劇場公開日 2022年7月29日

「同世代か、道枝くんのファンには刺さりまくるのかな?」今夜、世界からこの恋が消えても おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0同世代か、道枝くんのファンには刺さりまくるのかな?

2022年8月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

寝られる

予告で興味をもち、どんなオチが待っているのかと期待していたところ、公開初日の夕方の時点でレビュー投稿10人程度ながら4.1の高評価!ならば観るしかあるまいと、「ジュラシック・ワールド」に続けてハシゴ鑑賞してきましたが、率直な感想としては、悪くはないけれど、自分には刺さらず、物足りない印象でした。

ストーリーは、交通事故の後遺症で、眠るたびに事故以降の記憶がなくなる女子高生・日野真織が、ひょんなことから別のクラスの神谷透と付き合うことになり、ひた隠しにする記憶障害のことに気づきながらも献身的に接する透に、真織がしだいに惹かれていくというもの。記憶にまつわる設定は既視感がありますが、真織の親友・綿矢泉が、この先の真織と透の関係を暗示させる存在として、うまく機能していたと思います。

終盤で、透の抱えていた秘密が明らかになるあたりから、やっと物語が大きく動き出し、がぜん引き込まれます。透の無償の愛に切なさが込み上げ、その思いに触れた泉の涙が心を揺さぶり、涙腺を刺激します。

とはいえ、全体的に静かに淡々と進み、起伏のないストーリーが眠気を誘い、最後までなかなか作品世界に浸れなかったのも事実です。加えて、わかりやすい伏線と予告のおかげで、先が読めてしまうのももったい気がしました。

また、本作の肝である「前向性健忘」の不安や悩みや苦しさが、あまり伝わってこなかったのも残念でした。それを感じさせない真織の前向きな性格といってしまえばそれまでですが、デート中の居眠りから目覚めた時のような恐怖が、日常のあらゆる場面で存在するのが普通ではないのかなと思ってしまいました。それに、前日の自分が記した日記で記憶を補完するといっても、その量は増える一方だし、出来事は理解しても、その時の感情までは再現できないと思います。それなのに、真織がどんどん透に惹かれていくように見えたことにも、違和感を覚えました。作中のキスシーンも、真織からしたら初対面の人とのキスということではないのでしょうか。透の側に目をやれば、彼の家族の立ち位置も、物語にどのように作用していたのかよくわかりませんでした。

ただ、みなさんがこれだけの高評価をしている作品をおもしろく感じなかったのは、自分が何度か寝落ちして、大切なシーンを見落としていたせいかもしれません。だとしたら、仕事帰りにハシゴ鑑賞した自分がすべて悪いです。他の方のレビューを読んで、自分の見落とし部分を埋めておこうと思います。ちなみに、隣の座席のカップルも、男性が爆睡していたらしく、彼女から笑われていました。おもしろさは人それぞれということですね。

主演は、道枝駿佑くんと福本莉子さんで、しだいに惹かれ合う感じが初々しくて、なかなかいい演技でした。でも、最高の立役者はむしろ古川琴音さん。申し訳ないですが、主演の二人より一枚も二枚も上手で、彼女の演技が本作を支えていると思います。脇でも確かな存在感を示す女優さんです。

おじゃる