忌怪島 きかいじまのレビュー・感想・評価
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そんな仕打ちはフィクションでも見てられない
VR研究チームを襲う呪い。次々に襲われていく。お婆さんが出てきて解説してくれるとこは結構良い。ただこの手の作品にありがちな、よく分からないが蔓延してきて面白くなくなっていく。色んな伏線はいい感じやと思うのだが、何とも言えないラストへ。あまりオススメできない作品。
あっちとこっち
ついに清水崇ホラーワールドはVRの世界へ。などと、『呪怨』シリーズから『村』シリーズ、そして『ウタ』シリーズへとチャレンジ精神旺盛な監督の精力的な一面を感じる。駄作が生まれようが決してそれは失敗ではなくて、ホラーというジャンルに果敢に挑んでいる面白さというものじゃなかろうか。
呪怨にしても時空を超えた霊の存在を見事に描いていたし、こっちの世界の人間とあっちの世界の悪霊を量子力学ホラーともいうべき形で展開させた。そして、時空を超える霊の存在を今回はVRという最新のモチーフで描いた作品だったのだ。元々ホラー作品は過去の事件を暴いたりして、時代や空間を交錯させるものが多いけど、SFっぽくはないんですよね。
沖縄県と鹿児島県で活躍する「ユタ」という霊媒師。島全体をVR化しようとする「シンセカイ」のメンバーたちだったが、チーフの井出が不可解な死を遂げたり、バグが起こったりした事件の後に、天才脳科学者・片岡友彦が島にやってくる。何か足りないと気づいたときに、ユタの森トキばあさんの脳波をデータ化にチャレンジする。やがて、世話係をしていたジャミセン弾きのシゲルじいさん(笹野高史)も絡んできて・・・という展開だ
結局は「イマジョ」のタタリをメインにしたムラ社会をも風刺した作品にはなっていましたが、どうも結末が曖昧。この余韻を残したのはいい効果だったと思うのですが、いくらでもシリーズ化できる内容でした。そのうち、全国の怪しいムラの伝承が壮大にリンクして、悪霊大戦争みたいな清水崇ホラーワールドが炸裂することを期待して、今日は寝ることにします。
難しさは残ってしまった
呪いと幻想の境界──映画『忌怪島』をめぐる記憶と問い
2023年に公開された映画『忌怪島』は、ホラーというジャンルにバーチャルリアリティの概念を持ち込んだ、ある種の実験的作品である。だがその実験は、最新技術によって霊的な呪いを解明する方向ではなく、むしろ「かつてのホラー」へと回帰するようなベクトルを描いていた。
現実に起きた出来事──二人の死。
別々の場所で、同じ日、同じ時間、同じ死に方。
この謎は、もっと多層的に掘り下げられるはずだった。だが物語は、古典的なホラーの型に収束していく。
その型は、まるで『八ツ墓村』のようだ。
事件は解決したかのように見えても、呪いは消えない。
そして、呪いに関する事実が二つ提示される。
一つは、南トキというシャーマンが語った過去の出来事。
それは、現実に起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」と同じ構造を持つ。
直接的な呪いはすぐに発動し、数年後、島の女が狂い始める。
それが、シゲおじの母だった。
村人たちは「イマジョの呪い」と呼び、この親子を村八分にした。
シゲおじは、母を殺したのかもしれない。
呪いという言葉に押し潰され、それを事実だと思い込んだのだろう。
彼が三線を弾いていた鳥居は、母のために立てたものだったのではないか。
つまり、「シンセカイ」のメンバーたちが向き合っていた「イマジョの呪い」は、実はシゲおじの母の鳥居に宿っていたのかもしれない。
だが、実際に呪いを解いたのは「イマジョ」だった。
シゲおじは、シンセカイのメンバーに礼を言う。
トキが語った「二つの世界」──それを実際に作ってしまった彼ら。
「導かれたから」という言葉が、忌怪島とバーチャルリアリティの接続を正当化する。
シゲおじは、彼らの訪問によって、呪いを解く方法を思いついた。
それは可能性に過ぎなかったが、実際に人が死に始め、イマジョがこの世界に戻ってきたようだった。
りんが作った折り鶴を空に撒くように、魂を解き放ち、彼女自身も空へと飛んだ。
イマジョの鳥居は、別の場所にあった。
シゲおじの言いつけを守らず外に出たりんは、「呪われた」のだろうか。
彼女は最期、シゲおじの三線を弾きながら歌い、入水する。
もし呪いというものがあるならば、これで一旦は落ち着いたのかもしれない。
『八ツ墓村』のように。
だが、りんとは何者だったのだろうか。
冒頭から、脳科学者カタオカのVRヘッドセットを外し、村八分のシゲおじと心を通わせていた。
もしかすると、りんはシゲおじの母の生まれ変わりだったのではないか。
生前を悔い改め、りんとして彼に寄り添っていたのかもしれない。
シゲおじが「おかん、待たせたなあ」と言って飛び降りたとき、りんはその後を追うように入水する。
母の魂を持つりんにとって、それは再び訪れた無力感だった。
シゲおじの母が狂った理由は、呪いではなく、もっと別の何かだったのかもしれない。
だが、彼ら母子の悲劇こそが、「イマジョの呪い」を再び呼び寄せた可能性はある。
老人になっても続く村八分。
かつてその呪いによって、彼女に悪いことをした人々を根こそぎ殺害したイマジョ。
過去を清算したはずの彼女は、島民の悪癖に対して、シンセカイのメンバーを島へと導いた。
だが、実際に死んだのはシンセカイのメンバーだった。
この理屈は通らない。
それとも、イマジョは今でも島民を呪いたいと思っているのだろうか。
園田哲夫──タマキの父。
母との離婚。
タマキは昔の父には愛着があったが、今の父には何も感じない。
忌怪島で父が住んでいた場所。
カタオカが感じた「女」の存在。
それは「イマジョ」だった。
呪い足りないイマジョは、シンセカイを使い、再び島で呪いを発動したのかもしれない。
だから、島民にも犠牲者が出た。
そして、あのヤドカリ。
何の象徴だったのだろうか。
島民がヤドカリを飼育していること自体が奇妙だ。
あれは、シゲおじ自身の象徴だったのではないか。
本当の自分になれない自分。
そのヤドカリが外へと出た瞬間、シゲおじは飛び降りた。
フェリーで島を離れるタマキ。
彼女は鳥居がもう一つあることに気づく。
真っ暗な客室。
そこから出てきたカタオカ。
二人は手を繋ぐが、その腕にはアバターのナンバーが表示されている。
何が現実なのか、わからない。
ここに感じるのは、余韻というより「やっちゃった感」だ。
心霊世界という幻想。
現実世界という幻想。
バーチャル世界の幻想。
すべてが幻想世界だという概念。
面白くもあるが、どっちつかず。
少しだけ考える面白さだけが、印象に残った作品だった。
仮想空間の恐怖
まさにタイトル通り妖怪の棲む絶海の孤島、忌怪島の恐怖を描いたホラー作品、ユニークなのは霊界と最先端のVRを掛け合わせたことでしょう。
妖怪⾚い⼥、イマジョの正体も島の男たちに弄ばれ最後は海辺の鳥居に縛られて溺死と言う残虐非道な最後だから、化けて出て当然ですね。
前半はテンポが遅く眠くなりました、後半はまあまあ、最後は焼いたはずの鳥居が復活、続編狙いなのでしょうか・・。小説版ではフェリーは島に戻り、呪い自体が解けていない終幕。焼いたのは仮想空間の鳥居だったのか、映画のほとんどが仮想空間の出来事だということかしら。仮想空間にいるのか現実にいるのかわからない恐怖、やっぱり清水崇監督は呪いが消えずに無限ループしていくストーリーが好きですよね。
奄美の大自然。
かなりつまらなかった!!
VR要素は要りますかね、出だしは近年のコナンのような雰囲気がありましたが。ストーリーもつまらな過ぎて、良く分かりませんでした。美魔女美魔女言ってた気がします。清水監督と中田監督は何で仕事があるのでしょうか。
飛躍しすぎる脳波の世界・・・
シゲじぃの使い方は関心。
物語の終わらせ方や、悪霊の扱いなんかも悪くないと思う。
ただし、残念なのが・・・
この手のジャンルに、本当に必要なのかと思える仮想世界・・・
脳波の世界なんか不要じゃないの?
結構ドン引き状態かな・・・
まぁ、『〇〇村』シリーズの2作目以降の作品に比べれば、こちらの方が耐えられるかな。
怖くはないので、ホラーに対する免疫力をつけたければどうぞ。
島に過去に起きた事件から伝わるホラーと、最新技術の仮想世界がごち...
新感覚ホラーのつもり
村シリーズに続く島シリーズですか?懲りないですね(笑)島民の心の中にある忌まわしい伝説を電脳状況でビジュアル化しちゃったわけなんですね。何故か現実と仮想現実が繋がったんですね。村シリーズのマルチバースはお粗末でしたがちょっとだけ説得力あるかな。でもマルチバースと現実の関わりのレベルは低いなぁ。床の水溜まりから救出なんて失笑。いくらアイドル映画だとしてももっと話練ろうよ。
※超ネタバレしてます、映画未視聴の方は閲覧されないことをオススメします
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舞台は日本の南のほうの島。
この島には"ユタ"と呼ばれる民間霊ばい師(シャーマン)が住んでいます。
(ユタは、沖縄県と鹿児島県奄美諸島のシャーマンのことで、彼らは霊的問題や生活の中の問題点やアドバイス、その解決を生業とする人たちのことです。[Wikipediaより引用])
その島に、天才脳科学者の主人公・片岡友彦が、「シンセカイ」と呼ばれるVR研究チームのチーフである脳科学者にチーム参加の依頼をされ、訪れます。
(同じ頃、父親が急逝してしまい遺骨を取りにきたヒロインと友彦は運命的に出会います)
ところが、友彦がシンセカイに訪れたときにはチーフの女性は亡くなっていることを知り、驚きます。
またシステムエラーや赤い何かが映るバグが発生するようになり、その赤い何かは仮想空間だけでなく現実世界にも現れるようになります。
VRチーム(と巻き込まれた島民たち)の
命がけの謎解きと、襲いくる何かへの抵抗が始まります。
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謎は映画が進むにつれ解明されます。
●シンセカイのチーフ、亡くなった女性・井出文子が研究していたものとは?
「ブレイン・シンクロニシティ」。
脳のデータを他人と共有できるというもの。
脳に蓄積された記憶や思考、感情まで共有できる
システムのこと。
他人が主観的に感じた喜怒哀楽や恐怖を
シンクロすることができ、
仮想空間では100%相手と同化が可能。
(2023年5/1発売のムック、「異界Walker」の
転載記事より引用)
●赤い何かの正体
「イマジョ」。
イマジョとは奄美大島の本当に
伝えられている伝説のことです。
むかし、農奴であった女性・イマジョは
たいへん美しい女性でした。
豪族の主は美しいイマジョを見初め
無理やり関係を持ちます。
不貞に気づいた奥方が激しく嫉妬します。
そしてイマジョを納屋に呼び
閉じ込め、拷問の末、◯害してしまいます。
非業の◯を遂げたイマジョは
怨霊となり、島に呪いをばら撒き
豪族の一族を次々に呪い◯していき
その一族は根絶したそうです。
(正直…これには胸がスッとしました)
●システムエラーはなぜ起きた?
島民の一人、シゲルというお爺さんのせい。
シンセカイの心臓部たるコンピューターに
シゲルお爺さんの脳のデータが
勝手に混入されていました。
●シゲルお爺さんとは? 目的は?
シゲルお爺さんは、島で村八分に遭っている
お爺さんのことです。
彼がなぜ村八分に遭っているのか。
それは彼のお母さんが
「イマジョ憑き」だったからです。
イマジョ憑きとは、イマジョのように
島に揉め事・争いごとを起こす火種のようなもの。
シゲルお爺さんのお母さんがどんな
揉め事を起こしたかは省きますが
シゲルお爺さんはイマジョ憑きの親の子
というだけで
ずっとずっと村八分のままです。
シゲルお爺さんの目的は
再び島に災いを撒くことでした。
●金城リンさん
シゲルお爺さんに優しくする島で唯一の
女子中学生。
とても優しい女の子。
しかしシゲルお爺さんに優しくするせいで
彼女も「偽善者」とそしられます。
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後味の悪いホラー映画でした。
主人公とヒロイン、
そして金城リンさんのラストをみると
なぜこんな終わりにしたのかなと
悲しくなってしまいます。
感じ方は人それぞれでいいのでしょう。
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※ここから読み飛ばし推奨です
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【私の個人的な解釈】
問、主人公とヒロインはどうなった?
答、彼らは仮想空間の世界にいる。
根拠①二人の腕に光る英数字が浮き上がったから。
根拠②現実世界で燃やした鳥居が海の中にあるから。
根拠③誰もいない船。おかしい。
根拠④イマジョを連想させる「鎖を引きずる音」が
したから。
…とある方のブログでは、『二人は仮想空間に囚われた』と解釈してましたが、私は違うと思いました。
私は
彼らは進んで仮想空間の中に留まることにした
と思いました。
理由は、主人公とヒロインは
もともと人のいる世界が好きではないからです。劇中で言っていだと思います。
ではなぜ、この二人は共にいるのか。
ここからは勝手な想像ですが
主人公はヒロインが。ヒロインは主人公が【必要】と思ったから、『二人だけの世界=彼らにとっての理想郷』に行ったんだ
と思いました。
たとえイレギュラーな存在のイマジョがいたとしても。(この時頭に浮かんだことは、旧劇場版エヴァンゲリオンの「まごころを君に」のラストシーンでした。シンジとアスカだけが存在する世界)だからメリーバッドエンドなのかなと思いました。
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もう一つ。
問、金城リンは、なぜイマジョを磔にした鳥居がある海の中へ入って行ったのか?
答、分からない、です。
これは私は分かりませんでした。
無理やり考えるなら
金城リンさんは、シゲルお爺さんのお母さんの
生まれ変わりだったのかな、と。
生前のシゲルお爺さんのお母さんは、
息子にたくさん迷惑をかけ、さらに息子の貞操まで見境なしに奪おうとした自分をとても恥じて
◯してくれと頼んだように見えたので、
転生したら何があっても絶対に味方でいてあげよう、
何をしても許してあげよう、
そして彼がこの世を去ったなら
喜んで後を追いかけよう、
そういうお母さんの気持ちがリンさんを突き動かしたから、ああいうラストだったのかなと思いました。
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後味が悪くても
バーチャル世界と現実世界の行き来、
ユタのようなスピリチュアル、
哀しい伝説がお好きな方には…少しオススメです。
長々すみませんでした。
ここまでのご一読お疲れ様です。そして
ありがとうございました。
奇怪監督
どこにいても引きずり込んで地中というか海の中へ連れて行ける設定の忌女に「なんでやねん!笑」とツッコミながら観る映画。
仮想空間内でまるで現実のように見えるモノは超常現象としての幽霊と似てるところがあるのかもしれない、みたいなテーマがどうでも良くなるくらい雑な構成なので、真剣に観てしまうと期待ハズレと感じること必至。
仮想空間から現実世界へ霊が移動するというモチーフも「リング」以来いろいろと形を変え使われてきた手法で今更感が拭えないし、対岸の火事が身近に迫ってくる恐怖演出も丁寧さに欠いた印象。
清水崇監督にまだ製作予算を出してくれる会社があるのがもっとも奇怪。
島伝説…?
怖い、怖くないの話は一旦抜きにして、新しい解釈だなと普通に面白く見...
怖い、怖くないの話は一旦抜きにして、新しい解釈だなと普通に面白く見れた。
着眼点がいいと思う、最近の清水崇監督はホラーで実験してる感じして好感触です(笑)
トライ&エラーで手ごたえがいいところを探せばいいさ(誰目線)
バーチャル世界と霊界がリンクしてしまう仕組みや、孤島の閉塞感から来る独特の風習・民話あたりの解像度が高くて好きだった。
”忌怪”と”機械”のなぞかけだろうなとタイトルから推測してたけど、もうちょっと土着的な過去と紐づいていて村ホラー好きとしてはアリな展開。
ラストはもバッドエンドで締めてくれれば完璧に近かったけど、商業ホラーはそうもいきませんよね…
このタイプの作品は理論的なこととか、ホラーのクオリティを求めたら酷評しかできなくなっちゃうので、もっと心広く見れば及第点だと思います。
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