まなみ100%のレビュー・感想・評価
全9件を表示
これが傷つきたくない若者というヤツなの?
本命は関係がギクシャクするからガチで行かない
失敗と遠回りを極端に嫌う若者のそのままの姿を
延々と見せられるのは苦痛でしかないかもしれない
先輩の「後悔するよ」の言葉にも耳を傾けず
ただただ怠惰な日常に身を投じて
ただただ無駄に歳をとっていく
これを観た同年代の若者が10年後に
「ああやっちまったな」と気づいた時には遅い
そんな意地の悪さすら感じる映画でしたね
とはいえ「アルプススタンドのはしの方」以来の
スクリーンで見る中村守里さんは可憐でした
あとまりっかは死ななくてもいいかな
つか殺すんじゃないよ💢
鑑賞前と鑑賞後でまるっきり印象が変わった映画
正直、期待していなかった。わざとらしい恋愛映画なのかとおもっていた。
伊藤万理華、宮崎優など、最近ちょくちょく見かける女優さんが出ていることもあって、作品に入り込みやすかった。
話だけおうと、ただのダメ男が未練たらたらで過ごしていくだけなのだが、(予告編含め)最初にある程度の結末が見えているだけあって、結末に至るまでの心理と成長を想像することが楽しかった。
「ボク」にとってまなみはどんな存在なのか、
まなみにとって、ボクはどう映っていたのか、
そして、一見、正反対の『まなみ100%』というタイトルにつけられた意味は
正直、「ボク」には共感はできないし、理解もできなかったが客観的には本能(性欲)と理性が両立(対立)の様子が描かれているのはわかりやすかった。
性欲がメインで動いているようなボクに対しての、まなみのサル語でのやりとり。
誰とでもキスをしたがるけれど、キスはどちらに入るのか。
「一回したら後悔する」というまなみの言葉。
きれいとか、かわいい、とか性的な部分だけでなく、自然体でいられるかどうか。
先輩が病気になって、そういう部分でなくても好きでいられるかどうか。
印象的なのは、
まなみと靴を踏み合っているシーン。
そして、自分で髪を切って、先生は拒否するけど、彼女は髪を受け入れて、整えてくれる最後のシーン。
きっとこれからは、うまくいくのだろう。
これが大人にになっていく、ということなのかな、と。
2023年劇場鑑賞95本目
本気じゃない
10年間も同じ相手を好きでい続けられるなんて、どれだけ純愛なんだと思っていたらまったくそんなことはなかった。
なんなら主人公は女性関係の途切れないチャラ男君だ。
冒頭もいきなり相手の娘に何人セフレがいるのかと問い詰められ、部屋から追い出されてしまう。
それでも高校一年生の時に初めてまなみちゃんと出会ったボクは、10年間ずっと彼女を想い続けているのだ。
ボクは目先のことにしか興味がなく、不誠実で常に調子は軽いが、勉強もスポーツも頑張ればそれなりに結果を出せる器用な男だ。
あからさまに受験科目にはない分野の勉強は手を抜き、意味があることにしか熱を入れられない。
正直最初の印象は最悪で、実生活にいたら絶対に好きになれないタイプの人間だ。
彼は生きていく上での大きな目的がない。
だから何もかも中途半端なのだ。
しかし本当に不誠実で無気力な人間ならば、部活に打ち込んだりはしないだろう。
彼はまなみちゃんの影響で器械体操部に入部するのだが、ただ不純な動機だけで部活に参加しているのではない。
物語が進むにつれて、彼も本気で何かに向き合うことが出来る人間であることが分かってくる。
彼が斜に構えているのは格好をつけているだけではないだろう。
ボクは本気でまなみちゃんのことが好きなのだ。
けれどいつもまなみちゃんと向き合う時は、何度も「結婚しよう」と冗談にしか聞こえないような言い方をしてしまい、「本気じゃないでしょ」と軽くあしらわれてしまう。
実はボクは強い想いを持っている時ほど軽い態度に出てしまうのだ。
それはひとつの防御反応でもある。
人は深いところまで人と関わり合うことを恐れる生き物なのではないかと思う。
相手に対して深く強い想いを持っている人ほど、案外恋愛が成就しないような気もする。
どちらかといえばボクのように軽いノリの方が相手が途切れないものだ。
ちょっとした心の隙間を埋めるにはボクのような人間の方が気が楽なのだ。
しかしボクのような熱のない人間は次第に遠ざけられていく。
高校を卒業してボクとまなみちゃんの距離はどんどん離れていく。
でも実はまなみちゃんもボクに好意を抱いていたはずなのだ。
二人が花火を観るシーンで一瞬だけ真面目な空気が流れる。
まなみちゃんも「本気じゃないでしょ」と口にすることで、ボクと向き合うことから逃げていたのだ。
これは深く関わり合うことを恐れる人たちの物語でもある。
器械体操部のマドンナ瀬尾先輩とサトシ先輩の関係もとても象徴的だった。
部員の誰もが二人がいい仲であると感づいているのだが、二人とも付き合ってはいないとあくまでも否定をする。
しかしその態度はどこか煮え切らない。
瀬尾先輩は若くして闘病中に亡くなってしまうのだが、死の直前に初めてサトシ先輩に告白をしたらしい。
しかしサトシ先輩は最後まで返事をうやむやにしてしまった。
瀬尾先輩とサトシ先輩、そしてボクとまなみちゃんが結ばれても、幸せな生活が続いたとは思わない。
それでも心の中で想う相手がいながら、最後までその気持ちに蓋をしてしまうのは悲しいことであるとも思った。
でも、人生とはそんなことの連続なのだろう。
とても現代を象徴するような人間模様の描き方がリアルな作品だったが、やはり主人公の軽さに最後まで共感出来ず、大きな感動には繋がらなかった。
伝わらなかった本気。
学校の部活が一緒で出会ったまなみという女性、その女性を10年想い続けたボクの話。
自己中、ずれてる、調子がいい、軽いノリのボク、まなみを好きなのにも関わらず、何か軽いノリで他の女性を誘っちゃう…そんな性格ってのもありボクの気持ちはまなみに伝わらない…会え度に「結婚してよ!」と言うボクだけどマナミには「だって本気じゃないでしょ」と軽く交わされてしまう毎回のやりとり、そんな10年のボクとまなみのストーリー。
正直、序盤、中盤辺りまで何観せられてるんだろ何て思ってたんだけどボクの性格がこんな奴なんだって分かってからは少し楽しめた。
ラストのまなみの結婚式は何かグッとくるものはあった…けど、その前の控え室のまなみの一言「君はホントに馬鹿なんだね」で、まなみからボクへのハグ、その心情は?
君を好きだったけど選ばなかった?!
選んでも幸せになれないから選ばなかった。
まなみの心情はこんな感じだったのかな?
ユズとクズ
『神回』でも書いたが、青木柚はなぜか性的にクズな役ばかり目にする。笑
あらすじでは“ボクとまなみ”の話のように書かれているが、完全に“ボク”一人の話。
正直、彼があんなにモテる(セフレが複数?)とはまったく思えない。
見た目や性格、行動だけでなく、まなみと会うときすら部屋着のような服装だったり…
(高校のときの服をずっと着てるのは、過去を捨てられない現れか)
対するまなみは、見た目こそ地味めながら、あの態度と表情なら惹かれるよなぁ、という説得力。
瀬尾先輩もだけど、あの距離感はズルいって。
話は“ボク”が何人かの女性とくっついたり別れたりするのを、部活やサークルの様子を交えて描くだけ。
瀬尾先輩の顛末はこたえたし、頬にキスをした優しさというか気遣いは、唯一褒められるところ。
(その前の「いやいや…」は引っぱたきたくなったけど)
女心は分からないが、まなみは“ボク”に本気になってほしかったし、本気以外は欲しくなかったのかな。
そう考えないと、ホテルまで行った心理に説明がつかない。
形は違うが、サトシ先輩と瀬尾先輩も似たような距離感だったのだろうか。
しかしこれ、“自伝的作品”として見ると、自作のラブソングを贈るような気持ち悪さも感じてしまう。笑
映研の部室に過去作のポスター貼ってあるのも少し恥ずかしいし、これでまなみの描写が的ハズレだったら…
式に出て、髪も切って、現在に向き合う覚悟をしたのかと思えばあのラスト。
成長しねぇなぁと思いつつ、まぁ、忘れられない人くらい誰にでもいるだろう。
現実の青春って、100%でぶつかれないよね。
青春って、何事も全力の100%でぶつかるイメージが有りますよね。
青春恋愛映画なんかも、相手に100%でぶつかる事が多いし。
だけど、実際の青春って、気持ちが揺れ動いたり、傷付く事を恐れてセーブしてしまったり、100%では物事にぶつかれないですよね。
この映画の主人公もまなみに100%でぶつかっていたら、違う今になっていたでしょう。
ただ、まなみには本気でないと言われますが、主人公は100%ではないものの本気だったとは思うの。
その辺の微妙なズレこそが、縁の無さなのかもしれません。
この映画、主人公の目線でのみ話が進んで行くんです。
だから女性陣が何を考えているかは想像するしかないんだけど、それが良かったかな。
明るい雰囲気の映画なんだけど、リアルな切なさを感じられるのは、その辺りにも要因が有るのかな。
この映画、私は好き。
監督、まなみ(のモデルになった人)と結婚して、それで映画作って欲しいな。
イオンシネマ上映条件
全国に散らばるシネコンの中でも圧倒的な地位である"イオンシネマ" 今作が此処に掛る意義というものを考え倦ねているというのが実感である いやいや、作品そのものの評価とは関係無い 個人的には感銘した内容である 若い監督と制作陣との関係性や、脚本"いまおかしんじ"の繋がり、出役陣の関係性、どれを取ってもきな臭さが消臭できないのは何故なのか、そんなモヤモヤ感を感じてしまうのである
ここから今作の感想
監督の実体験を映画化する 古今東西定番だ 何せスピルバーグ御大自体最近堂々公開している(フェイブルマンズ未鑑賞)
今作の全ては大槻美奈『道標』に集約されている MOOSIC LAB企画との事だから楽曲の強さを強調する事は予想したのだが、此処までとは・・・ 学生時代の合唱ってなんで果てしなく過去に引っ張られるのだろうと、まるで悪魔の笛吹きの如くと思うのは自分だけだろうか・・・・羞恥に塗れた10代を赤裸々に映像化することの清廉と自意識過剰さを臆面もなく体現してみせた制作陣に先ずは称賛を送りたい 勿論実際はもっとドロドロなのだろうけどそこは大人の事情でしょう(苦笑
まなみちゃんの合唱のシーン、車の中の劇判、そのどれもが、あの時なんでみんなで歌を唱っていたのだろうと、どうでもいい記憶を、実は本当に大事なインパクトだったと初老になって気付くマジックを体現させられた作品である
自分は、主人公のように『次行ってみよう』の精神ではなく、ウジウジ考えてしまう性格だったが、でも、本当に好きな人には腫れ物に触るような、それは自分の自意識をバリアーする姑息さを丁寧に演出してみせた作品だと評価したい 多分、今でも高校時代に付合っていた女性は好きだ 勿論、幻想であり、当人にとっては迷惑千万
でも、人生に於いて『恋愛』とは何だと問われたならば、真っ先に自分は、あの時代にジャンプする 主人公と同じく直ぐに一緒に暮らしたい、結婚したいなぞ、よくもまぁ生活力経済力の無さを棚に上げていけしゃぁしゃぁと妄想したものだ
結局は彼女は別の人と一緒に暮らすことになる その間の何度も訪れるチャンスを流し、結局は結ばれない 運命といえばそれまでだが、運命以前の問題であることは明白だ 部活に真面目に取り組む先輩が何人も交際を断り、でも運命の悪戯か、重い病気に罹る非情さ あのほっぺのキスシーンは今作の白眉であろう
甘酸っぱさ、だらしなさ、それでいて嘘の無さ 十代は誰でも訪れ、そしてあっという間に過ぎる それを思い起こさせてくれるのはこういう何の世界も救わない、驚くような事が起きない、何の毒にも薬にもならないそれでいて幸せだった作品を観ることなのだ あの頃には決して戻れないのだから・・・
まなみちゃんを16歳の世界に閉じ込めたい
「ぼく」は、16歳で止まったまま。ローファーを踏み合った足の指先が痛いまま。
「結婚しようよ」
「嫌、だって本気じゃないもん」
「キミは、本当にバカだね」
このキャッチボールをずっと楽しみたかった。
「ぼく」はいつまでも16歳のつもりだったから、出会った女性は、どんどん遠い所へ行って、サヨナラされてしまう。
まなみちゃんは、別だと勝手に思っていたら、もっともっと遠い所にいた。
一緒にラブホに行っても、周回遅れの「ぼく」には間近にいるのに、遠い存在だった。
そして、まなみちゃんは結婚することになった。「ぼく」は、まなみちゃんを「ぼく」の世界である、16歳のあの頃に連れ戻そうとしたが「キミは、本当にバカだね」と別れの挨拶をされてしまった。
現在交際中の女性と、ヨリを戻そうとしたが、やはり、16歳の世界から離れることができず、桜の綺麗な季節へ、まなみちゃんを探しに行った。「ぼく」の16歳は、永遠に終わらない。
追記 監督の自伝的作品で、実在のまなみちゃんは、結婚していないらしいが、もし、そうなら、五代裕作が酒の力で叫んだように、この作品の力を借りて「まなみちゃん、好きじゃ~」といいたかったのであろうか。
わからないの中に
「『残る』映画になりそう」。観終わった直後に持った感覚がこれだった。
一件落着のカタルシスは無い。かと言って、「何この映画〜めっちゃモヤモヤする…!」というフラストレーションとも違うものだ。
10年間を描く映画なので、スクリーンには10年の時間の経過が映し出されていく。だが、当然映し出されなかったかれらの人生の時間というのが多々あって、思いはそこへいく。
あるいは、語られなかった、描写されなかった、各シーンでの登場人物個々の内面、感情の揺れや動きに、思いを凝らさずにはいられない。
描かれなかったものをつかみたくなって、自分の中で歩いている時や電車の中でなんかでふっと深掘りが発動されそうな。
それが、長い先まで繰り返されそうな。
「残る」の意味はそういうことだ。映画は終わったのに、自分の内面のスクリーンにこの映画のどこかのシーンが不意に投射されそうな、そんな予感がある。
わからないこと、というか、「ボク」や「観ている自分自身」や「一般論」など主語がうつろいながら、あれこれを考えてしまう。テツガクしてしまう…。
「誰かを本気で好きになるって、どういう状態だろう。自分には『ボクと違って』わかっている、だなんて言えるだろうか?」
「『誰かを本気で好きな心の状態』は、自分以外の他者にきちんと届くのだろうか」
「ボクは、好意が届かない(片想い状況)の時に一番『愛』を実感できる男なんだよなきっと(まなみ、瀬尾先輩、くろけいちゃん…)」
「付き合った女性との時間を10年分、そこにフォーカスを当てて抜き出し並べるのなら、誰だって(?)この映画みたいにだらしない感じになっちゃうのではないか?」
「出会い、セックスできた興奮だけではなく、別れの決定的な場面(しかも自分の本質にダメ出しされる時間)を逃げずに描いているよなぁ」
「態度で示すって、人それぞれ多様であって良いはずだけど、一般化(例えばトイレ掃除)されてしまうのはどうしてなのだろう」
「複数の人に同時に惹かれて、好きと思う心の状態は、そこまで特殊だろうか?」
「それでも『本気で好き』は、一般化された形で目に見えないと届かないものだろうか」
「ボクが『もし、まなみと高校時代に相思相愛で正式に付き合うことができていたら、どうなっていたのだろう』など考えることがあっただろうか(きっとあっただろうな)」
「まなみの内面の描写は無い(ここで『(500)日のサマーでサマー側の心情描写が一切無いのを思い出してしまう)。門限を伝える時の硬い表情、引っ越しを繰り返す、転職の背景、町君が結婚したと聞いた時の様子、ボクとラブホに同室したのに『でもきっと後悔する』と伝えるまでの心の動き、ボクに対して「キミはほんとうにバカだね。」と言う時にどんなことを思っているのか…想像するたびに、一様ではなく、いろいろに思える。
「瀬尾先輩とサトシ先輩の関係性も、他者には謎だし、高い確率で本人たちにもわからないことが多くあったのではないか。それを言えば町君がどうして熊野君やボクにああいう口調なのか、性格が違ってもつるんでいるのか、そういうことって他者にはわからないし本人たちもはっきりわかってはいない。
人の内面や、人と人との関係って振り返ってみるとどうにも「わからない」がベースになっているけど、渦中の時間の中ではそこを嘆いたり斜に構えたりはしない。
「10年経つけど、互いのことわからないんだね」
のようなことを、ベッドでまなみは言う。
わからないのは、誰のせいだったのか。ボク、まなみ自身、2人が置かれた状況…。
わからない。けれど、あの日、まだピカピカのローファーをコッソリ踏み合ったことや、キミの笑い顔は消えないから。
永遠だから。
テツガクしていると、脳内BGMとして大江千里「dear」が流れてくる。笑 いや、実は(私の中では)ものすごいシンクロ具合なのだ。この映画の世界と、dearの主人公の目線というのが。
「あれから僕はいろんな街で 君の知らない夢を 追い続けてきたけど」(大江千里「dear」から歌詞を引用)
「男はいつもわがままだよ 変わらないでほしいのさ 時は戻せないけど」(同上)
「飲みすぎた朝 街の隅で あの日の君を思うよ」(同上)
「別々にいつか歳をとり 大事なもの変わっても ときめきは忘れない」(同上)
「きっと儚い激しさは 今も同じだから」(同上)
「あんな切なく 恋をした 君は永遠だから」(同上)
説明しようとすると、こぼれてしまうもの、消え去ってしまうものを、ただそのままカメラに収めておきたいということ。
監督がしたかったことの一つだと思う。そしてそれは、ボクがしたかった、けれどできなかったことでもあるはずだ。
結婚式の花嫁姿ではなく、ボクが心のフレームで収めたのは、桜の木の下で、まなみが立っている映像。
それは、美しい幻だ。下手すると一生、ということは人の生の中で永遠に、残ってしまいかねないものだ。
かつて、高校入学直後に、ボクはそのまなみを見たのか。
あるいは、10年経った先の「今」、追憶の中で自分の内なるフレームにとらえた映像なのか。
桜の木の下から、まなみがふっと消えた。
そこから先の時間を、ボクはどんなふうに生きていくのだろう。
星野源の曲に「くだらないの中に」というのがある。
この映画は、「わからないの中に」、まなみを、あるいは「結婚したいと無条件に思える誰か」を探す、そのボクの感覚や思いが走りまくった10年を描いているのかもしれない。
「わからない」の中に入り込んで、想像を広げたり思いを巡らせたり。この映画はその端緒を切り開いてくれて、きっかけを提供してくれて、それはしばらくの間内面で続いていくことだろう。その時間の豊かさを思えば、チケット代なんて安いもんだ。笑
そんなこの映画は、舌癌で亡くなった瀬尾先輩へと捧げられている。もちろん、「好きな人には伝えておくべきだ、後で伝えられなくなるかもしれないから」という言葉に実際に後押しされたというのはあるだろう。同時に、「100%」ではないかもしれないけど、ボクは瀬尾先輩が「好き、愛してる」存在だったはず。
男という生き物の一筋縄でいかなさ(あるいは遺伝子に組み込まれたシンプルさ)を、図らずも表現しているように思った。
大槻美奈さんの素晴らしい才能が示された映画でもあると思う。
劇中の透明感あるピアノの音色。『森崎書店の日々』での野崎美波さんを思い起こした。ピアノで曲作りする大江千里さんにも通ずるものが…と強引に結びつけてみる笑
全9件を表示