「瑠東東一郎監督は仕事したものの…褒めどころは特に見つからず」バイオレンスアクション たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)
瑠東東一郎監督は仕事したものの…褒めどころは特に見つからず
前評判は結構冷めていたが、私は結構楽しめた。瑠東東一郎監督らしい独特のカット割りで映画が踊る感じ。そんなに褒められたものではないけど、作品としてはブレずに走っていた点もあって楽しめた。
元々コメディに強い監督なので、これっきりは仕方ないだろう。なんせアクションはやるタイプじゃない。CGもうまく使うタイプでもない。ただ、独特の世界観を醸し出す描写力は持っている。序盤から華やかでポップな色の使い方、導入らしい序盤で説明しつつ、上手く引き込んでくれる。MAN WITH A MISSIONの音楽もマッチし、こういう感じだと分かりやすく提示している。
ただ、確かに考えてみると諸々説明不足。キャンパスライフを楽しんでいるわけでもなく、何に悩んでいるのかも見えない。ビジュ先行のあっさり仕立て。他の殺し屋の方がバックボーンを掘っているので、作品の主題は弱かった。その中で繰り返される、「最後まで希望を捨てなければ」というフレーズ。作品の核はきっちりとしている部分を見せつけている。
主演は橋本環奈さん。彼女あってこそだが、やはり肝心のアクションで見せ場を作りきれてないこともあってか、あまり魅力的には見えず。キャラが乗り切っているわけでもないので、なんか飾り物に見えてくる。むしろ、馬場ふみかさんの方がキャラ立てがしっかりしていて、浮いている部分が気になる。ヤクザもガチャガチャしているのでクライマックスはそそられない。それでも楽しかったのは、ストーリーのズレがないことが幸いしているのかもしれない。
どこかで見たことあるようなロケ地が沢山出てくる。邦画の良いところであり、悪いところでもあると思う。楽しかったが、褒めどころが特に出てこないのが難しい。