劇場公開日 2023年9月16日

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燃えあがる女性記者たちのレビュー・感想・評価

全24件中、21~24件目を表示

5.0命懸けのジャーナリズム

2023年9月24日
iPhoneアプリから投稿

インドの被差別カースト、ダリトの女性記者たちの物語。おそらく想像以上に女性に対する差別が大きい世の中で、たくましく生きている人々の姿に涙、応援したくなりました。この映画の中にも政治家やそれを目指す人々が出て来ますが、抽象的な、言葉しか発しない人と、現実に即した具体的な話をする人の、違いを感じられました。
インドでは、ジャーナリストが殺されているという、現実。事実を伝える言葉を真摯に受け止めてたいと思う映画でした。

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Sakiko

4.0ジャーナリズムは民主主義を支える柱

2023年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

インド北部のウッタル・プラデーシュ州で生まれた新聞社「カバル・ラハリヤ(ニュースの波)」で活躍する女性記者たちに密着したドキュメンタリー映画でした。このウッタル・プラデーシュ州には、有名なタージ・マハール廟がありますが、本作ではそうした観光要素は一切なく、昨今国際社会において飛躍的に存在感を増しているインド社会の現実を真正面から取り上げたド直球の作品でした。

「カバル・ラハリヤ」の記者たちは、カースト外の不可触民出身の女性たちであり、ただでさえ差別の対象となる階級の出である上に、女性が外で働くことに対してすら批判的なインド社会において、取材対象とだけでなく、無理解な家族とすらも闘いながら懸命に取材する姿が、観る者の共感を呼ぶ作品となっていました。日本も他人のことをとやかく言えたものではありませんが、インドにおけるミソジニーはかなり酷いようで、日本でもたびたびインドで発生したレイプ事件が報道されます。ところがこうした被害者が警察に届けても、中々取り上げて貰えなかったり、警察に訴えたらさらに酷い目に遭わせると脅されるなどといったことが結構な頻度で発生しているようで、そうした声を上げられない被害者や、警察への取材を通じた同紙の記事が話題になり、犯人逮捕に結びついた例もあったようです。

また同紙は元々紙媒体で発行していたようですが、2013年からスマートフォンで撮影した動画ニュースをウェブサイトに合わせて掲載するようになり、この戦略が一定の成功を収めているようでした。この辺りは時代に即応した挑戦であり、かつ見事な経営センスだと感じたところです。

さらに弱い立場の女性にスポットを当てた記事だけでなく、政治にも鋭く切り込んでいるところも素晴らしいところ。インド人民党を率いる現首相のモディが、ヒンズー教ナショナリズムを利用した統治を行っていることにも言及。ヒンズー教のお祭りでインド人民党マークが使われていることにも切り込むなど、観ているこちらが冷や冷やするような果敢な取材を続ける記者たちに、ただただ頭が下がるばかりでした。

ちょっと脱線しますが、昨年大ヒットしたインド映画「RRR」は、確かに大変面白い映画でしたが、インド独立の話でありながらガンジーは登場しませんでした。これはヒンズー教以外のイスラム教などにも融和的だったガンジーを敢えて排除することで、ヒンズーナショナリズムを高揚させる意味合いもあるという解説もありました。それを考えると、「カバル・ラハリヤ」のスタンスと言うのは、まさに真のジャーナリズムと言えるのではと思います。

そして本作が最も強調していたのは、「ジャーナリズムは民主主義を支える柱である」ということ。先ごろインドは中国を抜いて人口世界一の大国となりました。必然的に民主制を採用する国としても世界最大。しかしながら、出自に関わらず教育が全国民に行き届き、正しい情報が周知されない状態では、選挙をやっているからと言って民主主義は正常に機能しません。最近の日本も他人のことを言えませんが、インドの民主主義の現状はそうした観点からまだまだ極めて脆弱であり、それをジャーナリズムの側面からより良い状態に持って行こうと奮闘する「カバル・ラハリヤ」の記者たちに、最大限の賛辞を贈るとともに、こうしたジャーナリストが日本にも多数生まれて欲しいと願ったところです。

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鶏

4.0人種差別に屈しない人としての尊厳が胸に響く

2023年9月18日
スマートフォンから投稿

泣ける

悲しい

興奮

ロケットを飛ばせるほどの科学技術を持ちながら21世紀のいまも人種差別(カースト制度)が払拭されないインド。
カーストピラミッドの最下層の女性たちがこうした差別社会に風穴を空けようと、女性だけの新聞を作った。初めは小さな声だったが、やがて、報道によって自治体や国を動かすまでも影響力を持つに至った。

レイプ被害に遭い殺される女性が後をたたず、警察もまともに対処しない絶望感に屈せず、報道というペンの力で女性や個人の尊厳を主張し、権力を動かす姿に、ただただ感動と尊敬の念を抱いた。

政府に批判的な記者が何十人も殺される民主主義には程遠い独裁国家インドだけど、声を上げ続けることで小さな波が大きなうねりとなる希望が見えました。

ひるがえって日本は、海外からメディアの沈黙と指摘されても、大きな社会問題までには至らず、他人事のような空気さえ漂っている。
人としての尊厳をかけて民主主義社会を目指すインドの最下層の人々と、民主主義崩壊の瀬戸際にいるのに危機感のない多くの日本人。
失ってからでは手遅れだと、胸に刻みました。

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しんさん

4.0スニータ、復帰できて良かった それを作品内で知ることができて、良かった

2023年9月16日
iPhoneアプリから投稿

スニータ、復帰できて良かった

それを作品内で知ることができて、良かった

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jung
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