破戒のレビュー・感想・評価
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映画としては説明的でつまらない映画だった。でも原作読んでなかったし...
映画としては説明的でつまらない映画だった。でも原作読んでなかったし、差別を巡る法と乖離した排除の構造や、ナショナリズムを煽る反動のあり方は、現代と呼応してあまりにリアリティがあった。
丑松個人の苦悩、抑えられた感情などはよく描かれていたけど、間宮くんの解離的な感じが効いているのかとも思った。
未来への希望が見える
昔、高校生ぐらいのとき原作を読んだ気がするのですが、その時は失意のうちに学校を去るという暗い終わり方だったよな、という記憶でしたが、今回この映画を見て、未来に向けて希望が持てる終わり方だったので、今の時代にふさわしい作品だと思いました。
学問のススメ
内容と同じように誠実に作られた作品だと思います。
演者はもちろん、セットや小道具、衣裳、音楽、照明、スタッフもみんな良い仕事をしてるんではないでしょうか。(桜の花びらと蛍のCG要らなかった)
間宮祥太朗演じる瀬川丑松が、独白するところ、子どもたちに告白するところでは、両隣の女性がハンカチで涙を拭っていました。
差別の問題はもちろんですが、学問をすることの大切さを訴えているところが良いと思います。
矢本悠馬が実にいい味出してるなぁ、ガム君もみしまる君も「破門」のチンピラもよかったけど、今回も最後持って行ったなぁ。いつか彼の主演で男はつらいよみたいな映画作ってくれないかな。
真面目な作品だからお客さん入ってないかと思ったら、結構入ってました。子どもたちをおばけずかんに送り出して、間宮祥太朗観に来てる若いお母さんたちが多かったようです。シネコンていいですね。
昔みたいに二本立てにして、こういった作品を娯楽作品と一緒に上映したらどうでしょう。
亡くなった父親が市川崑監督の「破戒」の話よくしてたの思い出しました。映画っていいですね。
考えさせられる
差別は今日でもあるが、屈せずに前向きに生きていけば道は開けていくのではないか。ラストの結末はそういう希望を視聴者に訴えたかったように思います。
差別や戦争は現在も起きていますが結果的には仕掛けたに方もあらゆる部分で損害は大きいです。何が本人にも他者にとっても良いかを一人ひとりが考えること、過ちも犯すが反省してはまた軌道修正して進み出す、そうしてより生きやすい社会を築き上げていくことなのかなと映画を通して学びました。
主人公や同僚の親友が成長していく姿など2時間で濃い内容にまとめてあり久しぶりに映画鑑賞に没頭し感動しました。
歴史の進歩とは何か?
歴史の進歩とは何か?
社会に存在する不条理な差別を解消していくこと。
性別とか、肌の色とか、出身地のように自分ではどうすることもできないことで差別されることを「不条理な差別」というなら、この不条理な差別を解消していくことが、歴史の人類の進歩だといえるのかもしれません。
映画のラストはわずかばかりでも救いがあったのでカタルシスを得ることができました。
登場人物(俳優さん)の存在感にエッジが効きすぎて、物語に入り込むのに多少の意識作用が必要でしたが、観て良かったと思える映画でした。
恥じることなく前に進む
間宮祥太朗が主演というだけで、チェックしていた本作。部落差別について描いた小説を60年振りに映画化ということしか知らず、最悪見逃しても配信で見ればいいかと思っていた程度だった。しかしながら、邦画では考えられないほどの高評価で、これは見るしかないだろうと思い、劇場で鑑賞。予想を遥かに上回る良作で、色々な感情が押し寄せながら、かなり衝撃を受けています。
私が苦手な映画ジャンルの1つが、「時代劇」というジャンルなんですが、本作はその苦手が払拭されたと言っても過言ではないほど、私が今まで見てきた時代劇の中で群を抜いて素晴らしい作品でした。少々、冗長で垂れてしまう部分もありますが、全体的に非常に濃密で出来が良く、『この時代だからこそ伝えたい』という制作陣の熱い思いが伝わってきました。
作品の出来がいいなと思った点として、光陰、つまり照明の使い方が大きなポイントとなったと思います。春の鮮やかな太陽の光と暖かく照らされる桜の花。心が浄化されるような気持ちになりながら、新境地に少しの期待と不安を抱える主人公の様子が光から伺えます。一方で、黙々とせまる触れてはいけないような嫌な予感。人物に影を作り出し、恐ろしさと不気味さを演出しています。最近の邦画で言えば、「流浪の月」が照明の才能が光っていましたが、本作はあの作品を超えるほど光陰でした。
そしてなにより、お目当ての間宮祥太朗。
彼の演技は、「帝一の國」「殺さない彼と死なない彼女」そして、ほんの数回しか登場していない「東京リベンジャーズ」ですら垣間見えるほど、素晴らしく同年代では勝てるものがいないほどのものかと思います。
本作でもその実力は大いに発揮。愛され、慕われ、尊敬されている教員を見事なまでに演じていました。あまり見た事がなかったのだけど、表情筋の使い方が上手すぎて彼の泣き姿が胸がぐちゃぐちゃになるくらい苦しくなった。天才俳優です。最高です。
周りの役者も最高で...。
竹中直人、田中要次、石橋蓮司などのベテランは流石の安定感で、眞島秀和の芯のある演技には見とれてしまう。大東俊介のイヤらしさも絶妙。石井杏奈の独特な美しさもたまりません。でも、群を抜いてよかったのが矢本悠馬。いつもはおふざけばっかりなのに、これはずるいよ...。ラスト際の対抗するシーンはめちゃくちゃ泣けた。この人もいい役者すぎるぞ...。
ストーリー構成も展開も完璧。
重厚感があり、ゆっくりと丁寧に物語を描きながら、じわじわと観客の心を掴んでくる。喉の周りがひんやりと冷たくなる感覚が辛く、始まって15分で既に体が悲しさを覚えていた。話の見応えもあるし、見せ方も本当に上手い。涙が痛いと感じたのは初めて。言葉にするのが難しいんだけど、とにかく質が高いのです。
差別とはこんなにも酷いものだったのか。全く知らなかった。人は弱いから、人を傷つける。人を傷つけるものは弱い。自分の出身について語れないなんて、隠し通さないといけないなんて、虐げられるなんて、、、。黒人差別の作品は多くあり、多く見てきましたが、日本の部落差別についての作品はもしかしたらこれが初めてかも。こんな世の中だったのかと、恥ずかしながら本作で知りました。繰り返してはならない。日本人全員に見て欲しいです。
心が破壊される本作。
なんか今月すごいわ。面白い映画が多すぎる。本作もまた本年度Best10入りです。上映館は少ないですし、上映回数も少ないですが、是非ご覧ください。私の近所の映画館では、集客8割くらいでした。もっと上映館増やしていいのに...もう一回みたい。
2年ぶり2度目
一昨年、市川雷蔵の特集上映で市川崑監督版を観たが、概ね内容は一緒だった。
台詞回しだったり、音楽が現代のやり方なので、よりドラマチックな印象。市川崑版は、もっと淡々としていたと思う。
先日観た『私のはなし 部落のはなし』でも「差別はなくならない」と言っていた。特に部落問題のない地域に住んでいると、生まれた地域によって差別されるという事が、どうにも意味が分からない。差別はいけないと教えるべき教師が、率先して差別する。勝野には何度もイラッとさせられた。そういう点では、見事なヒールだったのかな。
内容は分かってはいても、いつバレてしまわないかハラハラし、最後の授業ではグッとくる。
リメイクや再映画化などに見られる、監督や脚本家が独自の解釈で、変に個性を主張することがなかったので、“良い映画"として観られた。
午前中に『冬薔薇』を観たので、一日2蓮司。
同テーマのドキュメンタリーを観た事もあり、さまざまなな角度から考え...
同テーマのドキュメンタリーを観た事もあり、さまざまなな角度から考えてしまい、現実的な感想が浮かんできてしまった。
原作や過去の映画化作品を観ていれば、見せ場のシーンなどに集中できたのだろうが、やはり古典的な作りのせいなのか、遠い日の話と感じ入り込めなかった。
ただ、俳優陣は豪華で演技は堪能した。
人間喜劇
人は愚かではない、弱いんだ。
これが、この映画の全てだと思います。そして、主人公は強くなりました、子供達も。
差別、偏見を狂言回しに、人間とはこう言う妄想、精神に翻弄される、生き物であると、見事に画いていますね。原作より、ラストは希望に満ちたのが、私としては良かったと思います。
題名だけは、有名な小説
作者と題名は、とても有名ですが、
読んだことなくて、映画化されてよかったです
静かに流れる久しぶりの小津作品の様な。。
時代背景が、日露戦争中?
今とリンクするかなと。
お金持ちなのに廃止された身分制度のために
ひどい目に遭ってて。
主人公が、三浦春馬君に見えて
弁士が、参政党に見えてきました!
恥ずかしながら原作未読ですが、
島崎藤村の名作が原作ということですが、恥ずかしながら未読です。なので、脚色があるようですが映画でこの名作を知れて良かった。
演出、カメラワーク、音楽などすべてがとても丁寧に作られていて、俳優陣の演技も素晴らしく、感動しました。
観るのをオススメというより、多くの人に観てほしい映画です。
差別のない世の中、平和の世の中を作るためには、やはり正しい教育が大切ですね。
答えはシンプル。子どもたちの目を見ればわかる。
予想以上に良かった。
設定を原作の中学校から小学校にしたのも大正解!
子どもたちの演技力も素晴らしかったが、それを受け止める間宮祥太朗の演技がまた素晴らしい。
こないだまでドラマでヤンキーをやっていたのに七変化する俳優だ。
子どもたちはちゃんと先生の人柄を見ている。
出自で人を判断するのは心の弱い大人だけなのかもしれない。
矢本悠馬演ずる友人の教師の粋な計らいも良かった。
部落差別は大変重たいテーマたと思ったけど、複雑に考えなくていいんだ。答えはものすごくシンプルだ。
観ればわかる。
こんなに爽やかな気持ちで映画館を出ることになるとは思わなかったなー。
良かった
評価が高いので見に行きました。多くの客がキングダムやミリオンに流れる中で、県で破戒を上映してるのはここだけだったので祝日の席はほぼ満席でした。正義とは何か、不条理とは何か、歴史の中で正しい信念を貫こうとした人たちに感動します。ただ、原作と違いラストが現代に受けるように変わっていること、登場人物が増えて善人と悪人が明確に役割分担されていたことには物足りなさも。悪でもそれに至る背景があるわけで、その背景を変えていくことが社会の進歩かと思います。
差別は無くなったのかな?
原作もこれ以前の映画もドラマもは知りません。
100年以上前の物語。
今の世は差別は無くなったのかな?
間宮祥太朗は好きなので観ようと思いながら、昭和(正確には明治)の映画もというイメージでした。観るか迷っていましたが、とても高評価なのでやっぱり見てみることに。とても良かったです。
迷っている方がいれば是非オススメです。
千葉県唯一の公開で1日1回の公開ということで、劇場は1/4くらいは埋まっています。
最近では珍しい。アニメ映画やアニメ原作以外で埋まってるのは良いことですね。
ただ、なんでこんなに公開している劇場が少ないのか、、、「カメラを、、」の方が多いなんて。
やはり観客は大人中心なので、さらに不安に。見始めると、もちろん明治の終わりの話なので、時代劇と近代劇の間くらいですが、演出や演者がとても良く、古さは感じません。説明しにくいですが、とても見やすかった。
また、後半の名シーンはかなり良く、涙です。
私は40代半ば
「部落」という言葉は知っていますが、「集落」という意味で、差別的なイメージはありません。
「穢多」という言葉に至っては聞いたことも無く、オープニングで、穢多は病気の名前なのか、身分の名前なのかも分からない状態でした。
とても勉強になり、こんな酷い差別が日本にもあったのだと衝撃です。
よくネットで、「部落出身の芸能人」とか見かけますが、意味がようやく分かりました。
100年後の現在は、この頃に比べると日本は良くなったと思います。が、「在日朝鮮人」「性的マイノリティ」などの差別はまだありますね。
「差別は簡単には無くならない」と、まさにそうかもしれません。「差別はしない」と思っていること自体が差別だったりするので。
それでも、部落とか穢多とかの差別は無くなりつつあると信じたいです。
少なくても、劇中のように「差別はさらてもしかたがない」という世の中ではなくなったので、進歩していると思います。
多くの人に観てもらいたい
原作未読
閉塞感のある現代、多くの人に観てもらいたい映画
間宮祥太朗が素敵、涙が綺麗
矢本悠馬は「君の膵臓をたぺたい」から主人公を支える役は最適
個人的に好きな石井杏奈も健気
眞島秀和の演技は流石
余韻が残る映画
主演の間宮祥太朗が静かな存在感を放ち、明治後期の時代設定の中に溶け込んでいる。「最近テレビドラマでヤンキー役をやっていたな」という認識の人が本作での文学的な佇まいを見たらかなり驚くだろう。
原作との相違点は許容範囲内だと思われるが、人によっては話の展開をやや綺麗に感じてしまうかもしれない。
静かで丁寧な演出のため、主人公の丑松の苦悩から自己の解放に至るまでの心情に寄り添って観ることができた。
鑑賞後は、丑松だけではなく親しい同僚の銀之助や互いに惹かれ合う志保、丑松が傾倒する思想家の猪子、教え子たち、そして丑松を追い込む側の人物の心情までも考えてしまった。
また、差別や偏見の意識が自分自身の中に存在していないだろうかと自問自答した。
原作が執筆されてから100年以上経っても部落差別が存在していることや、差別する者・される者が常に変化して差別自体はなくなっていないことは悲しいことだが、本作は困難な状況の中でも希望を持つことの意味も描いている。
原作の空気感が表現されつつも、現代風にアレンジされているため、原作を読んだことがない人にもおすすめできる。
映画館で観て、余韻に浸り、何かを考えるきっかけになる体験ができる作品。残念なことは上映館が少ないこと。
映像で学ぶ近代文学入門
タイトルと作者は知るこそすれ、内容等は全然…だったので、張り切って鑑賞。「人間は愚かではなく、弱いから差別する」などの台詞を筆頭に言葉が刺さる、刺さる。流石は3度目の映画化である。名作とはこのようにして語り継がれるものなのだ。
人間はなぜ、同じ人間に対して差別をするのか......
今までにも映画やドラマとして、何度か映像化されてきた名作「破戒」が60年ぶりに映画化。1世紀以上前の原作でありながら、「破戒」の中で描かれる人間の愚かさや弱さは、未だに変わっていない。
インドにおけるアウト・カースト(カーストにも属さない)のような、身分による差別がかつての日本にはあった。それはえた・非人と呼ばれるものだ。時代は変化し続け、新たな文化や価値観が世界を変え、日本も変わっていく中で、四民平等、人間は同じ存在であると言いながらも、えたの人々は差別を受け続けた。
石を投げられ、塩をまかれ、人間ではない汚らわしいもののように扱われていたのだ。今作の冒頭や全編にわたっても、そういった描写がされている。
平等であるはずではないのか……。平等とは言いながらも、その平等からは外れたものを差別する。そんなものは平等ではない。つまりこの世界には平等なんてものは存在していないのだ。
主人公の瀬川丑松 は、えたであることを隠し教員の職業についているが、生徒たちには差別のない未来を築いて欲しいと心から願っている。しかし、自身がえたであることを隠し通さなければならないという、信念との矛盾に葛藤する日々が描かれながら、脳裏から離れないのは、父の身分を隠せという言葉だった。
ことあるこどに、その父の言葉が蘇ってくる演出が、少し『タイガーマスク』の「虎だ、お前は虎になるのだ」みたいで、やりすぎな演出にも思えるものの、それほど、身分を明かす恐れと事実を隠すもどかしさが瀬川を悩ませていた。
そんな中で東京から赴任してきた新たな教師・勝野が波風を立てる。この勝野という男は、新たな文化に寛容であり、女性の社会進出を後押しするようなリベラル的な思想を持っていると表では思わせておいて、実は差別主義者である。女性差別はないのかもしれないが、別の差別意識は持っているのだ。 しかも厄介なことに、この勝野という人物は一般的に見て、非常に多い人物像なのである。
人間が差別をするのは、愚かであると同時に、弱いからである。自分と違う存在を恐れているのだ。ひとつの差別がなくなっても、また別の差別が生まれる。 そしてそれを認識していないのも問題なのだ。
そんな人間が差別を繰り返すサイクルというのは、無くなるものではない。「差別など絶対無くせる、人類は平等だ」なんて言うのは偽善でしかない。しかし、立ち止まって、改めて考えてみることは誰にでもできるはずだ。
そんな一度立ち止まる機会を与えてくれるのが今作であるといえるだろう。舞台設定は確かに古いが、人間が差別をしてしまう構造というのは、昔も今も、外見上の形やきっかけが違うだけであって、全くであるのだから。
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