
考えさせられる
歴史の進歩とは何か?
恥じることなく前に進む
間宮祥太朗が主演というだけで、チェックしていた本作。部落差別について描いた小説を60年振りに映画化ということしか知らず、最悪見逃しても配信で見ればいいかと思っていた程度だった。しかしながら、邦画では考えられないほどの高評価で、これは見るしかないだろうと思い、劇場で鑑賞。予想を遥かに上回る良作で、色々な感情が押し寄せながら、かなり衝撃を受けています。
私が苦手な映画ジャンルの1つが、「時代劇」というジャンルなんですが、本作はその苦手が払拭されたと言っても過言ではないほど、私が今まで見てきた時代劇の中で群を抜いて素晴らしい作品でした。少々、冗長で垂れてしまう部分もありますが、全体的に非常に濃密で出来が良く、『この時代だからこそ伝えたい』という制作陣の熱い思いが伝わってきました。
作品の出来がいいなと思った点として、光陰、つまり照明の使い方が大きなポイントとなったと思います。春の鮮やかな太陽の光と暖かく照らされる桜の花。心が浄化されるような気持ちになりながら、新境地に少しの期待と不安を抱える主人公の様子が光から伺えます。一方で、黙々とせまる触れてはいけないような嫌な予感。人物に影を作り出し、恐ろしさと不気味さを演出しています。最近の邦画で言えば、「流浪の月」が照明の才能が光っていましたが、本作はあの作品を超えるほど光陰でした。
そしてなにより、お目当ての間宮祥太朗。
彼の演技は、「帝一の國」「殺さない彼と死なない彼女」そして、ほんの数回しか登場していない「東京リベンジャーズ」ですら垣間見えるほど、素晴らしく同年代では勝てるものがいないほどのものかと思います。
本作でもその実力は大いに発揮。愛され、慕われ、尊敬されている教員を見事なまでに演じていました。あまり見た事がなかったのだけど、表情筋の使い方が上手すぎて彼の泣き姿が胸がぐちゃぐちゃになるくらい苦しくなった。天才俳優です。最高です。
周りの役者も最高で...。
竹中直人、田中要次、石橋蓮司などのベテランは流石の安定感で、眞島秀和の芯のある演技には見とれてしまう。大東俊介のイヤらしさも絶妙。石井杏奈の独特な美しさもたまりません。でも、群を抜いてよかったのが矢本悠馬。いつもはおふざけばっかりなのに、これはずるいよ...。ラスト際の対抗するシーンはめちゃくちゃ泣けた。この人もいい役者すぎるぞ...。
ストーリー構成も展開も完璧。
重厚感があり、ゆっくりと丁寧に物語を描きながら、じわじわと観客の心を掴んでくる。喉の周りがひんやりと冷たくなる感覚が辛く、始まって15分で既に体が悲しさを覚えていた。話の見応えもあるし、見せ方も本当に上手い。涙が痛いと感じたのは初めて。言葉にするのが難しいんだけど、とにかく質が高いのです。
差別とはこんなにも酷いものだったのか。全く知らなかった。人は弱いから、人を傷つける。人を傷つけるものは弱い。自分の出身について語れないなんて、隠し通さないといけないなんて、虐げられるなんて、、、。黒人差別の作品は多くあり、多く見てきましたが、日本の部落差別についての作品はもしかしたらこれが初めてかも。こんな世の中だったのかと、恥ずかしながら本作で知りました。繰り返してはならない。日本人全員に見て欲しいです。
心が破壊される本作。
なんか今月すごいわ。面白い映画が多すぎる。本作もまた本年度Best10入りです。上映館は少ないですし、上映回数も少ないですが、是非ご覧ください。私の近所の映画館では、集客8割くらいでした。もっと上映館増やしていいのに...もう一回みたい。
2年ぶり2度目
一昨年、市川雷蔵の特集上映で市川崑監督版を観たが、概ね内容は一緒だった。
台詞回しだったり、音楽が現代のやり方なので、よりドラマチックな印象。市川崑版は、もっと淡々としていたと思う。
先日観た『私のはなし 部落のはなし』でも「差別はなくならない」と言っていた。特に部落問題のない地域に住んでいると、生まれた地域によって差別されるという事が、どうにも意味が分からない。差別はいけないと教えるべき教師が、率先して差別する。勝野には何度もイラッとさせられた。そういう点では、見事なヒールだったのかな。
内容は分かってはいても、いつバレてしまわないかハラハラし、最後の授業ではグッとくる。
リメイクや再映画化などに見られる、監督や脚本家が独自の解釈で、変に個性を主張することがなかったので、“良い映画"として観られた。
午前中に『冬薔薇』を観たので、一日2蓮司。
同テーマのドキュメンタリーを観た事もあり、さまざまなな角度から考え...
人間喜劇
題名だけは、有名な小説
恥ずかしながら原作未読ですが、
答えはシンプル。子どもたちの目を見ればわかる。
良かった
差別は無くなったのかな?
原作もこれ以前の映画もドラマもは知りません。
100年以上前の物語。
今の世は差別は無くなったのかな?
間宮祥太朗は好きなので観ようと思いながら、昭和(正確には明治)の映画もというイメージでした。観るか迷っていましたが、とても高評価なのでやっぱり見てみることに。とても良かったです。
迷っている方がいれば是非オススメです。
千葉県唯一の公開で1日1回の公開ということで、劇場は1/4くらいは埋まっています。
最近では珍しい。アニメ映画やアニメ原作以外で埋まってるのは良いことですね。
ただ、なんでこんなに公開している劇場が少ないのか、、、「カメラを、、」の方が多いなんて。
やはり観客は大人中心なので、さらに不安に。見始めると、もちろん明治の終わりの話なので、時代劇と近代劇の間くらいですが、演出や演者がとても良く、古さは感じません。説明しにくいですが、とても見やすかった。
また、後半の名シーンはかなり良く、涙です。
私は40代半ば
「部落」という言葉は知っていますが、「集落」という意味で、差別的なイメージはありません。
「穢多」という言葉に至っては聞いたことも無く、オープニングで、穢多は病気の名前なのか、身分の名前なのかも分からない状態でした。
とても勉強になり、こんな酷い差別が日本にもあったのだと衝撃です。
よくネットで、「部落出身の芸能人」とか見かけますが、意味がようやく分かりました。
100年後の現在は、この頃に比べると日本は良くなったと思います。が、「在日朝鮮人」「性的マイノリティ」などの差別はまだありますね。
「差別は簡単には無くならない」と、まさにそうかもしれません。「差別はしない」と思っていること自体が差別だったりするので。
それでも、部落とか穢多とかの差別は無くなりつつあると信じたいです。
少なくても、劇中のように「差別はさらてもしかたがない」という世の中ではなくなったので、進歩していると思います。
余韻が残る映画
主演の間宮祥太朗が静かな存在感を放ち、明治後期の時代設定の中に溶け込んでいる。「最近テレビドラマでヤンキー役をやっていたな」という認識の人が本作での文学的な佇まいを見たらかなり驚くだろう。
原作との相違点は許容範囲内だと思われるが、人によっては話の展開をやや綺麗に感じてしまうかもしれない。
静かで丁寧な演出のため、主人公の丑松の苦悩から自己の解放に至るまでの心情に寄り添って観ることができた。
鑑賞後は、丑松だけではなく親しい同僚の銀之助や互いに惹かれ合う志保、丑松が傾倒する思想家の猪子、教え子たち、そして丑松を追い込む側の人物の心情までも考えてしまった。
また、差別や偏見の意識が自分自身の中に存在していないだろうかと自問自答した。
原作が執筆されてから100年以上経っても部落差別が存在していることや、差別する者・される者が常に変化して差別自体はなくなっていないことは悲しいことだが、本作は困難な状況の中でも希望を持つことの意味も描いている。
原作の空気感が表現されつつも、現代風にアレンジされているため、原作を読んだことがない人にもおすすめできる。
映画館で観て、余韻に浸り、何かを考えるきっかけになる体験ができる作品。残念なことは上映館が少ないこと。
映像で学ぶ近代文学入門
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