破戒のレビュー・感想・評価
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勧善懲悪っぽい。辛口でしょうか。
原作を読んでいないのですが。
多分、人生は複雑です。多層的で、矛盾だらけで、混とんとしている。一部を切り取ると、そこには一定の一貫性はあるのだけれど、それだけでわかったつもりになるのは表面的にすぎない。明治の文学を現代によみがえらせるとしたら、複雑さの味付けが不可欠です。
明治においては藤村は偉大な作家であったろうし、部落差別は重い問題なのだけれど。これは児童向けの映画を見ているような気分になりました。
差別する側にも、される側にも、もっと何かがあっていい。
いつかもう一度、どこかの監督に、大きくアレンジした現代の『破戒』を描いてほしい。分かりにくさの中に、真実のようなものが滲み出してくる、味わい深い『破戒』があるとすればどんな作品になるのか。そんな作品を見てみたい。
ちょっと、欲張りでしょうか。
藤村藤村
昔のお話ということもあり間宮祥太朗さんがどのような演技をするのか楽しみにしていました。しっかり馴染んでいました。変にエロ要素など入れてないので見やすいなと印象がありました。上手く恋模様が描かれていて良かったです。
研修会で鑑賞。でも自腹でも見たい作品。
戒を破るというのは、2つの意味があると友人が教えてくれた。
・僧侶が不倫するという不邪婬。
・自分の出自を明かさず、誰も信用してはいけない、という父親の言いつけを破るということ。
人権問題だとも思われていない時代。穢多という身分だとバレるとどこでも生きていくことができない。それを隠して教員になったものの、バレないかヒヤヒヤしている。
そんなところに神経を使わないといけない現実。これは遠い昔のことではなく、今も根強く残っている。それに対してどう向き合うのかは自分次第。
池の水面に波紋が広がる!!
間宮祥太朗さんが役作りを通して
古い時代に部落差別があったことを
戒め、波紋が広がる、世間に影響を及ぼすことに例えていました。
部落差別がありそれを隠して生きなければ
ならなかった胸の内、教師だった瀬川丑松が
それを子どもたちに打ち明けたときの
面持ち、袴姿の凛とした佇まい、日本の美しい伝統を感じました。
自然豊かな山、水のせせらぎ
観終わった後に、行雲流水のように
淀みのない気持ちになりました。
いい映画でした
キャストがよかったのか古めかしさは感じられませんでした。
でも100年前の差別の実態は本当に厳しいものだったんだと実感。
瀬川先生が
「隠していて申し訳ありません。」
というようなことを子どもたちに謝っていたけれど
先生が謝ることは無くて
隠して生きなければならないような
世の中の間違いこそ申し訳ないことなのにと思いました。
ラストの志保や銀之助,子どもたちに救いや
先生のその後への光を感じました。
間宮祥太朗さんの代表作になりそう…
…原作は高校時代に担任から薦められて読んだ。主人公の心理描写に引き込まれて一気読み。藤村作品の中で一番記憶に残る小説。
憂いと苦悩を秘めた瀬川丑松が間宮祥太朗さんによって体現されていた。
彼の代表作になる予感。
被差別について詳しくないが未だに残っているだろう。
映画のなかには他にもたくさんの差別や不平等が見えていた。
自由や平等を謳う現在。
そんな社会のなかで苦しんでる人たちは想像以上に多いにちがいない。
令和の今、破戒を映画化する理由がわかった気がした。
シンプルがゆえに物語の深さが沁み入る。日本文学の素晴らしさを再認識させられる作品
島村藤村の名作「破戒」60年ぶりの映画化だったそう。
日本文学と間宮祥太朗さんの組み合わせが眩しいほどに美しく、
間宮祥太朗さんってこういう雰囲気にもピタッとハマるのかと鳥肌が立った。
『部落』という差別問題も含むナイーブな題材ではあるが
時代背景もあって前を向き進んでいく意志の強さや
真っ直ぐに人を想う気持ちは
物や真相のわからない情報に溢れる今と比べて
改めてシンプルであることの直進性の大切さを考えさせられた。
今の日本って自由だとつくづく思う。
ただ自由があるから幸せとは限らないなぁ、とも思った。
苦しみや不条理や我慢があるから、打破や解放の自由をこんなにも感じることが出来る素晴らしさ。そして何より強さ。
真の意味で男も女もない強さが身体の底から炙り出され、
胸が苦しく涙が溢れた。
眞島秀和さんの孤高的存在感が時代背景も含めてさすがで
大東駿介さんの独特な悪色も素晴らしかった。
そしてウーイェイよしたかさんが良きアクセントでした
重厚なテーマではあるが、とても美しく
観終わった後にはどこか清々しく
苦しくも心が強くなる前向きな作品だった。
丁寧な作りの良作
美しい映像、当時の生活感が感じられるセットや衣装、そして悪役たちを含む役者たちの演技。間宮祥太朗も石井杏奈は共に美形すぎる気がするがそれでこの話に興味が集まるのであれば良し。不勉強にして原作を読んでいないので原作通りなのかはわからないが、ラストにかけてのハッピーエンディングが、とりあえずは良かったと考えよう。
少し気になったのは冒頭の父親の指導とそれが後々リフレインされるあたりがかなり芝居がかった演出になっていたこと。志保とのシーンでは桜や目線で思いを表現するところはモロ恋愛映画でした。あと石橋蓮司は、息子とソリが合わなかろうが、先生に言われる前に、もう少し孫を援助してあげてほしかったなあ。
内に秘めた深い悲しみと怒り
主人公丑松を演じた間宮祥太朗さんの抑えた演技、凛とした美しい佇まいに魅せられた。
同僚銀之助を演じた矢本悠馬さんの明るさと、恋仲となる志保を演じた石井杏奈さん、志保の養母を演じた小林綾子さんのたおやかな演技に救われる。
他キャストの皆さんの演技も良い。
劇場での上映をある程度終え、新型コロナ蔓延が落ち着いた後、小中学校での巡回上映等の機会があると良いかも知れません。
劇場での鑑賞
感動しました
先生から子供たちへの愛と子供たちから先生への愛が伝わってきてとても感動しました
大人が人類平等だと掲げた時代なのに、その大人たちの意識は変わらず残ったまま
仕事、教育、結婚、住む場所…自由に選べない時代とずっと戦っていかなければならない苦しさ
自分の代だけでなく後世まで続くかもしれない恐怖
自分がその立場であったらどう行動できるか考えさせられました
昔の言葉や言い回しがあったので時々『ん?どういう意味だ?(字幕であればわかるかな)』と思うことがありました
最初の懺悔も読めなかったし(笑)
勉強しよう!し続けよう!!と思いました!
日本人の差別意識の特殊性
私は生まれてから小学校6年まで愛媛県、中学から大学まで秋田、就職して横浜、西から北そして真ん中。
この地域と、時間(時代)の違いは、差別意識の格差を生んでいると思っています。
破戒の持つ差別意識は、地域によって、また時代によって違って見えます。
小学生の時に感じた2つの出来事1つは友達を、部落の子だからと、悪口を言ったりいじる子がいた事、私はなぜいじめるのか分からずいじめている子と喧嘩した事。後で部落だからいじめて当然ということに憤慨した事。
もう1つは、父が親戚の人の結婚に、猛反対した事(部落民だから)父がそんな差別をする人間だと思っていなかったのて凄くショックを受けました。友達ならともかく結婚は、血が穢れる事だ。親戚一同が困る。
これらの出来事から私は部落差別について凄く根深い日本人の、差別意識の特殊性を感じるのてす。部落の出身だから、といったところで何も変わったところがある訳では無いのだからそれこそ黙っていたら分からないはずなのです。だから余計に、レッテルを、貼ろうと、貶める言動を取り、それが長い間刷り込まれていくのです。明らかに外見が、違っていたら、そこまで貶める必要のないやり方で…
元々日本人は、島国なので江戸時代の長い鎖国政策から純血ということにこだわる所が、あり、それと身分制度が、もたらした差別意識が憎悪を伴いながら刷り込まれて行ったものです。これは今でも苗字で分かるなどと、YouTubeに、出ています。
地域にも格差が、あります。中学生の時に友達が、うちの部落は遠いから。と平気で話してので、私はびっくりした事を、思い出しましす。時代の流れにも意識の格差を、感じます。ただ私は差別意識後進国であるこの国は、長い間刷り込まれた部落差別の根深さの特殊性だと感じるのです。
長くなりましたが、この映画を、制作した皆様に有難うとお礼を言いたいです。
人間は愚かではない。弱いんだ。
映画中も、映画が終わった後も、いろいろと考えさせられた。差別とは何か、教育とはなにか、人が正しく(優しく?)生きていくためにはどうすれば良いのか。
役者さんたちの演技も、子どもたちの演技も、とても良かった。重いテーマだけど、不思議と見終わった後はなんか前向きな気持ちにもなれる映画。
ストーリーとは直接関係ないけど、120年前くらいの日本、少ない荷物で質素に生きていける世の中だったんだなあ、と。今の日本は物資的にも豊かになり過ぎたなぁ、なんて思いつつ‥。
胸に迫るふたつの主題、美しい日本語、そして間宮祥太朗
原作よりも希望があり、主人公の強い意志も感じられる終わり方になっている気がした。原作では、教職に再び就くことを諦めて知人のつてがあるテキサスに行くというラストだったが、本作では教師の職を諦めず東京で雇ってくれる学校を探すことになっている。当時の差別の苛烈さを思うと、教師を諦める原作の方が身の処し方としてはリアリティがあるのかもしれないが、映画の方が彼なりに差別と闘っていくという姿勢が見え、前向きなメッセージを感じ取れた。これは、全国水平社創立100周年記念映画という看板を意識したアレンジなのだろう。
新潮文庫から出ている原作本に掲載されている解説が興味深い。
原作は文学作品としては成功しながらも、作中の差別を意味する字句が解放運動の一部組織から厳しく糾弾され、絶版に追い込まれる。その後、藤村の全集収録にあたり「過去の物語」との注釈のもと、差別的とされた字句を改めたり省略した「改訂版」が作られた。今度はこれが、部落解放全国委員会から「差別の抹殺」と批判される。その後筑摩書房が初版復元版を出すと、初版を復元する理由と所信が述べられていないことにつき同委員会が批判の声明文を出した。(大筋だけをかなり端折って書いたので、詳しくは是非新潮文庫の解説を読んでください)
過去にも映画化されてはいるものの、このデリケートな原作を、現代の価値観の中で批判により埋没しないよう、それでいて明治の話が現代の観客の心にも刺さるよう、アレンジも加えて作り上げるのは相当に難しいことだったのではないだろうか。バランス感覚の素晴らしさを感じた。
このように部落差別を題材にした話であると同時に、本作は主人公の丑松が父親の言葉の呪縛を克服する成長物語であるという側面も持つ。タイトルはむしろそちらに寄せてあるようにも思える。
人が生きていく上で重要なふたつのテーマが分かちがたく結び付いているからこそ、「破戒」は時代の淘汰を超えて名作であり続けている。
間宮祥太朗は現代劇でしか見たことがなく、こんなに明治の人間を体現出来る役者だったということは嬉しい衝撃だった。当時の日本語の美しさを大切にしながら自然に感情移入させてくれる台本も素晴らしい。その台本の品性をそのまま演技に乗せて、抑えた表現の中に丑松の苦悩や迷いを滲ませ、クライマックスでほとばしらせた彼の演技にただ見入った。
色々と高度な配慮が必要なテーマを脚本はよく「言葉」から逃げずにまとめ、演者はこれだけ演じ切ったものだと思う。彼のくっきりとして整った顔立ちがむしろ時代設定に映えて、モノクロフィルムの時代の俳優の雰囲気をまとっているように見えた。
王道な素晴らしさ
原作も木下版映画も観ていないが、素晴らしい。観にきている人は年配の方が多かった。若い人が観ても楽しめるのに。部落問題を社会問題の一つとして相対化させることを許さない厳しい態度は、あらゆる社会問題が連帯を呼び掛けている今の運動トレンドから考えると珍しいし、水平社創立百周年記念の映画としての意義もすばらしい。告白する彼を生徒が後ろに向くシーンが印象的。このサイトや他のサイトでも評価は高いけれど、それがかえって団体が動員しているように思えてしまのかもしれない。もっと見てもらいたい。
間宮祥太朗さんの演技! 本年度ベスト作!
個人的に主演男優賞を差し上げたい作品。
特に男泣きのシーンが凄い。
もらい泣きしてしまいました(笑)
石井杏奈さん目当てだったけど、間宮祥太朗さんの演技に圧倒。
被差別部落(穢多)で生まれ育った瀬川(間宮祥太朗さん)。
その素性を隠し、小学校の教師として働くストーリー。
思想家の猪子を崇拝する瀬川。
猪子は穢多と言う事を隠さずに生きて行く姿に瀬川の心が揺らぐ展開が観ていて辛い。
猪子を演じたのは眞島秀和さん。
迫力のある演技が凄い。
石井杏奈さんは、その存在だけで大満足。
なかなか良かったのは瀬川の友人の教師、銀之助を演じた⽮本悠⾺さん。素で演技している感じでとても良い人!
小学生の生徒の皆さんの演技も素晴らしい。
クラスの生徒は25人なんだけど、ラストのシーンは10人位で少な目なのが気になるところ(笑)
島崎藤村さんの原作は読んで無いけど映画化された事に感謝です。
どなたかに本作の続編を是非作って頂きたいです( ´∀`)
正義の魂を継承する
2022年劇場鑑賞56本目 優秀作 71点
当初鑑賞予定ではなかったけど、当サイトにて高評価を受け鑑賞。
どうやら数年ぶりのリメイクみたいですが、長らく愛され続けた本なだけあって、よくできていました。
当方教員志望なので、主演の間宮くんの表情とか涙とか、まるで等身大のように感情移入して心を揺らがしてきたのを覚えています。
今の時代の生きづらさもあるけど、この時代の生きづらさの方がよっぽだと思うから、この時代この環境に生まれてこれたことを感謝しながら、感情を持って誰かに何かを残したり、変えたり、元のレールに戻せるような教員になりたいなあと、今作を通して思いました。
是非。
観て良かった
良い映画だった
島崎藤村すごい
タイトルかっこいいし
国語の先生に読むよう言われたから
本棚にあるけど
読んでなかった
観てよかった
性や人種などの多様化により
身分なんて差別は
さすがに無くなったと思う
盛者必衰であり
学び続けること
他人の痛みが想像できること
結局そういうことが
大切であることを皆わかっていて
元の身分なんて
今や誰も興味ないように思う
差別を無くすために取り組んだ方々に感謝!
会社の飲み会で年配の方が
士族出身であることを
誇らしげに語っていたことを思い出した
作品中で終始一貫している
勉強に対する姿勢が素敵だった
作品の中でも予言されていたように
時代ごとに別の差別は
存在し続けているようにも感じた
差別の無い社会は
当然存在するわけではなく
常に悩み、日々対話し、修復していく
必要があるのだろうと考えた
なぜ自分のふるさとを語れないのか?
なぜ好きな人におもいを伝えられないのか?
主人公の言葉により
素朴で大切なことを改めて痛感させられた
素敵な映画だった
石井杏奈さんに恋した
若者世代は見るべき
ジャニタレ映画や戦隊モノ、或はアニメ専門の東映が珍しく文芸作品をやってるわと期待はせずに入館したが、
かなり被差別部落のこと突っ込んで描いていた。
私の小さい頃はまだまだ同和地域の話や差別が横行している時代でした。
学生運動の大きなテーマでもありました。結婚就職就業と差別問題は人間関係の奥深いところで日本人の最も卑しい心を知らしめていたと思います。
この中世の身分社会を未だどこかで引きずっている現実を今の若者世代はもっと勉強してほしいと感じさせられて映画でした。
よく映画製作費をケチな東映が出したなあとエンドロールを見ていたらか「水平社100周年」という制作主体が表示されて納得。
差別する側の心をもっと掘り下げてほしかったなと思いつつ、○でしょう。
タイトルなし
最近「私のはなし 部落の話」を見たのでこちらも見ない訳には如何でしょう、水平社100年とのことで…と言いつつ原作は未読 島崎藤村が社会主義寄りな作品著しているとは意外でした 破戒って戒めを破るということなんですね 間宮祥太朗の清廉(これまた意外)な姿が感動的でした しかも演技上手い、見直した
先に触れた映画でも、何ら根拠の無い差別なのに、お付き合いする人に自身の出自を告げるべきか同様に悩んでおられました 明治維新→帝国主義→敗戦で民主主義と世の中変遷しても、差別(意識)も戦争も中々無くならないですね 区別して優越感持つのが人間の本質なのかと思うと悲しくなったけれども希望有るエンディング
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