「女性の前に立ちふさがったのはあのベテラン監督!?」キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
女性の前に立ちふさがったのはあのベテラン監督!?
キャスティング・ディレクターという職業についてのドキュメンタリーだが、同時にマリオン・ドハティという先駆者的存在を中心に据えて、ハリウッドで苦闘してきた女性たちの歴史を描いた作品でもある。最近では『ゴッドファーザー』製作の舞台裏を描いたドラマ「ジ・オファー」でもキャスティング担当として女性キャラが登場していたが、彼女がどんな背景を背負って仕事をしていたのかもより理解できる気がする。
恥ずかしながらドハティのキャリアについても、キャスティングという仕事の成り立ちについても知識はほとんどなく、学ぶことばかり。「いい映画がどうやってできるのか?」という命題についてはよく頭をよぎる。監督だけの功績ではないことはあきらかだし、役者ひとりが作品を背負っているように見えることもあるが、それは氷山の一角ににすぎない。いまだにアカデミー賞の部門が設立されていないキャスティング部門がどれだけ必要不可欠な役職かを知ることができて良かったし、その地位向上を阻む男優位社会を象徴するのが、この映画の製作当時、全米監督協会の会長だったテイラー・ハックフォードっていうのも、今後の印象が変わりそう。
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